第3話 承
翌朝と言っても起きたら十時過ぎだったが、俺はまた導かれるように春休み中のキャンパスに向かった。そして経理課を通って購買に向かう途中、逆の旧裏門の方で、天使さんの姿を発見した。ふらふら歩いていて、特に誰に声を掛けているでもない。俺には気付いていない。勧誘していないとしたらここで何をしているのだろ、単にここが好きなだけなのかな。金縛りが思い出され、今日は敢えて声を掛けずにおこうか、などとと思っていたら彼女の周りにばらばらと数人の学生が集まって来た。彼女は驚いたように身をすくませたが、後は囲まれて表情がよく見えなかった。ん?囲んでいる連中の顔に、見覚えがあった。
“まずい“
俺は咄嗟に走り出し、その輪に割って入った。困ったように眉間に皺をよせていた彼女は、俺の顔を見ると驚いたように目を大きく開けた。
「森くん!」
「ちょいちょい、そこまで、邪魔してすんません」俺は取り囲んでいる連中に、形だけ頭を下げた。
「何なんだ、君は?」賢そうではあるが明らかに体が俺より一回り小さく、ひょろっとしていていざとなったら力づくでも何とかなりそうな連中だった。いざとなって力を使った経験は無いが。
「彼女、この後俺と一緒に補講があってね、時間無いんだ」俺は特にその誰とも目を合わさず、眩しそうに空を見て、それから彼女の顔を見た。
「ほら、遅れちゃうよ、進級できなくなっちゃうから、早く」そう言って彼女の肩から下がった鞄の紐を引っ張った。
「ああ、はい」そう言って彼女は俺の背後に回り、取り巻きも渋々輪を解いた。“何かあったら連絡ください”などと背中の方から声がしたが、振り返りそうになった天使さんの鞄の紐をもう一回強く引っ張ったら、そこに付いていたウサギのキーホルダーが揺れた。そのまま無言で銀杏並木を百メートルくらい早足で歩いて、キャンパスの西の端にあるテニスコートが見える所まで出ると、俺はベンチに座った。横に立っている彼女にも、座るように目で促した。
「何言われてたんすか?」
「あの、前にも言われたことあるんですけど、一緒にサークルやりませんかって誘われて」
「だめ、絶対ダメです!あいつら、やばい連中ですから」
「やばい?」
「サークルみたいな顔して、有名な思想団体の学生下部組織っすよ、神の啓示を受けたとかいう胡散臭い教祖みたいのがいて、献金させたり、何の効能も無い高価なもの売りつけたり、監禁したり、いまだにそんな二十世紀みたいなことやってる」
「でも、純粋に世の中の真理の研究しているみたいだったけど」
「ま、あいつらも騙されてんのに気付いてないだけかも知れないけど」天使さんもようやく状況を理解したかのように、ため息をついた。
「でも、やっぱりああやってみんなでやった方が、影響あるのかなと思うこともあります」俺はそれを聞いて諭すように言った。
「徒党を組んだら良い事も出来なくなる、悪党はいても善党なんて言葉は無いってよく言うでしょ。あいつらもマスコミに叩かれて落ち目だし、差し詰めあなたみたいな綺麗な人を取り込んで、広告塔にしようとでもしてるんじゃないんですかね」やべ、綺麗って言っちゃった。でも、彼女は深刻そうな顔をしてうつむいていたから、そこはあまり響かなかったようで、安心した。
「直接あの人たちと話したことあるの?」
「え?いや、無いけど・・・」ちょっと芯を突かれたような言葉に一瞬たじろいだ。確かに物書きになろうって奴が、噂を信じて良いのかって。
「少なくとも、あなたや早紀さんたちが付き合うような連中じゃない」そう言って平静を装った。
「ありがとうございます」彼女は恐縮したように頭を下げてそれ以上突っ込んでこなかったので逆にこっちがありがたかった。
「あいつら部屋に入れて、聖書の話とかしちゃダメですからね、で、俺に見えたようなもんが見えたら、ますます食いついてくるから」
「…」
テニスコートでは、初心者向けのサークルの連中が、楽しそうに球を打っては笑っていた。ああ、俺は何をやっているんだか、そしてこの隣にいる女性も。
正門の方に向かうと、あの連中がまだいるのが遠目に見えた。
「まずいな、あいつらしつこいし、後付けられてあの部屋の場所ばれたら、これから通われるかもしれないっすよ?」
「今日、国分寺の友達のところに行こうかしら」
「国分寺?」
「何?」
