起きたら妖怪と結婚したことになってたんですけど、また起きたら幸せな日々送ってました

月乃 レイ

第1話 おっはよー!世界へ冒険だ!

夜の9時に起きては、すぐに依頼された音楽を作り、寝る。また昼に起きては、冷蔵庫にあるゼリーでお腹を満たし、コンピューターで依頼された音楽作りに専念する。


「あー、今日は応援歌か」

「今日はピアノ演奏」

「明日はドラムオンリー」

決して楽ではないが、昔から音楽が好きな私は結構やりがいを感じる。


起きて、働いて、寝て、起きて、食事をする。

ちなみに、今の1日の流れで一切外へ出てない。

本当にダメ生活だ。


友達は、高校の頃の友達の連絡先自体は持っているが、同窓会の話なんて絶対に来ない。


家族とも、最近は実家に帰れてないほどだ。


人間関係まで壊滅的なのは予想外だったが。


小さい頃、憧れてた幸せラブラブ新婚生活を思い出し、遠い目をする日々。

少女漫画を読んできゃあきゃあ!と言っていた自分を思い出すと、過去に自分磨きをしていた自分に申し訳なくなる。


「なんか…バッタンきゅんな恋始まんないかなあ」


そんなのが口からスウっと出てきた。

そうだ…!何かを始めるには冒険へ出なきゃ!


「よし!そうと決まれば!」


外へ出よう!

ついでにゼリーのストックも買わなきゃ!


ガタッと椅子から飛び起き、部屋の扉を力強く開け、新しい世界へと私は飛び出した。


ーーーー


「おっはよー!世界!!」


ガチャっと玄関ドアを開け、私は叫んだ。

廊下に誰もいなくてよかったと思う。

照れながらもエレベーターのボタンを押し、少し待つ。


「よし!まずは…」

コンビニへ行こう。

いつもならゼリーは業者が買うような量を配達で頼むが、今回はコンビニで新しい味のものを買おうと思う。そう、これが新しいことだ。


こんなことで運命の出会いができるわけがないが。


「まあ、ポジティブに生きよ」


そう、自分に言い聞かせる。

スキップ混じりで歩き、るんるんでコンビニへ向かう…かと思ったら他の人たちがなんだか騒がしい。


というか、コンビニの方からたくさん走ってきている。なにかから逃げているのだろうか。


ぎゃあーぎゃー!うわあ!っと叫び始めている。

殺人者でもいるのか?


逃げてきている方向へ少し進む。


すると、大きく、真っ黒な…玉?のようなものが人々を吸い込んでいた。


「いや待って待って待って」

すぐ近くに来ているのに、なぜか足が動かない。


いや、逆に体が「あれ吸い込まれたい!」って言っているようなものなのか。

あいからわず私は冒険者だなあ。


てかなんで逃げようとしてるんだ?

なにかわからないのに、逃げようとする理由は?

「新しいこと」を始められるチャンスでは?!


「よし!飛び込もう!!」


そう言って、私は自ら謎の球体に飛び入った。



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