第18話 ③マグロ漁船団

 最初は週に2回、誘われてマグロ釣りに出かけた。2回に1回は大きめのマグロが釣れた。エンゾーは少し大きめの船を用意したので、シチリア島と南の大陸の中間あたりまで足を延ばせるようになった。

 1年も続けていると、ブリジッタにはマグロは西のほうから回遊してくるのがわかるようになった。回遊しているのは、陸の近くに群れを成すイワシを食べるためだというのも、想像ができた。


〇×△


「紹介するよ。俺の親父だ」

「始めまして。かわいい子じゃないか」

 船が大きくなって操船も大変になり、大きなマグロを釣ったときに船に引きずりあげるのも一人ではこなせなかったので、本国に仕事をしていた父に連絡を取ったのだそうだ。湾岸の街で警備をしていたので、体力はある。


 ブリジッタの能力で、いち早くマグロを発見でき、ほかの漁船より早く釣りポイントに到達できるので、効率よくマグロを釣れる。まー、ほとんど格闘技なんだけどね。

 


〇×△


 2年目は、1年目にその季節によくマグロが回遊していた場所を優先に船を走らせ、回遊地図をより精度良くしていった。

 それと、漁労ギルドに、ペアとなる漁船を募集して、面接した結果、同じくらいの船を持つヤーマンと、一人で漁をしているロレッタと契約をした。

 ロレッタは、最初に釣れたマグロを早めに港に搬送してもらう。


 3年に入り、マグロの回遊ルートの把握精度はさらに上がった。

 ある日、ブリジッタが家に帰ると、ぐちゃぐちゃに荒らされた跡がある。エンゾーのところに駆けつけると、家が燃えていた。どうも、回遊記録を探しに来て見つからなかったから放火されたらしい。

 売り上げは漁労ギルドに預けているので安心だけれど、警ら隊に呼ばれ、事情聴取となった。疲れているのに。

 船は大丈夫だったのが救い。



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