「ああ、最近聞いたような、まあ関係無いっす、それが良いっす、途中までお供します」
俺たちはまたこそこそ戻って、西門から出て、西口改札から駅に入った。
「あ、早紀ちゃんに電話しとく」そう言うと、あの公衆電話に彼女が行った。え、公衆電話?彼女も携帯壊れてんのかな。
一緒に電車に乗った。中央線に乗り継げるところまで連れて行こう。空いている車内で、並んで座って他愛も無い話をしたが、やっぱり二つ年上だった。高校の頃、詳しいことは分からないがクラスで仲間外れにされて辛い目に遭ったことなんかも聞いた。とてもそんな風には見えなかったが、まあ、このちょっとエキセントリックなところが誤解されたのだろうか。最近”天然”って言葉も、空気を読めないという方に重きが置かれあまり誉め言葉ではなくなったし。それに、そんな経験から神様とかに興味を持ち始めたのかなと想像した。窓から、だいぶ傾いた春の陽射しが車内に差し込んでいたが、西向きに進んでいるので間接光で、それはまるで彼女の穏やかな語り口のようだった。
「実はうちに聖書がありましてね」ぽろっと言ってしまった。
「え?そうなの?やだ、やっぱり興味あるんじゃないの、あの、栞、作ってあげましょうか」
彼女が思わず上半身を横に向け、顔を近付けて来た。お、いや、何だ、この、高まる鼓動は、しっかりしろ、俺。
「え、栞って、あ、いやいや、違います、親戚からの貰い物で、読んだことはないっす」それを聞いて彼女も落ち着いて前に向き直った。
「そうですか、ご親戚の、でも、是非興味ある所だけでいいから読んでみてください」はあ、栞か、作るってお手製の?なんて考えていたら、妙に中学生みたいなピュアな気持ちが蘇って来た。いかんいかん、そうじゃない。
「はあ…実は昨日、生まれて初めて金縛りに遭いまして」それを聞くと、彼女はまたこちらに上半身をよじった。
「それはいけませんね、何か邪悪な物があなたに近付いているのですね?」単なる話題転換で口走った俺は、想定外の大きなリアクションに身を引いた。もう、その綺麗と認めた顔をいちいち近くに寄せるのはやめてくれ、勘違いしそうになる。
「ああ、いや、その、何も近付いて来なかったし、別にすぐ直ったんで、その、貴重な経験かなと…」急に彼女の顔が暗くなり、胸に手を当てて目を瞑った。その所作の全てが、今自分の周りにいる異性たちとどこか違っていた。良い悪いは別として、細やかと言うか、とにかく新鮮だった。
電車は、俺が下宿に帰るだけなら降りるべき駅に近づいた。JRにももう数駅で乗り継げる。
「少し時間あります?ここ俺の住んでる街なんすけど」
「え?まあ、大丈夫ですけど」彼女は黒目を大きくして、でもちょっと警戒するように戸惑ったような顔をした。
「あ、部屋に来てもらおうとかそんなんじゃなくて、ちょっと見せたい景色があるんです、この時間なら間に合うかな」
俺は彼女を連れて降りた。陽が沈むには、まだ一時間くらいあるだろう、いや、三十分か?さあさあ、と促し、駅前通りを南に歩いた。
「ここ、何度か降りたことあるの、知り合いがいて」
「何だ、そうなんすか、ほら、ここよく行くとこ、チャーハン旨いよ」俺はよく行く街中華の店を得意気に指差した。何かおらが街自慢というのは、自分のことというよりまるで自分の親友を誇らし気に紹介しているみたいで、その分照れも無く力が入る。あれ、でも、こういうことする相手はこの人で良かったのかなという違和感は頭の隅にあった。
「ああ、そう、入ったことないな、チャーハン好きなの?」
「チャーハン嫌いな男、あんまりいないと思います」
「サークルとかは、何か入ってるの?」
「サークルじゃないんすけど、学部の有志でやってる草野球チームに入ってて、月一くらいで試合やってます」
「スポーツマンなんだね」スポーツマンなんて言葉、久々に聞いた。でも何か、普通の大学生っぽくて、良い感じの会話。そう、さっきテニスコートで見た人達に近づいたような。
「いや、本格的な野球経験無いし、遊びです。数合わせで、その後の飲み会や麻雀の方で楽しんでます。今は運動より、映画見る方が好きですし」
「あたし、入学当初、何のサークル入ってたか分かる?」このノリ、このノリ。
「え、失礼ながらテニスやダンスのイメージは無いっすけど、コーラスとか?」
「ヒント、寺子屋」何?
