ゴーレム作製

 さてゴーレムを作るとはいってもどう作るか。

 俺の持ってる生産スキルは基礎だけだからな。これだけで作れるものなのだろうか?


「そもそもゴーレムってどうやって作るんだ?クリエイトゴーレムみたいな魔法やスキルでもあるのか?」


『人工ゴーレムの作製は、まずゴーレムの核を用意します。次に骨格、外装、魔力回路の作製。最後に核と作製した体を結合し魔力を込めることでゴーレムが完成します』


 …思ったより科学的と言うか何と言うか。

 今のスキルで作れるのか?材料だってほとんど無いけど。


「まぁ、つべこべ言わずに作ってみるか。最初はゴーレムの核だっけ?…核に出来そうなものなんてあるか…」


 …ガサガサ…ガサ…

 ダメだ見つからん。盗賊の持ち物には…ないか。外に荷物とか置いてないかね。


 俺が材料を探しているとミカエル達が戻ってきた。


「無事任務を終え、戻って参りました。アヴィリル様」

 そういいミカエルは体を傾けた。後ろの2人も傅いていた。


 そんなこといちいちしなくても良いんだが…


「まぁいい。見回りご苦労様」


「寛大なお言葉、ありがとうございます」

 …これだけで寛大とは。


「…ちょうどよく来たな。オボロ、お前に頼みたい事がある」


「ハッ」


「オボロにはダンジョンを出て恐らく有るであろう侵入者の拠点を探して欲しい。そしてそこに置いてる荷物も持ってきてくれ」


「畏マリマシタ」

 オボロはダンジョンの外へと駆けて行った。


 オボロならハイドや俊敏のスキルを持ってるからな。万が一盗賊が残っていても逃げ切ることぐらいは出来るはずだ。

 戻ってくるまでに他の物でも作るか。

 幸いダンジョン広げる過程で鉱石が幾つか見つかったからな。


 そんな作業をしていると

「ところでアヴィリル様は何をなさっているのでしょうか?」

 ミカエルから質問が来た。


「今はゴーレムを作ってるんだ。いずれは俺の体を作ろうと思ってな。今から作るゴーレムは、その試作だ」


「おぉ、神のお身体を!それは誠に素晴らしきことにございます。もちろん今の球体、ダンジョン・コアの姿も大変美しいですが—」


「そんな大層なものじゃ無い」


「いえ、大変素晴らしきことだと思います。まさに偉業!貴方様が身体を手に入れられたならば更に御身の…」


 …こいつ、止まらねぇな。

 たかだかゴーレムを作るだけなのに。身体を作ってもこんなんじゃあまり使いたく無いな。

 まぁいいや、とりあえず無視しとこ。


 俺はミカエルの賛美を無視して作業を続けた。


 ゴーレムの外装か…イメージとしては騎士だな。無骨な感じのtheゴーレムってのもいいけど、騎士風の鎧でも作ってみるか。


 どの鉱石を使おうか。…そもそもどれが何なのか全くわかっていないが。

 …そうだ!こんな時こそスキルだ!確か鑑定を手に入れてたはず。


「鑑定」


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 名称:脆鉄鉱

 説明:柔らかく脆い鉄鉱石

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 名称:石英片

 説明:半透明な鉱石。硬度は高いが脆い。

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 名称:淡光鉱

 説明:ほんのり光を帯びる石。光量は弱い。

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 …これは鎧に使えるのだろうか。

 使えたとしてもそもそも量が少ないからな。


『盗賊の武器を使うのはどうでしょうか』


 確かに。そうするか。

 …剣は1、2、3、4……13、14、15本と大剣が一本か。

 こいつらをバラす前に…なんか大剣だけ他の剣とは色味が違うな


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 名称: 鋼の大剣

 等級:上質級ファイン

 説明: 精錬された鋼で鍛造された両手剣。ミスリルがコーティングされている。

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 等級なんてのもあるのか。

 そしてミスリルのコーティング。だからコイツだけ色が違うのか?

 等級の方も気になるが今はゴーレムだ。


 とりあえず剣をばらそう。分解スキルでも使ってみるか。


「分解」


 スキルを発動すると目の前にあった十数本の剣は全て柄と刀身に分解された。


 さて次は、バラバラだと使いずらいから刀身と鉱石を全部融合して一つにしてみるか。もしかしたら面白い金属が出来るかもしれないからな。


「融合」


 目の前に現れたのは、鈍い銀色にまるで星屑を散りばめたような斑点が広がった金属だった。


「おぉ綺麗なのが出来たな。鑑定」


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 名称:無し

 説明: 鋼を基盤に、脆鉄鉱、石英片、淡光鉱、そして極小量のミスリルを融合して生み出された合金。

 強度は鋼を上回り、魔力伝導性もわずかに備えている。

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 …名称無し?

