日常から一瞬で非日常に落ちる
りゅちー
第1話 落下の先は蒼き大地
目を開けたとき、そこには空しかなかった。
いや――正確には、空しか“見えなかった”。
雲の切れ間から覗く青は、学校帰りに見上げたどんな空よりも深く澄んでいる。
だけど、その美しさを味わう余裕なんてない。なぜなら――
俺は、空から落ちていた。
「――っ!?」
息を吸う暇もなく、胃の奥が浮く。耳元を切り裂くような風。
見下ろせば、遥か下に広がるのは緑と蒼の入り混じる大地。森のような緑の塊と、蛇のように曲がりくねる川が、まるで地図の絵みたいに広がっていた。
さっきまで俺は、自分の部屋でオンラインゲームをしていたはずだ。
気づいたら、モニターの光もキーボードの感触もなく、この意味不明な空中へ。
「落ち着け、落ち着け……って落ち着けるかぁぁっ!」
必死に手足をばたつかせても、物理法則は無情だ。
視界が下へと引き寄せられ、森の緑が徐々に迫ってくる。
その瞬間――
足元に光の魔法陣のようなものが浮かび上がった。
円の縁には、見たことのない文字と幾何学模様。
脳裏に直接、何かが囁きかけてくる。
『――召喚、完了』
次の瞬間、身体を包む浮遊感。
地面に激突するはずだった俺は、ふわりと着地していた。
そこは、巨大な石造りの神殿の中央。
天井まで届く柱の間で、ローブを纏った数人の男女が俺を見つめている。
「成功だ……『蒼の勇者』が現れた……!」
その言葉に、俺の心臓は嫌な予感を込めて高鳴った。
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