「え…じゃあそろばん?」
「当たり…」と一瞬笑った彼女だったが、そんなサークルあるのか?と不思議そうな顔をしていたと思われる俺の表情を見て、少し俯いたので焦った。
「あ、確か実家お店っすもんね、実利も兼ねてて良いっす!」でも彼女は恥ずかしそうにこっちを見てくれなかった。それが何か古風でいじらしかった。
緩やかに登る坂道。少し距離があるので、とにかく会話を途切らせないようにしていた。いつもなら下宿に向かい曲がる細い別れ道の角も、直進。
「ここ、サンドイッチの専門店、手作りで旨いんですよ、安いし。下宿はここ入った先」
「あ、ここは知ってる、買ったことある、美味しいよね」俺は振り向いてビンゴよろしく、人差し指を立てて彼女に向けた。
「来たことあるんすか!」
「一回だけ、うん、ずっと前」彼女も楽しそうに笑った。ずっとってどんくらいだ?ま、いいか。ここから坂が少し急になる。そしてその頂点から少し下った先に公園があった。
「ここ」振り向いて笑って、傾く日差しを気にしながら早くと促した。
「こんなところあるんだ、知らなかった」彼女は不思議そうな顔をした。美麗ヶ丘公園と看板が架かっているが、こんな何の変哲もない郊外の街で、ちょっと気恥しくなるような名前だ。公園というほど広くはない、そんな広場があり俺もたまたま暇な日曜に見付けた。古い料亭のような小さな木の門をくぐり、入り口から少しこんもりした木々の間を抜けるとすぐに小ぢんまりした斜面の芝生があって、南側が大きく開けていた。無粋なマンションもあるが、坂の天辺から見下ろす形になり、遠くまで見渡せる。空が大きく広がった。天気の良い日は富士山が見えるらしいが、見たことは無い。その夕景の雲の中から、地上に光が何本も射していた。は、間に合った。そして以前ここで見たことのあるその景色に出会えて、ほっとした。
「わぁ、綺麗だね」彼女が思わず呟いた。
「これね、天使の梯子って言うらしいです、俺の実家の近くの公園でもよく見えるんすよ、こういうの好きかなと思って」
「へぇ、見たことあるけど、そう言うんだね、綺麗です」彼女は両手を胸の前で拝むように合わせて、見入っていた。まるであの雪の中に立っていた時のように、その姿も含めて、一つの綺麗な絵のように、でもあの時より鮮やかな暖色系の色彩を放った、久々に見る鮮やかな色だった。この人が、そのままこの梯子を登って行ってしまったらさらに絵になりそうだった。ああ、これを見せたかったのでなく、それを見つめる彼女を含めた完成された一枚の絵を、俺が勝手に見たかったのかなと、少し反省した。
「ありがとう」夕日に照らされた彼女の遠慮がちな笑顔は、本当に天使のようだった。俺は思わず、肩が触れるくらい迄に十数センチ距離を縮めてしまった。でも一瞬だけ、少し彼女の表情が沈んだような気がした。そこで彼女がまた十数センチ距離を開けた。
「森くん、彼女いるでしょ?」
「え?」あれ、今までのどこかの雑談でそんなこと話したかな。国分寺?いや、言ってないはずだ。でも一気に覚めた。戸惑う俺の前で彼女は首を傾げて、でも笑っていた。
「まだ、彼女ではないです」
「どうなったら彼女なの?」
「え、まあその、二人きりで定期的にどこか行くようになったりしたらかなあ」
「意外と健全ね、でも永遠の謎ですね」
「はあ・・・」雲間からさす光の筋が、俺を探しているようだった。俺は何をしているんだ?
すっかり陽が落ちた後、再び駅に戻ったが、やけに改札で天使さんがもじもじしている。
「あの、さっきからずっと言おうと思っていたんですけど」
「は?」そんな、また急展開?いやいや俺は馬鹿か。でもさっきのは照れたから?直立不動になった俺に、視線を合わせようとしない。
「あのぉ」
「はい!」
「実は今日のお昼に会った人たち、前に一緒にやっていた人たちなの」
「はい?」え?急に胸の鼓動が静まったと同時に、もやっと嫌な感覚が胃のあたりに広がった。
「だってさっき、あいつらに居場所バレたらダメだからね、って言った時…」あ、そう言えば何も答えなかったな。
「ええー!何で早く」
「だって、何か怒ってたから言い辛くて」年上のはずの彼女が急に子供っぽく見えた。
「いや、怒ってたんじゃなくて、心配だから…で、今は?」
「途中で違うなと思って抜けたんですけど、その後も戻って来ないかって、あの部屋にも訪ねて来て」何だよぉ、じゃあこそこそ西門から出たのは何だったんだ。
「じゃあ、そもそも知り合い?あの場所ももうばれてるわけ?だから今日囲まれてたの?」勇者気取りで救い出した気でいた、あの場で唯一他人の自分の姿を思い返して何か滑稽に思えた。
