夢幻

卯木よよい

ぽつかりと穴の空きたる心地して隣を見れど君の影なし


幻と告ぐは我が家の白天井君の居ぬ世は起き憂かりけり


また寝れば逢へるのではと潜れども固く閉じたる夢路なるらむ


甲斐なしと蒲団にうち臥せど君がいたと語るは夢の残り香


君の影なくても夢の香が匂ふけして忘れぬ秋の夜の夢


稚児たちの駆けたる様を眺めつつ君思ひやる秋の夕暮れ


あたら夜は覚めし朝にぞ知られける手を伸ばせどもくうを掻くのみ


願はくば叶へし果てに君とまた語るは夢と恋の道かな

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