第2話

「コウちゃん、これじゃ米は炊けないよ」

「え、でも、ばあちゃんの言う通りにしたよ」


「だから言ったろう。ジャーのスイッチいれ忘れるなって」

「あ、ばあちゃんごめん」


あの紹介の後、俺は遠藤のばあちゃんと一緒に暮らす事になって早1ヶ月がたつ。

そして生きていくのに最低限必要な炊事、洗濯、掃除に買物等、生活に必要な事すべてを教えてもらっている。


過不足なく出来る用になったら、一部屋貸してくれる事になったのだ。


「じゃあ、ばあちゃん。俺学校に行って書類出してくる」

「コウちゃん、本当に良いのかい?」


「良いよ。叔父さん達が勝手に退学届け出しちゃったし」

「わかったよ。明日は留萌さんも同席の話し合いだからね。


ダンジョン入っても無茶したら駄目だよ」


「大丈夫だよ」

俺の生活やらをばあちゃんと留萌さんが面倒見てくれる事になったが、それを聞いた親戚一同がいちゃもんをつけだしたのだ。


まだ俺が両親の隠し財産を持ってるんじゃないか?


そう思っているらしい。もしかしたら覚醒者として冒険者になった俺に、たかりたいだけかも知れないけど。


学校に顔を出した後、初級ダンジョンに来た。

初期投資にお金がかかる冒険者にとって、ダンジョン前にある、協会出張所は有難い場所だ。


安い金で武器や防具なんかをレンタルしてくれる、その日借りたのは1日100円と言う手軽さで借りることが出来るサバイバルナイフ。


このサバイバルナイフはナックルガードと言って持ち手をガードする物がついている。


それを使い撲る事も可能な物だ。


俺が来ているこの初心者ダンジョンは、10階層からなるダンジョンで、出てくるモンスターはにシルバーキャロット(通称 モフモフ兎)とシルバードック(通称 モフモフ仔犬)がメイン。


ボスモンスターは、ロックロック(通称 亀さん)と言う亀形モンスター。


亀さんの特徴は足が遅く攻撃力が弱い。ただその体をおおう甲羅と全身を覆う鱗が岩のように固く、数人で攻めてもレベル100前後の人で30分以上は攻め続けないと傷をつける事すら出来ないと言われている。


ちなみにレベル100は本当にたいしたレベルではなく、冒険者の人の中では赤ちゃん冒険者と揶揄されるレベルだ。


冒険者は登録時は皆Eランク。そこからスタートだ、レベルは300までがEランクに該当する。


つまりボスは300レベル以下の存在と言う事。まあ、初心者ダンジョンだし。


ちなみに上に上がれば上がる程レベルが高くSランクと呼ばれる冒険者はレベル10000以上とも言われている。


        ◇◇◇◇◇◇


モフモフ系は俺も嫌いじゃない。だが、モンスターとなると話しは別で倒さないと俺が死ぬこともある。

そしてこのモフモフ系2種は、倒すと希にシルバーキャロットの毛皮、シルバードックの毛皮。

通称モフモフ毛皮と言う物を落とす。これが貴重品で1個3000円~5000円で買い取りしてくれるのだ。


俺がモフモフ兎を眺めていると見つかったらしい。そのつぶらな瞳がウルウルとして俺に問いかける。


「僕を倒すの?」そう言われているようだ。

そのつぶらな瞳をめがけてサバイバルナイフを振り下ろす。


「ボグーン!」


野太く、いかつい声を上げてモフモフ兎が倒れる。ちなみにシルバーキャロットと言うのが正式名だが、俺は名前で呼ぶ事はない。


最初は倒す事に抵抗があった。だがモフモフ毛皮の話を聞いた後の俺はここのモフモフモンスターがお金に見えるになった。


この日、10羽のモフモフ兎モンスターを狩る。


すると頭に機械音のような女性の声が響く。


"レベルが上がりました。


レベル10になりました。二次覚醒を行います"


すると目の前にステイスボードが出る。このステイスボードは自分にしか見えないのが特徴で、二次覚醒した者にしか出ることの無い珍しい物だ。


名前 二前 宏(ニノマエ コウ)


Lv 10


スキル 隠匿(初級スキル)を取得


二次覚醒


名前 二前 宏(ニノマエ コウ)


職業 剣士Lv 1


スキル 隠匿


派生スキル 身体強化 剣術 精神強化 硬体 目視強化


ここで終わりだと思った所で、まだまだ続きがあることを発見する。


スキル  ジョブ・スキル ツリー(逆)


貴方のジョブは覇王。覇王になるための全ての職を網羅しなさい。


派生スキルは自分のスキルに移動することができます。また、派生スキルは隠匿することをお勧めします


ど、どうなっている? スキル移動、隠匿。


名前 二前 宏(ニノマエ コウ)


職業 剣士Lv 1


【スキル 隠匿】


【派生スキル 身体強化 剣術 精神強化 硬体 目視強化】


オオ-! 頭で思ったら勝手になった。ちょっと便利。どうやら隠匿と言うスキルは見せたくない物を隠せるようだ。


そしてさらに説明を読み進める。


基本職からスタート レベル 300リターン


剣士、武道家、ポーター、旅人、商人、魔法使い、聖職者、盗賊、料理人、ゴミ拾い。


まて、待て待て。職業が10個も有るぞ?


1つの職業がレベル300でリターン?

それって1つ1つをレベル300にしろと言うことか?


あ、あり得ない。


レベルを300に上げるためにはどんなに急いでも一年以上はかかる。


あかん、これはゴミスキルだ。俺、最低でも10年はEランク確定じゃん。


まだまだ説明があったがそこで読むのを止めてしまった。


それからその日はモフモフ兎を狩りまくった。


どうやら剣士の派生スキルの身体強化、剣術、精神強化、目視強化によるものなのか。


体の動きは凄まじく早く、目視強化によって動いているモンスターがスローモーションに見え、剣術のスキルのお陰か、一撃でモンスターを倒す事が出来た。


そして夕方まで1人でこの階層で狩り続けた結果たった1日で


名前 二前 宏(ニノマエ コウ)


職業 剣士Lv 10



【スキル 隠匿(スキルLv1)を取得】


【派生スキル 身体強化 剣術 精神強化 硬体 目視強化】


となった。


そして兎系モフモフモンスターの毛皮。通称モフモフ毛皮を3個もゲットすることが出来た。


夕方になり、冒険者協会に来て日丘さんに報告。

留萌さんが俺の担当者らしいが、なんと受付課の課長なのだと言う。要は忙しいので受付の日丘さんが代わりに色々とやってくれるのだ。

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