「ほら、今も怒ってる、でも一人一人は真面目な良い人たちだから、悪く言わないでね?」
「いや、悪い奴ら・・・」と言いつつ俺も直接話をしたり調べたりしたわけじゃなく、他人の言っていることを信じているだけではあった。でも、いわゆる世間で言われている詐欺みたいな勧誘をこの人もやっていたのか。
「あの日俺に声を掛けたのも、その癖が抜けなくて?」
「違います!抜けた後も神様の勉強は続けたくて、あなたを見て話をしていたらこの人なら伝わるかなって、本当です、信じて下さい。でもごめんなさい」そう言って今にも泣きそうな顔で頭を下げる彼女を前にしたら、それこそとても悪人には見えずそれ以上疑いの目で問い詰める気にはなれなかった。
「もおぉ、怒ってないけど、早紀さんもそうなの?」
「彼女は違う、その後に会ったから」
「そうなの、で、本当に戻る気は無いの?」
「それはありません」急に毅然と、そこだけは自信たっぷりに俺の目を見て言ってのけた。
「とにかく、しばらくあそこに戻らない方がいい!」
「はい」混乱した俺を置き去りに、彼女は自動改札を抜けてちょっと気まずそうに軽く会釈をした。頭が混乱して、俺は一、二分茫然と立ち尽くいていた。全く、感情があっち行ったりこっち行ったりで、収拾がつかない。急に、早紀さんに連絡しないといけない気になった。振り向いて公衆電話に向かったが、あいにく小銭の持ち合わせがない。俺は慌てて下宿に戻った。
部屋に着くなり、財布からポストイットを出して、一抹の不安を感じながらあの番号に掛けた。掛かった、ヨシ。
「あ、森ですけど、早紀さん?」
「ああ、森くん、何、この時間から来るの?」呑気そうな声に少し安堵した。
「いや、そうでなくて、今日、変な奴らそこに行かなかった?」
「変かどうか分からないけど、何か二人くらいで来たよ?天使ちゃんに会いたいって」
ああ、やっぱり。
「天使ちゃんいないよって言っ一たら、帰ったけど。さっき天使ちゃんから電話あって、一週間くらい実家に帰るって、森くんにも言ってあるって言ってたから、知ってんでしょ?この〜」ああ、あの後電話したのかな、帰省するって言ったんだ。
「その、そいつらってのはその」早紀さんはどこまで話を知っているのだろう。
「ああ、昔天使ちゃんが関わってたサークルの人たちでしょ?」ああ、そこまで知ってるんだ、なら話は早い。
「知ってると思うけど、そいつらヤバい集団だから、気を付けないとね?」怒っているように聞こえないよう、トーンを落として話したが、いつもと違う調子に何かを察したのか、しばらく早紀さんは無言だった。でも、ひとまず伝えたいことを伝えられた達成感があった。
「そーなの?大人しくて真面目そうな人たちだったけど、でも大丈夫なんじゃない?天使ちゃん推しの人もここ来てくれているし」あ、伝わってない。
「いや、だからですね、甘く見ない方がいいですって、親組織はニュース沙汰になっているカルトな連中ですよ?」極力落ち着いて説明したが、何か天使ちゃん推しの人などと言われると妙に嫉妬心が沸いてきてしまい、語気が強くなった。にもかかわらず早紀さんの反応は“そーなのかなぁ”と、まるで敢えてのらりくらりしているかのような相変わらず緊迫感の無いものだった。
「あの、天使さん、最悪強引に連れ去られるかもしれないっすよ」と言ってみたが、“歩いて三分くらいのところに交番あるしー”といった調子。まあ切り際には、“分かったよ、気を付けるよ”とは言ってくれていたが。うーん、伝わったかな、俺が一人で熱くなっているだけなのかな、とやかんに水を入れて沸かした。
翌朝、やっぱり心配になって、あの建物に行ってみることにした。駅の公衆電話から電話すると、つながらなかった。そうだった、ここ数日、やけに濃い時間を過ごしたから勘違いしていたが、帰省とか抜きにして彼女たちはそういう、いつでも会える存在ではなかったのだ。だいたい昨日俺が知る前から、あいつらは彼女を引き戻そうとしていたわけで、知ったからって急に心配し出す俺の方がずれているのだ。それでも建物の前まで行ってみたが、すでに遠目で鈴木さんが洗濯物を干しているのが見えたので、見つかる前にUターンした。こうしてはずれくじ引いて一人で歩くこの道と、天使さんと一緒に歩くこの道の景色が、少し違うような、そんな違和感はあった。こんなことがあるまで滅多に来たことが無い場所だったから、それほど深く考えなかったが。部屋戻って、追試の勉強でもするか。ガード下から見えるあのビルも、やっぱりもんじゃ焼きの看板で、地下はパン屋さんだった。俺はいそいそとまた下り電車に乗った。
