中学生の時に近所の幼馴染達と距離が出来ていたがその間に俺は

@eacon

第1話

小さい頃から、私たちは近所でよく遊んでいた。


だけどある日から、私たちは彼のことだけを省くようになった。


理由は今では分かる。

彼のことがみんな大好きだったから。

優しい彼は、男女関係なく私たちのグループのリーダーで、みんなを守ってくれる人だった。


だから私は思った。

「彼といると、甘えてしまう」

それに、どこか新しい刺激も欲しかった。


みんなが集まっているのに、一人だけ呼ばれない彼を見ると、どきどきしてしまう。

いつのまにかリーダーもヒロに変わり、さらに私たちも別のグループを作っていた。


優は完全に孤立になり、彼には私たちしかいなかったんだ、と改めて愉悦に浸っていた。



ある日、久しぶりに彼が私たちに声をかけた。


「久々に、みんなで遊ばない?」


「もう、優みたいなインキャとは遊びたくないな。優ももう少し見た目カッコよくしなよ」

これは半分本心だった。


優は色んな人を見たから改めて思うけど、一番性格がいい。だけど見た目は普通。


「ご、ごめん。でも、もしかしたら今日遊ばないと、もう二度と遊べないかもしれないし」

明らかに焦っている。

あの優が必死に私たちを求めている。その気持ちの大きさに、私は胸が痛んだ。


結局、私たちは誰も優と遊ばなかった。



高校生になり、私たちは同じ高校を選んだ。

高校2年生になった今、みんな、あの頃のように優も入れて遊びたいと思っている。


女の子たちはそれ以上に、優と一緒に過ごせる時間を求めていた。

ヒロもカズも、恋人は求めていないが、一緒に過ごさないかと考えている。家も近いのに。


だけど、優はせっかく高校が一緒でクラスメイトになったのに、私たちを避けるようになっていた。

まぁ、流石に省きすぎた私たちが悪いんだけど……。

でも、優しい優なら結局許してくれるだろうと思っていた。


そんなふうに考えていた瞬間――


授業中、急に優が立ち上がった。


「来た!」


叫んで、教室の廊下側から窓側へ一瞬で飛び、そこにいた何かに手を向ける。

火花が散り、得体の知れないドラゴンらしきものを真っ二つにした。


「どこに行くの、優!」「優!」


私たちの知らない間に、優には何かが起こっていた。

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