11
僕はエプロンを二枚持って来た。
キッチンの調理台には、食材や、まな板に包丁、卵を割り入れるために使うと思われるボウル、などが用意されていた。
シュッと、素早くエプロンをつけるユキ姉。
ひかりもつける。青いエプロンが、なかなか似合っている。
「さあて、これからすることを説明するからね。まず、私は米をといで、急速設定でご飯を炊く。オムライスにするからね、ちょっとかためにするつもり。そしてひかりちゃんはまず野菜を切る。冷蔵庫に残っていたトマトやきゅうりやレタス、キャベツ全部を使ってもちょっとずつになっちゃうけど、サラダも作るからね。それをまず切って」
「はい!」
おお。急に頼りがいのある感じになって来たユキ上等兵につられて、なんだかひかりも勇ましいぞ。
「炊飯器に米をまかせたら、私も玉ねぎやピーマンやウインナーを切る。ひかりちゃんはキリのいいところで、卵をボウルに割り入れる作業に移ってもらう」
「はい。質問があります。使う卵を全部割り入れるということで良いのでしょうか?」
「良いです。焼くときは、おたまで卵液をすくってフライパンに流し込みます」
「分かりました」
「で、あんたは随所でアシストってことでいいね?」
ユキ姉は僕に言った。
「分かった」
「よし。じゃあ、始めるか!」
と言うと、ユキ姉は冷蔵庫の前に行き、ドアを開けて、僕がエプロンを取りに行く前に、ダイエット中の猛獣のそばに血したたる生肉を置いておかない方がいいだろう、というような思いから、奥に奥にしまっておいた酒の一本、チューハイを取り出した。
ぷしゅっ。
ごくごくごく。
「ぷはあ。あー、うま。やっぱ、まずはコレからだね。ノンアルだけど」
って、おい。
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