受験勉強から一年もすると、こんなにも勉強に集中できなくなるものか、と、自分でも驚く。あと三年もしたら、どうなってしまうのか。本を読んでいてもちっとも頭に入らず、何度も同じところを読み返す。で、畳の上で横になって、スマホも無いからテレビを点けてしまう。テレビは楽だ。本と違って映像を自力で構築する必要が無く、労せず情報が入ってくる。でもそれも頭には残らず、右から左に流れていく。だめだだめだ、と、立ち上がって本棚を見ると、またあれが目に止まった。聖書だ。思い切ってパラパラめくってみたら、古い書物にありがちな香ばしい匂いがした。よく古本屋で嗅ぐやつだ。手作りの栞とか言われたときは一瞬舞い上がったが、まあ、それも急激に現実感を無くしていた。その途中に、折り畳まれた紙が挟まっているのを見つけた。ん?何だこれ。映画の指定席前売り券一枚、下部が切り離されていないので未使用だ。“ベルリン天使の詩”あまり聞いたこともないミニシアターの名前が書かれていた。咄嗟に初めてあそこに通った夜に天使さんが言った言葉を思い出した。”見たい映画があるんです、ベルリン天使の詩“そもそも聖書なんて話が出て来た時点で頭の中で無条件に二人がシンクロしていたが、何かそれがまた一ステップ上がった気がした。とはいえ四十年近いタイムラグがあるわけで、相変わらず根拠レスだが。ノートPCのネットで検索してみたが、日本では一九八八年の四月に公開されていた。逆算すると、叔父さんが大学生だった頃か。でも確か叔父さん、これ見に行ったと言っていた気がするが?またなんか変なものが出て来たというか、見てはいけないものを見てしまった気分になった。それにしても昔の映画の前売り券って、完成された一つのアート作品のようで味があって、何の思い入れが無くても取っておきたくなる気持ちが分かる。
すると、インターフォンが鳴った。無警戒にドアを開けてしまったら、背広姿の見知らぬ中年男性が立っていた。
「ああ、開けてくれた、最近滅多にドア開けてくれる人いなくてね、画像付きのインターフォンで断られたり居留守を使われたりで」感じの悪い人ではなく、穏やかそうな丁寧な人だったが、何となく何しに来たのか分かり、ドアを開けたのを後悔した。電話の営業は時々あったが、こういう直接訪問は新聞の勧誘すら無いこのご時世で、ましてマンションでもないこの二階の部屋に来ることもなく、来ると言えば宅配で、それも両親からの救援物資だったから、気を緩めてしまった。
「何でしょう」開けてしまった以上、帰ってもらうまで段取りを付けなければならない。
「あ、すみません、私、こういう者です」と名刺を一枚差し出された。聞いたことも無い会社名だったが、似顔絵が書いてある、ちょっとポップな名刺だった。五十代半ばだろうか、腰が低くてというか、そもそも背も低くて、若造の俺にも見くびったような素振りを見せない。
「いや、こういうこと言うと胡散臭がられてしまいますけれども、ちょっとこのお部屋、方角が悪いというか、その、空気の流れが良くないと言いますか、最近不思議なことによく遭ったりとかされてませんか?」うわ、そっちか。ま、不思議な目には遭っているけど、勘弁勘弁。
「ああ、いいですいいです、そういうの気にしないし、間に合ってますから」気にはしているし間に合ってもいないが、この人を頼っても解決しそうに思えない。
「いや、その名刺のウェブサイトでも見られますけれど、こういう、気の流れを改善するものがありましてね」オジサンは鞄からカタログのようなものを出し始めた。
「大丈夫ですから!」少し強めに大きな声を出したら、オジサンは少し驚いたように身を引いた。この人もノルマを課せられて頭痛めているのかなと思うと少し可哀そうなというか、自分も将来こういうサラリーマンなるのかなという気持ちにはなったが、こういうものははっきり断らないといけない。
「そうですか」出しかけたカタログをあっさり仕舞った。ああ、案外しつこくないなと安心してドアに手を掛けたら、そのオジサンがスマホを出して一つ二つ操作した。
「全然別の話ですが、この人、ご存知ないですか?」向けられたスマホの中の写真を見て、ギョッとした。少し遠目から拡大して撮ったらしくややピントが合っていないが、まぎれもなく天使さんの顔だった。
「あ、いや、知りませんけど」かなり動揺していたが、努めて冷静に答えた。オジサンは、さっきより少し笑顔が消えた目で、真っすぐこちらを見ていた。本当ですか?と追及されている気がした。でも、すぐにまた穏やかな表情に戻った。
「そうですか、失礼しました」
「その人、どうかしたんですか?」堪えきれず聞いてしまった。
