地上界のうんちく

夢想神伝流(むそうしんでんりゅう)

――現代日本で最も広く伝わる居合の流派


開祖は室町時代の剣士・林崎甚助重信。

父の仇を討つため、山口県のとある神社で千日間の鍛錬を行ったと伝えられています。

(※この「山口県」という地名は、私の師匠が現地修行で受け継いだ口伝によるもので、史料や他流派では諸説あります)


千日目の夕刻、境内でうたた寝をしていると――夢の中で天狗が舞う姿を見た。

その舞こそが、夢想神伝流の剣技の原点になったといわれています。

(※この「天狗の舞」も口伝に基づく描写で、史実では「夢で剣技を授かった」とのみ記されている場合が多いです)


天下無双の称号

その後、八代目当主・長谷川英信が豊臣秀吉の前で演武を披露。

秀吉は「その剣技、天下無双なり」と賞賛した――と伝えられています。

(※この逸話は剣術史や講談などに見られますが、「天下無双」という言葉が史実かどうかは不明。多くの場合は後世の美称と考えられています)


これをきっかけに、無双神伝英信流という派生流派が誕生しました。


全日本剣道連盟と制定居合

現代では、全日本剣道連盟が全国の流派をまとめ、共通の「全日本制定居合」を設定。

これは居合を学ぶ者の必須科目であり、夢想神伝流の稽古にも組み込まれています。


全日本制定居合(12本)



後ろ


受け流し


柄当て


袈裟切り


諸手突き


三方切り


顔面当て


添え手突き


四方斬り


総切り


抜き打ち


(※これらは刀裁きや体の使い方を学ぶための基礎技です)


夢想神伝流の型

初伝(大森流) … 座り技を中心とした基本型


中伝(長谷川英信流) … 立ち技や応用技


奥伝(重信流) … 実戦を想定した高度な型


さらに、公にはあまり知られていない**「口伝」や「組太刀」**も存在します。

(※これらは道場内だけで伝わるため、資料ではまず見つかりません。あえて詳細は書きませんが、存在を知るだけでも剣オタク心をくすぐるはず)


小説世界とのリンク

主人公・優人の師は山口県で一生をかけて居合を修め、一般には伝わらない口伝や組太刀も習得していました。

優人もその一部を受け継ぎ、戦いの中で応用しています。


例えば――

対デューク戦で披露した「茶返し」。

これは**大森流 六本目・流刀(受け流し)**を変形させたものです。

本来は足を踏み込まない居合ですが、この技では三度テンポよく踏み込み、動きも派手。

見た目の迫力と訓練の負荷が高いため、優人のお気に入りでありつつ、習得時は一か月近く全身筋肉痛と戦う羽目になりました。

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