「なんで名前がないんだ?」


『マスターが創られたオリジナルの合金だからです。マスターが名前を付けることで鑑定にも名付けた名前が表示されます』


 …オリジナルの合金。

 まさか意図せずしてそんなものを作ってしまうとは。


「名前は…星屑鋼スターダストスチールだ!」


 見た目が綺麗で斑点が星みたいと言うのと、鋼がメインだから、それを合わせて星屑鋼スターダストスチールだ。

 我ながら最高のセンスだと自負している。


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 名称: 星屑鋼スターダストスチール

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 おっ、ちゃんと名前がついたな。

 するとミカエルが巨大な目こちらを凝視していた。


「なんだミカエル?そんなに見て。…怖いんだが」


「なっな、な、な」


「え?」


「な、なっなんとアヴィリル様が初めて成された融合をみ、見逃してしまった。このミカエル!一生の不覚!」


 何なんだコイツは。さっきまでずっと俺を褒め称えていたかと思えば、たかだか融合を見逃したくらいで。

 …今更だけど送還とか出来ないのだろうか。真剣に考えた方が良いのかもしれない。


 そうこうしているうちにオボロが戻ってきた。

「タダイマ、戻リマシタ」


「おかえり、オボロ。それで何か見つかったか?」

 袋を携えているのを見るに盗賊の拠点は見つけたようだが。


「ハイ。コチラヲ」

 オボロは持ってきた袋を俺に差し出してきた。


 どれどれ。

 …食糧に着替え、硬貨……紫色の石?

 紫色の石は大小は様々だが他にもいくつかあった。


『それは魔石です。野生の魔物の体内に生成される石で、心臓の役目をしています』


 魔石か。ちょうどいいな、コイツをゴーレムの核にしようか。


『核にはゴーレムが動くのに必要な術式を刻印する必要があります。最低でも動力循環、安定化、命令受領術式の3種類が必要となります』


 …なるほど、術式の刻印ね。

 って術式なんて分かるわけないじゃん。本当なら本とか見ながら作るものだろこれ。知識が足りない。


『本来ならそうですが、マスターにはユニークスキル:万物鑑考がございます。このスキルにはあらゆる生産系クラスの基礎知識が全て詰まっています』


 …確かにそうだが、改めて聞くとすごいな。全部って。

 まぁいい。魔石に術式を刻印していこう。


 俺はスキルを頼りに術式を刻んでいった。初めての作業でいくつか失敗したが、数時間後何とか一つ成功した。


「…ふぅ。やっっっと成功した!」

 まさか基本の3種類だけであれだけ難しいとは思わなかった。魔石を整形して、魔力操作や刻字を使って術式を刻んで…って長いわ!手がないから魔力操作での作業が1番大変だった。力加減をミスったら一発で割れるからな。

 知識だけ、スキルだけだと使いこなせないのだと理解した。


 核は何とか作り終えた。次は身体か。


 体は騎士のイメージで鎧の作製。

 鎧…と言うか身体は全て星屑鋼スターダストスチールを使って…身体の内部に魔力回路を作成して要所で光って見えるようにラインを入れる。余った材料で長剣と大盾を作れば、


「はいっ完成!」


 目の前には岩のような身体、所々に青いラインが走り、長剣や大盾…剣型の棒と金属の板を持ったとても騎士とは言えない化け物だった。


『…』


「おおっ何と素晴らしき造形美!このゴツゴツとした身体、そこに走る青いラインがとても美しい!」


 …なんだろう、ミカエルからの賛美が煽りにしか聞こえない。

 俺にセンスはないのか。


 見かねたのか

『私がマスターのイメージを投影し、身体と剣、盾を作製しますか?』

 演算機がそんなことを言ってきた。


 …そんなことができるのなら初めから言って欲しかった。自分でもここまでセンスが無いとは思わなかったが。 

 もしかして核も演算機に任せられたのだろうか。俺の数時間の格闘はいったい…


「…まぁいい、頼んだ」


『マスターのイメージを投影し、新たなゴーレムの身体を作製します』


 演算機が作業を開始すると、目の前にあった岩の化け物はその形をどんどん変えて行った。演算機は俺のスキルを効率よく使い、俺のイメージ通りの騎士とそれに見合う長剣と大盾を作っていった。


 …俺よりも上手く俺のスキルを使いこなしている。俺は自分のスキルに負けたのか…


 俺が1人落ち込んでいるといつの間にか目の前には岩の化け物ではなく、今にも動き出しそうな荘厳な騎士が立っていた。


 全長は2m程、鎧には細やかな彫刻、装飾が飾り付けられており所々で青いラインが入っていた。鎧や剣の刀身、大盾は鈍い銀色に薄く光り、まるで星屑が散りばめられたかのようにキラキラと淡く輝いていた。


「…すげぇ、カッコいい」

 思わず見惚れてしまう程、素晴らしい出来栄えだった。

 鎧の中央部には不自然な凹みがあった。


「ここに核を嵌めればいいのか?」


『はい。核を嵌め結合させ、魔力を込めることにより動作を開始します』


「よし」

 俺は核を鎧に嵌め込み魔力を込めた。

 魔力込め終えた瞬間、鎧には入っていたラインが徐々に光だし、鎧や長剣、大盾の輝きも増した。


 ゴーレムは俺の前で膝を折りかしずいた。その姿はまるで伝説の騎士の様だった。


 …こんな命令した覚えはないが、マスターを俺に設定したからかな?


「まぁいい、ステータス」

 ゴーレムのステータスは現れなかった。


「あれ?」


『人工ゴーレムにステータスは存在しません。能力値は作製に用いた素材に依存し、基本的に変化しません』


「マジか。じゃあ鑑定」


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 名称:星屑人形スターダスト・ゴーレム

 等級:上質級ファイン

 説明:星屑鋼スターダストスチールを用いられ作製された人工ゴーレム。

 通常の人工ゴーレムよりも耐久性に優れ、淡い星屑の光を放つ。

 —————————


 名前に星屑が入ってるのか、いいね。武器も星屑の長剣と星屑の大盾でシンプルだがカッコいい。


 やっとの思いで完成したゴーレムだ。

 まずはコイツに何が出来るのか確認していこうか。




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