「いや、何度かお話しさせて頂いた方なのですがお姿が見えなくて、色々悩みを抱えていらっしゃるようで、ま、こっちの話です」俺はドアにかけた手を動かせないでいた。これ以上聞くと、知らないというのが完全に嘘とバレてしまう。するとオジサンは画面をフリックして、もう一枚写真を見せた。それは、あの低層マンションだった。
「あなた、最近ここに行かれてませんか、先程の方のお住まいっぽいのですが」さっき以上に血の気が引いた。まるで、知っているぞと言われているような気がした。
「行ってません」硬直しながらやっとそう声を出せた。今朝も行った。会えなかったけど。
「そうですか、それは失礼しました」それだけ言うと、オジサンは軽くお辞儀をしてスマホをしまった。
「ご興味がおありでしたらホームページ、見て下さいね」そう言うと少し口元を上げて笑った。俺は思い切りドアを閉め、玄関にへたり込んだ。バレてるっぽい。そうだ。すぐに立ち上がってキッチンの横の窓を十センチほど開けた。ここからは下の入り口の駐車場が見える。そこには、さっきのオジサンの姿が見えた。先ほどと違い、電子タバコをくわえ背筋をピンと伸ばし、若い男二人を前にして、“車は無いのか?”などと何か少し横柄に話していた。しかもその若い二人、見覚えがある。こないだ天使さんを囲んでいた中にいた。そうか、後を付けられていたのは俺の方だったのか。俺は頭を抱えた。
ノートPCで名刺の会社をくまなく検索したら、一つだけ、あの集団との関与を臭わせる恨みつらみの書き込みが見付かった。それを信じるなら、隠れ蓑にするたくさんあるグループ会社の一つらしく、気流改善装置を買わされ悔しい云々といった口コミがちらほら。あんなのに騙される奴いるんだと思ったが、しかしやっぱりまずい。せめて早紀さんだけにでも伝えたいが、今日は会えない日っぽい。いやきっとあいつらも会えなかったから、鈴木さんの洗礼を受けて俺のところに来たのだろう。ということは今日は安全ということか。うーん、ややこしい。
「とゆーわけなんだよ」俺は言いながら何か顔がほころんでいるのか強張っているのか自分でも判断が付かなかった。隣駅の大きな公園の入り口階段付近にある焼き鳥屋。お互いバイトの金が入ったので、このたまに行くお気に入りの店に集合した。
「はー、やっぱりヤバい連中の一味やったんやな」
「昔な、今は違う」
「んなもん、まあいい、話がてんこ盛り過ぎてよく分からんちゃ。天使ちゃんは自分じゃ気付いていないが、人によってすんごいものが見えるようなテクを持っているけど、今はその何とかちゃんと二人で真面目に神様の勉強していて、変な集団の手先でも信者でもやないんやな?」
「うん、まああれは俺の幻覚かもしれんが。テクって言うな」俺はもも肉の塩を一本かじった。
「で、あの詐欺集団が、天使ちゃん取り戻そうとして、お前の後も付けてたわけやな?天使ちゃんがお前を洗脳してると思っとったが、天使ちゃんが狙われとる状態なんやな?」
「うん、多分そういうこと」俺の話し方も相当支離滅裂だったはずだが、よく分かったな。
「で、お前は天使ちゃんに惹かれとると」
「え?そうは言ってない、心配なだけだ、純粋そうな人だから、あんな人、まだいるんだな?」ドキッとしながらそんなセリフを空々しく吐いた。
「でなきゃ、そんな心配せんやろ?所詮他人同士、いるのかいないのか分からん人の話やったら」確かに、他人だったら誰がどうなろうが、へー、可哀想だなくらいの話なのかもしれない。けれど何か、そんな一言で片づけてもらいたくないような、火が点いているのはそこではないような違和感もあった。
「ただ、俺が注意したら、“ほら、怒ってる”と言った時はちょっと可愛かったかな」
宮地は手の平で目を覆って、面白そうに笑いながら机を軽く叩いた。
「お前は童貞中学生か、でもお似合いや」俺も自分で笑ってしまった。確かに、俗っぽい欲が全く沸いて来ないが、プラトニックというのともまた違う。付き合う姿が想像出来ない。そこが、みゆきちゃんと違う。そこで宮地の顔が急に真面目になった。
「だいぶ前に、どっかの大学で新興宗教の勧誘の女が、勧誘してた男の学生に刺された事件があったって聞いたぞ、お前もそうならんようにな」ちょっとドキッとした。
「それは、大丈夫だと思う、でも何でそんなこと?」
「まあよう知らんけど差し詰め“良い感じやったのにただの勧誘だったんかい”ちゅう感じやないのかあ」
「はあ、そんなんで刺しちゃうんだ」
「大体お前、みゆきちゃん東京出て来るんやろ」またドキッとした。
「だから!・・・いや、ありがと、大丈夫だよ、あの人に勧誘されてないし心変わりもしない」一瞬昂った感情を、何とか抑えた。そんな葛藤が伝わったか、宮地はそれ以上詰めては来なかった。
