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「さっき写真見せてもらってわかった。山内さんが見ている世界は、こんなにキラキラしていて、眩しいくらい輝いているんだなって」

「えっ……」

それは、自分が瀬川を見て感じていたものとよく似ていた。

「僕の一瞬の喜びを、あんな素敵な形に切り取ってくれて、ありがとう」

お世辞でもなんでもなく、本当に嬉しそうに瀬川が笑う。

「おーい瀬川!休憩とっくに終わってるぞー」

「あっ、すいませーん!すぐ戻ります」

窓の向こう、グラウンドから聞こえる呼び声に、慌てて振り返った瀬川が答える。

運動部の声は、さすが二階の教室にもよく届く。

「ちょっとゆっくりし過ぎちゃった」

ぺろっと舌を出しておどけてみせる瀬川に、思わずくすっと笑みが溢れる。

途端瀬川の目が驚いたように見開かれ、まじまじと見つめられた。

「山内さんが笑ってるとこ、ちゃんと見たの初めてかも……」

ぽそっと呟かれたその言葉と注がれる視線に、なんだか無性に恥ずかしくなる。

注がれ続ける視線に耐え兼ねて俯くと、ハッとしたように瀬川もまた視線を逸らした。

「ごめん……なんかつい」

心なしか、瀬川の顔が赤い。

「おい瀬川ー!早くしろよー」

開け放した窓の向こうから聞こえてくる声に、瀬川は振り返ってもう一度返事をすると、窓を閉めて小さく息を吐いた。

ちらっとその横顔を伺えば、やはり少し頬の辺りが赤い。

「それじゃあね、山内さん」

そう言って教室を出る瀬川の背中に、無意識に声をかけて呼び止める。

ドアに手をかけたまま立ち止まり、振り返った瀬川の不思議そうな顔に、咄嗟に声をかけてしまったことを後悔した。

すぐそこには、ファインダー越しではない瀬川がいて、静かに次の言葉を待っている。

けれど、極度の緊張で白く染まっていく脳内には、次の言葉が全く浮かんでこない。

なぜ呼び止めてしまったのか、その理由すら自分でもよくわからない。

ただ無意識に開いた口から、瀬川の名前が零れてしまったのだ。

慌てふためいてわたわたして、どうしようもなくて、とりあえず謝っておこうと口を開きかけると、くすっと小さな笑い声が聞こえた。

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