燻銀コメディ俳優(自称)、監獄へ行く
灰汁之権化
第1話 勘違い俳優 捕まる
「緊張で腹を下すとは…まだまだ修行が足りんぞ、パディントン!!!」
腹痛に悶え、神に祈りながら、本番までの間には治ってくれと便座に座りながらひたすら祈る。正直なところ、もう後はない、このオーディションがダメなら俺はさっぱりと俳優への道を断つと心に決めているのだ。なんてったって、3年にも及ぶオーディション、しかもオーディション中は給料まで支払われるどの事だ。更にさらに、衣食住まで提供されるという至れり尽くせり、応募するという選択肢しか俺にはなかった。
遡る事、2日前のことだ。いやその前に、俺の自己紹介をしておこう。「ブラなんて盗みません!私は生粋のお尻好き!パンティ以外ありえない!」という伝説(?)のセリフで相⚪︎シーズン156に登場(10秒ほど…だが)した脇役のコメディ俳優だ。芸名はジョンソン池上、本名は捨てた。さて、話を戻そう、このオーディションに関してだ。
このオーディションは突然、俺の携帯にメールが来たのだ。フリーで活動している俺はメールで仕事の依頼などをこなしている(ほとんど無い)。いつもはどこかのスナックやバーなどのステージで仕事をこなしている、そのあたりで俺の事を知ってくれたのだろう。正直、自分の芸はピカイチであると自負している、苦節20年この道一本だ(バイトはたくさんしているが…)。
また、話がずれてしまったな。オーディション内容をまとめると以下の感じだ。
1.規定の場所で規定の演技をしてもらう、あとは流れに従うべし
2.3年に及ぶオーディションである。
3.衣食住はこちらが担保、更には日当3万円を支給。(3年後に全部精算後支給)
4.常にオーディションされている身として役者に徹する事
5.事前に準備金として500万を即日振込
※オーディションは危険が伴うこともあり、怪我、死亡などした場合はこちらは責任を負いません。
な?単純なオーディションだろ?後はどこにでもある様な規約がつらつらと記載されている。そこが重要だって?、いや、そんなの読むやつはどこにいるんだってんだ。
そこから俺は規定のビルの屋上に向かったんだ。ビルに入る所からオーディションスタートという事で、役者のスタイルとして向こうに指定されたのは伝説の殺し屋パディントンって役らしい。可愛らしいクマを思い出す名前だが、まぁ、コメディ俳優には良い感じでしっくりくる。それこそ、マチェーテとかジョンドゥとか本物っぽい名前だとコメディ俳優である必要がないからな。
ビルの屋上へ行く道はなかなか険しかった、もう36歳、非常階段で25階分上がるのだ、もうついた頃には尋常じゃない汗が出ていたね。しかし、俺もプロだ顔色ひとつ変えずに登ってやったさ。そして、屋上には、スナイパーライフルと無線が置いてあった。ここで俺はピンと来たね。これは小道具、これを使って暗殺者らしい事をするのだと。
俺はスナイパーライフルの近くにより無線でアドリブ対応をする。
「対象補足、いつでもいけるぞ、メーン!」
向こうからの返事は無かったが、とりあえず…その場でスナイパーライフルの引き金を引く。映画でよく聞く様な音が響き、俺は一瞬あせったが、勝利の笑みの演技でそれを打ち消す。
「対象、沈黙。ミッションコンプリートだ、クソやろう。このパディントン様の手を煩わせやがって…。」
屋上の風に吹かれながら、カッコよく決め台詞を決め、立ち上がったところ強烈なタックルをくらい再び地面に倒れ込む。倒れた際に「うぇぶぇ」という無様な声を出してしまったが、イッテェなクソやろうと思いながら、誰が俺にタックルしたのかと思い見てみるとそこには3人の警察がいた。
思ったね、まだオーディションは続いているという事が、そして、こいつらはライバルだって事にね。絶対絶命の暗殺者、どうするのが正解なのかと思考をする。
「伝説の暗殺者、パディントンだな!尻尾を見せるとは耄碌したな!これからは死ぬまで監獄生活だ。」
「ふっ、ここまでか。もうやることもやったしな、余生は監獄でゆっくりさせてもらう事にするか。」
俺は考えたのだ、監獄からの大脱出そんなストーリーなのではないか?とな。ここはこの警官(おなじ役者?)のストーリーに乗っかる事にした。オーディション中は敵かもしれないが、今後一緒にやっていく可能性もあるのだ、恩をうっておくのも良いだろう。
そして、俺は警察に捕まったのだ。監獄へ入れられる前の警察のやりとりは次回ゆっくり話すとしよう。3年のオーディションだ、しっかりと乗りこなしてやるぜ。
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