「ま、冗談や、ほうか、俺もその人に一回会いたいな」
「いや、お前とはちょっと空気感が合わないかもな」
「何やそれ、傷付くわぁ」そういう意味で言ったんじゃないと、俺は慌てて首を振って、それまで各々で手酌で飲んでいた瓶ビールを宮地のグラスに傾けた。
「ま、電話番号スマホに残っとるから、いつでも連絡出来るけどな」またすぐいたずらっぽい笑顔に変わって一安心した。昔はちょっと古びて雑然とした店だったらしいが、すっかりきれいに改装されており、しかし相変わらず庶民価格で、味も昔とそれほど変わらないと、去年の春引っ越しが終わった後に叔父が連れて来てくれたのが初めてだったが、その時そう言っていた。俺は机の端に置いていた、誰も飲まない三つ目のグラスにかつんと乾杯した。
「お前、やっぱり叔父さんいなくなって、少し病んでるん違うか?」
「やっぱそうなのかな、こないだ初めて金縛りになった」思わず宮地がのけ反った。
「次から次に、ま、ええか、俺もなったことあるし。でもその、行っても居ない日があるっちゅうのは何?」
「分からん」
「その天使たちやらに聞いてみたんか?」
「聞いてない」
「何で?そもそもそこが一番核心やろ」
「聞いたらそれきり本当に会えなくなるような気がして」ぽろっと出てしまったが、言った瞬間、自分が情け無くなった。言う通りだ。そもそも俺たちと同じ『存在』でなければ、疑問に思うことも心配する必要も無い。俺がお祓いでも病院にでも行って、そんなものが見える自分の治療をすれば良いだけだ。宮地は腕を組んで天井を見上げた。さすがに怒ったかな、俺の弱々しい態度に。
「おし、これから行ってみるか?その何とかちゃんいう相棒はいるんやろ」
「え、もう九時半だし、あそこまで三十分はかかるぞ、今朝は繋がらなかった・・・」言うが早いか、宮地はスマホで電話し始めた。そして俺にそれを差し出した。
「おう、繋がったぞ、俺は百発百中」
「え?繋がった?でもおい…」何でこいつがやると繋がるんだ?ちょっと嫉妬した。そんな俺を横目に、宮地はさくさくスマホで話して、それを切った。
「上がりゃあしない、玄関で挨拶するだけや」この話し好きがそんな短時間であそこを離れるとは思えない。
「んなこと言って、なんやかんや話し込んで終電無くなったらどうすんだ?」
「こないだ、去年就職した先輩と夜中まで飲んだ時、勢いでタクシーアプリ入れたから大丈夫や」
「サラリーマンかお前、タクシー乗る金なんか持ってないぞ」
長居はしませんから、と断っていたのは聞いていたが、駅に着いたらもう十時を回っており少し気が引けた。
「ちょっとジュースくらい買って行こう」俺たちは後を付けられていないか確認しながら、恐る恐る建物の前に着いてから思い出したように西口の改札の方に戻った。あれ、コンビニが無い。もう改札が先に見えていたが、初めて来た時に確か見たはずのコンビニが見当たらなかった。ま、少し酔っているし、そう言えば東口の先にもコンビニあると言っていたな、俺はあまり深く考えず、“悪い、あっちだ”と、宮地の肩を叩いた。
くるっと振り返り、駅前通りをまた逆の方へ行った。そしてまたマンションを通り過ぎて五分くらいで、郵便局の先に確かにコンビニがあった。“俺が適当に買ってくる”という宮地に任せて店内に入ると、やけに垢抜けない、酒屋を改装したような、大手チェーンじゃない、どちらかと言うと地方ローカルみたいな店構えだった。レジ横におでんや揚げ物類も無い。雑誌コーナーが広いのも気になった。そこで若い男が一人立ち読みしている後ろ姿が見えた。先にいたのだから後を付けて来たわけでもないのだろう。ただ、足元に目が行ってしまった。ファッションには疎かったが、その分スニーカーには少し拘りがあった。あまり見たことのない型のゴンバースシューズだった。新しい感じはしないし、復刻版だろうか?“買ったぞ”と目の前に現れた宮地に我に返った。
「うわ、酒くさ!」早紀さんは、突然の夜の訪問には触れず、玄関を開けてくれた。
「あ、ほんとに、今日はここでいいっすから。これ、電話で言った友達」宮地が深々と頭を下げると、早紀さんは今どき五分刈りが珍しいのか、”触っていい?“とけらけら笑った。俺はコンビニの袋を差し出して見せた。
「今日でも明日でも、飲んで」
「お、気が利くねぇ、青年、あれ、ジュースと一緒に缶酎ハイ入ってるよ?」俺は買い物を任せた宮地の方を振り向いた。やつはすまんすまんというように両手を合わせて二、三度頭を下げた。
「帰り道、こいつともう一缶だけ飲もうと思って」
「じゃあ一緒にするなよ」俺も頭を下げた。
「ちょ、トイレ借りていいっすか?」宮地がすまなさそうにまた手を合わせた。
