ZERO勇者~ゼロからスタートする異世界冒険譚~

竜崎

第1話、異世界への転生

俺はある日、死んだ…多分交通事故だったと思う。


俺は名前を名乗るほどじゃないが、歳は35で実家暮らし。

独身で彼女は居ない。

両親とも一緒に暮らしていたが、数年前に亡くなっている。

いつものように仕事をしたら、自宅に帰って飯食ってゲームして酒を飲んで寝るのルーティンだ。

今日は買い溜めしていたストックの食料が、もうすぐ底を尽きるので買い物をする為に久しぶりの外出をする。


一応身だしなみを整えて外出をしようと自宅を出た時に、いきなり車が猛スピードで俺に突っ込んで来た。

回避が間に合わず、俺は吹き飛ばされた。

何故かは知らないが痛みは無かった、多分…即死だったからかもしれない。


それから今に至る。

どれくらいの時間が経ったか知らないが、しばらくは真っ暗闇だったと思う。


「………………」

「………………」


何だか明かりが見えるな、どうやら目は見えるのみたいだな。

木造の一軒家?しかも丸太を使っている。

いったい何処だ?ここ、病院にしては設備が悪いな。

この黒髪の体のがっしりとした男は誰だ?医師じゃ無さそうだな、私服だし。

何だか険悪そうな顔をしているな…顔色も悪そうだし…まあこんな大人な俺を見たら…そんな反応もするか?

ああいう反応は以前も有ったが…近所のスーパーやコンビニとかだな、まあ今さら気にしないが…あからさまに態度に出されると少しだけ嫌な気分になるな。

この一見魔女みたいなお婆さんは誰だ?優しそうに俺を見ているな。


「………………」


ダメだ、何を喋っているのか分からない。

日本語では無さそうだな、少なくとも俺の知っている言葉では無いな。

他にも居る…ん?…あのがっしりとした男の人は誰だろう?

杖を持っているな…体が不自由何だろうか?

でも、凄い貫禄だ!…素人の俺でも分かる。

多分だけど…剣とか武道の達人だな。


「………………」


影からブロンドヘアの美しい女性が現れる。

おお!金髪の綺麗な女の人。

ハリウッド女優程では無いにしろ中々のプロポーションじゃないか。

やはり何を喋っているのか分からないが、優しく微笑んでいるな。

俺の手が見える...小さい?足は見えないな。


「…あー…うー…」

「………………」


さっきから発音をしているが、ほとんど喋れない。

金髪の綺麗な母親だろう人が、俺の頭を優しく撫でながら微笑みかける。

やっぱりだ、俺は赤ちゃんになっているな。

これならさっきの赤子っぽい声も納得だな。

冷静になってみても、いわゆる転生というヤツだな…

という事は、この金髪の綺麗な女の人が俺の母親か。

ウム、色々なところが悪くないな。

さっきの黒髪の男は、恐らく俺の父親か…なんかやだな…よそ見してるし。

あの貫禄最強の達人さんは…居た。

出来ればあの人が父親だったらいいけど…まあ違ったら後から弟子にして貰えばいいか。

んで、あの魔女っぽいお婆さんは…居た。


「………………」

「………………」


魔方陣のような物が浮かび上がり、詠唱のような言葉を話始める魔女お婆さん。

何か俺と金髪の綺麗な母親らしき人にかけたぞ?

緑色の光が輝いているな。

何だか気分が落ち着いてきたな、リラックス効果の魔法か。

すげぇな、まるでゲームみたいだな。

俺も使ってみたいな…魔法、あの魔女っぽいお婆さんに教えて貰おう。

多分というか、あれだな異世界というヤツだな。


「………………」

「………………」


さっきの魔女お婆さんと母親だろう金髪の綺麗な女の人が話している。

やっぱり何を喋っているのか分からない。

恐らく異世界語だろうか、まあその内に覚えるだろうしな。

こんな金髪の綺麗な母親なら文句無しだな…うん。

(心の中で頷く)

家族やあの魔女らしきお婆さんも悪い人じゃなさそうだし、多分上手くやって行けるだろ。


~数ヶ月後~


あれから数ヶ月過ぎていろいろ分かって来た事がある。

さすがにまだ俺の両親だろう人間?の言葉は分からないけど。

ほとんど俺の世界での言葉に近い感じがするな。

恐らくだが…英語に近いだろうか…発音的に。

身振り手振りでだいたい分かるな。

(あれは多分挨拶だろうか…)


身の回りの生活については、完全に手作りの家に手作りの家具や台所まわりか。

まだ歩けないので…母親であろう金髪美人に抱っこされながら連れて行かれて…だいたいは見て回れた。

(子供に見せてあげたい人なんだな…)


当然ながら、俺の世界に有って無かった物もある。

例えば…まずは明かりは基本的にロウソクにランタンっていうヤツとかを懐中電灯代わりに使っていたな。

リビングには、木造のテーブルに椅子、食器棚にテーブルクロスは恐らく手作りだろう…可愛らしい花のような刺繍が入っている。

俺の母親だろう金髪美人の人がやったんだな…

(手先が器用な人なんだろう…)

俺自身も手縫いは出来る…生活の一部でもあったのもあるが、元居た世界の祖母から教えて貰っていたからである。

機会があれば…この世界での俺の母親である金髪美人の人に教えて貰おう。


食器類も基本は木で出来ているな…まあ想像はしていたが、スプーンにフォークとナイフらしき物まで…さすがに箸は無いな、後から俺が作って置こう自分用で。

スプーンはともかく…このナイフらしき物とフォークは使い勝手が悪い…切れない刺せない…ほとんどスプーンと同じ扱い。

これ等も後から俺が自分で作って置こう…自分自身の為にもな。

でないと食事もまともに食べれないし楽しめないだろうしな…これだと、食べる度にストレスが溜まりそうだ。

皿も当然…木で出来ているな形が綺麗な物と形が歪な物もあるな。

綺麗な物は買ったんだろうか?

