夏休み初日、義妹たちに家もゲームも奪われた

@eacon

第1話

夏休みが始まった。


今度の夏休みこそは友達と楽しく過ごしたいがやっぱり出来そうにない。


「・・・」


でも、いい・・・俺にはサブスクでほぼ無限にあるゲームをするから。


_________________________________________


ワクワクとした気分で帰ったら


嘘ゲームがない。


一個もない!!ゲーム機が一個もない!!


信じられないような現実だった。だか理由はすぐに分かってしまう。


恐る恐る。義母さんに聞く。


「ゲーム売ったよ」


「え!なんで!」


「それは今度の夏休みこそはゲームばかりじゃなくて、勉強に集中してほしいからよ」


「勉強に集中って、俺は別に成績悪くないし、まだ」


「まだじゃないよ!来年はもう受験でしょ!」


「でも!俺、」


優は必死に言葉を飲み込む。

血の繋がったお母さんと勉強を頑張って平均点以上ならゲームをしていいって約束をしていた。


だが、優は言わない。言ってももうゲーム機は無いし、それに恵子さんは血の繋がったお母さんとの約束は知らない。


「だけど、」


【優とゲームしてると楽しいのよね。】


「だけどじゃない!」


強いビンタが入る。


「もう、これ以上私に負担を掛けないで!ただでさえ、春と夏のことで大変なんだから」


そう、義母は義姉と義妹のことで精一杯のは事実だ。


でも、義妹も義妹も不登校で大変なのは分かる。だから俺も我慢を出来たし、義姉と義妹の為にも義母の為にも良い学校に行って楽させたいと思ってる。


今でも、でも!!


「優、貴方のお母さん・・・叶もきっとゲームよりも勉強を頑張ってほしいと思ってるわよ」


・・・ドクンと、心臓が跳ねる。血が昇ったことを理解する。


「お母さん・・・前のお母さんはそんなこと」


だが、優は抑える。


言わない。お母さんだって本当はゲーム大好きだったから。あの約束もちょっとくらいは破ってもいいんだよ。って言ってた。


「適当なことを言わないでよ」


適当じゃない。優は改めて思う。

やっぱりこの義母は好きじゃない。

どうして、こんな人と仲良くしていたお母さんのことも少し疑ってしまう程に・・・

ただ、こうして血も繋がっていない自分を育てくれていることは感謝していた。


「もう、いいでしょ。とりあえず勉強でもしていなさない。」


「はい」


血は滾っている。本当は怒って暴れたい。

自分にとってゲームを勝手に売られたことは大切な心の拠り所を取られたこと一緒である。


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