「ああ、そこ、入ってすぐ右だけど」俺ももう一度深々と頭を下げた。大きな体を小さくして狭い玄関を爪先立ちで入っていく姿がおかしかったのか、早紀さんはまた笑っていた。まあ確かに、どこからどう見ても悪い人間には見えなかったろう。以前早紀さんには素質がありそうと言われていた手前、信仰は無いがこういう良い友達がいるということを知ってもらうのも、この先良いと思った。
「いや、今日俺んとこにも変な人が来て・・・」宮地がトイレに行っているすきに、俺は早紀さんに立ち話で簡単に話した。
「あらあらそれは、迷惑かけちゃったね、こっちは誰も来なかったよ?あ、さっきまで常連さんみたいな人来てたけど、昔から時々来てる人」それを聞いて安心したが、常連さんみたいな人って、一対一でも入れるんだ。やっぱり不用心だな。
「あの、天使さんは」本当は連絡先が知りたかったが、そこまでは言えなかった。
「うん、一週間したら戻るって言ってたから、まだ、あと三日くらい?」
「本当に実家帰っちゃったのかな」
「え?違うの?」
「いや、俺には友達んとこ行くって言ってたから…」
「そうじゃないの?あ、何で知ってんの、この~いつの間に」
「あ、別にいいや、そうじゃなくて、とにかく気を付けて下さいね」
「大丈夫、あたしはターゲットじゃないから」早紀さんは片目をつぶって手で拳銃の形を作って笑顔を作ったが、俺は笑えなかった。それを察してか、“大丈夫だよ”と俺の顔を覗き込んだ。そこで酔っ払いが帰って来た。
「いやあ、こいつがお世話になってます。何かあったら、こいつがお守りしますから、あ、俺も草葉の陰からサポートします」顔を真っ赤にしてまくし立てた。
「草葉の陰ってお前は死人か?」
「あははは、あんたたちの会話、漫才みたいだね」早紀さんが笑っていた。それから宮地と早紀さんはよっぽど夫婦漫才みたいに勢い良く会話を続けて、俺は間に入れなかった。そうか、小便我慢してたから大人しかったのか。しかしその様子を見ながら俺も、宮地と早紀さんは結構合うかもしれないなと思った。終いには何故か自分の携帯の番号まで教えていた。”俺だけここの番号知っているのはフェアじゃない“とか訳分からん理屈で。
「ところで今朝いました?」会話の切れ目で思い切って聞いてみた。
「え?いたけど?」
「あまり長居したら失礼やぞ」お前が言うなと思いながら、宮地に引っ張られるように、俺は玄関を後にした。そこから改札に向かうまでの間、二人で350mlの缶チューハイを開けた。
「お前の話本当やったんやな、本当言うと、お前がおかしくなって幻覚でも見てんのやないかと思って心配してたんやけど、ちょっと安心したわ、それにええ人やんか」
「俺も正直自信無くなってきてたから、ちょっと安心した」
「一発言うといてやったから、サポートになったかな?」宮地が背中を軽く叩いた。やけに上機嫌だった。ほろ酔いで西口改札のガード下から見えるえんじ色のビルに、蕎麦処の看板が見えた。
もちろん終電はまだだったが、ほろ酔いだったからか、寝過ごして隣駅の、短い私鉄の終点まで来てしまった。ちょうど最初に宮地と飲んでいた焼き鳥屋の最寄りにまた戻って来てしまった形だ。宮地は途中の乗換駅で降りたのだろうか。ここからなら歩いて帰れる距離だし、折り返しても寝過ごしてしまいそうなので、俺は徒歩で帰ることにして改札の外の上下二列のエスカレーターを下りた。後を付けられているかもとまだ心配はあったし。駅前の雑踏を抜け、大きな公園に繋がる通りに入るとだんだん寂しくなる。あの焼き鳥屋はもう閉まっていたが、階段を下りた公園の中にはまだぱらぱら人影があり、池の反対側にある東南アジア風に電球連ねている飲み屋や、小洒落た喫茶店などもまだほんのり明かりが点いていた。夜風はさすがにまだ冷たい。後から誰かが付けている様子も無い。そんな中を一人歩く夜道、“じゃあ”とお辞儀をした天使さんの顔が浮かんだ。不思議な人だけど、少なくともあと三日は確実に会えないということか。何か急に胸が苦しくなった。焼き鳥屋で宮地に言われたことも引っ掛かっていた。あの人たちと過ごす時間、空間は、とても安らかで心地良く、一種の中毒性すらあって、理不尽さを放置してでも手離し難い感情に襲われる。気付いたら、すーっと涙が一筋流れていた。いかんいかん、幻覚ではないにしても、本当にメンタルが弱っているに違いない。あんなとこ行ってないで病院行くか。俺はパーカーの袖で顔を拭くと、ポケットに手を入れて暗い公園を突っ切った。
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