歪な物は恐らく自分達で作った物か…この世界での俺の父親らしきあの男か?


まあ想像はしてたが…当然ながら電気もガスも無い。

水は基本的に井戸水と川の水を生活水に使っている。

水は主に…水を飲む、手を洗う、食器類の洗い物、洗濯、料理に使う、野菜を洗う等。

火も火打ち石らしき物や火魔法みたいなのを使って行う。

マッチやライターや着火マンなんて物は無いから少し不便だが…後から魔法みたいなのを覚えればいいと思う。

水を火を使ってお湯にするのもやる…お湯は基本的に料理がメインだが…水浴びの際にも使われる。

この世界にはシャワーが無い代わりに水浴びで体の清潔を保っている。

秋や冬はさすがに寒いので…火を使って水をお湯にして水浴びを行う。

石鹸は一応あるが…食器類の洗い物や衣服の洗濯に使うのがメインだ。

テレビやゲームもスマホすら無いが…代わりに本はそれなりにある。

俺はまだ赤子だから…積み木のオモチャくらいしか無かったが…唯一の楽しみは、金髪美人の母親や自宅に訪ねて来るお客さんだろう。

ご近所の母親も美人だしな…それに俺の母親だろう人にも負けないあのけしからん大きな物。

(あの赤ん坊めそこ代われ…っと念じる)


以前にも母親であろう金髪美人の人に読み聞かせして貰ったが…当然まだ言葉や文字は分からない。

文字の形からやっぱり英語とかに近いのだろうかな。


~更に一ヶ月過ぎた頃~

木造の家ならではだろうか…夏や秋に成ると当然ながら虫が出てくる。

異世界っぽい虫…蚊みたいなのに…ハエみたいなのに…Gっぽいヤツまで。

(図鑑にも載っていない新種だろうか…Gはどの世界にも居るんだな…)

出てくる度に…俺の母親こと金髪美人の人の悲鳴が上がる。


ここの自宅からでも、この村だろうかの場所がどんなところなのかだいたいだが分かって来た。

さすがに日本ではなかった…文化もどちらかと言えば海外に近いだろうか。

(西洋的な生活だったしな…)


食事も肉や野菜や果物だろうか…肉は鶏肉っぽいヤツに…豚肉っぽいヤツ…何の動物の肉だか分からない物まで。

魚も有ったな…恐らく釣って来たんだな。

鮭っぽいヤツに…川魚こと淡水魚っぽいヤツも有ったな…さすがに海の魚介類は無かったが。

(機会があれば海の魚介類も食べてみたいものだな…)


料理は焚き火のような感じだろうか…火打ち石みたいな石を使う事もあれば、軽い火魔法みたいなのを使う時も有ったか。

鍋は土鍋に鉄鍋…フライパンみたいなのもあるな…どこかで買って来ているのだろうか…さすがに手作りではないだろう。

油は草花から取れる物を畑から収穫した物を使用している。

塩はどこかから買って来ているのだろうか。

(醤油や味噌やソースは無いな…まあ異世界だしな…)


~一ヶ月後~


俺の父親であろう黒髪の男はというと…

基本的に俺には無関心…毎日外出をしている。

泥だらけで帰って来る事もあるから…恐らく畑仕事つまり農家だろうな。

野菜に果物…どれも俺の元居た世界には無かった物ばかりだ。

(無骨で不器用な感じだろうか…)


自宅に居る時は…寝てばかりやお酒だろうかを飲んでいるばかりだ。

試しに俺自身もこの男の近くにヨチヨチ歩きで近寄ってみたが…やはりというか…無関心というか…険悪そうな顔をしているな。

たまに母親の金髪美人の人と口論になっているところを見てもやはり上手く行っていないのか。


だが…俺の自宅に訪ねて来る人でもいい人は居る。

魔女っぽいお婆さんと杖を使う体ががっしりとした男の人だ。

魔女っぽいお婆さんは…会うと直ぐに優しく微笑みかけて、リラックス効果のある魔法をかけてくれる。

俺の祖母ではなさそうだが…とても心優しい人だと俺でも分かる。

俺の事も孫同然に扱ってくれるしな。


杖を使う体のがっしりとした男の人はという言うと。

貫禄が凄いので…一見怖そうだが…俺に対してや俺の母親に対してもとても優しく接してくれる。

何時も俺の事も優しく微笑みかけて、優しく頭を撫でてくれる。

(こういう人が俺の父親で有って欲しかったな…)

心の中でそう呟く。

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