三○二号室・斎藤絵里の日記帳断片
【令和六年度 伊佐鷺裏市役所 防犯推進課 調査報告書 No.B064-追補-06】
作成日:令和六年十一月七日
作成者:伊佐鷺裏市役所 防犯推進課 防推課調査チーム
発見者:防推課調査チーム
『概要』
本記録は、平成二十六年に「桜見荘」三〇二号室に居住していた斎藤絵里氏の日記帳断片である。
調査チームが今まで入れなかった三○二号室へ入ることに成功し、室内の隠し場所より回収した。
日記は序盤は比較的平穏な日常を綴っているが、後半に向かうにつれ、精神的な不安と恐怖が顕著となり、最終的には断片的な文字列や読み取れない部分が多く含まれている。
以下に主な記述を抜粋する。
***
【平成二十六年九月一日】
今日は普通の一日だった。仕事もいつも通りで、特に変わったことはない。
【平成二十六年九月三日】
友人とカフェで会った。一緒に食事を摂ることになり、久し振りに楽しい時間を過ごせた。気分も良い。
【平成二十六年九月十日】
近所の猫が可愛い。餌をあげる人がいるのか、よく遊びに来る。癒される。
【平成二十六年九月二十日】
最近、夜になると誰かに見られている気がする。でも、誰もいない。……気のせいかな。
【平成二十六年九月二十五日】
部屋の外から、時々薄明かりが漏れているような気がして怖い。それっぽいものは何もないのに。
【平成二十六年九月二十八日】
今日も誰かが見ている気配が強まった。声も聞こえた気がするけど、気のせいにしよう。
【平成二十六年十月一日】
日中はまだ大丈夫。でも夜は怖くて眠れない。
【平成二十六年十月三日】
声が段々大きくなってきた。誰かが話しかけてくる。
【平成二十六年十月五日】
部屋の中で影が動いた。誰かいるの? 怖い。
【平成二十六年十月七日】
夜になると強い光が漏れてると言われたけど、部屋の明かりとは違うということ? 何が起きているのかわからない。
【平成二十六年十月十日】
文章が乱れてきた。自分で読むのも辛い。
【平成二十六年十月十二日】
誰かの声が止まらない。眠れない。
【平成二十六年十月十五日】
(文字の一部が擦れて読めない)……怖い、助けて……。
【平成二十六年十月十七日】
(ページの一部破損により欠落)
【平成二十六年十月二十日】
わたしはここにいられない……(文字かすれあり)
【平成二十六年十月二十二日】
誰もいないのに声がする。見られている。だれ。
【平成二十六年十月二十五日】
(文字かすれ、破損あり)……もうだめ……。ごめんなさい。
【平成二十六年十月二十八日】
(断片的な文字列、判読不能)……。
【平成二十六年十月三十一日】
(ほぼ全文不明瞭、紙破損)
***
以上
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