第7話 同盟なんて紙くずだ
ライダ国の撤収で、
レイは人間の姿になり、クラークとジャスティンも戻ってきた。
「ありがとう、ジャスティン。レイのことを教えてくれて」
「俺もここから見ていたよ。レイはやっぱり最強だな」
「忠実にライダ国から寝返ってくれたようだな」
レイはクラークと並ぶと若干大人びた印象だ。
「あなた、歳はいくつ?」
「二十五だ」
「あら、働き盛りの歳じゃない。これからどんどん使わせてもらうわよ」
「これからですって?」
「だって、ライダ国に攻め入る口実ができたじゃない」
目を剥いたクラークに私はしれっと答える。向こうから仕掛けた戦だ。同盟なんて紙くずだ。
「国土を広げる絶好のチャンスじゃない。この勢いでやっちゃうから」
「お言葉ですが、度重なる戦で兵士達が弱っています」
「大丈夫。レイとジャスティンとあなたがいれば兵士なんていらないわ」
「無茶を言わないで下さい」
「私は本気よ。せっかく同盟を結んでお互い楽しくやってたのに、レイをぶち込んんで来るなんて許さない」
「まだアウベス国軍の出方もわかりません。ここはアウベス軍がどう動くかを見定める必要があるのでは」
クラークはあくまで慎重だ。
私はレイを得た喜びと興奮で舞い上がっていた。もう少し冷静になろう。
「アウベス軍は動くかしら」
「ライダ国は先陣を切っただけだ。アウベス軍は後詰めとして兵士を送り込むはずだった」
「ライダ国は同盟国を裏切って、アウベス軍と手を結んでいたの?」
私は声を裏返す。
「どうして急に……」
「俺を懐柔できたからだろ」
「だから勝てると踏んだわけ?」
「だろうね」
「あなたもどうして急にライダ国についたの? 私達の国につけば報酬は倍出せたのに」
「女……ね?」
「恋人がライダ国にいる。まだ俺達の関係は知られていない。だから金で動いたようにみせかけた。だが知られてしまうのも時間の問題だ。彼女だけはこっちに連れて来させてくれ」
「いいわ。その彼女とは交渉できるの?」
「超音波で」
「彼女も半人半獣?」
「
「それなら事情を話して今日中にこっちへ渡って来させなさい。ライダ国は今は女が一人で何をしようと、それどころじゃないでしょう」
「わかった。恩に着る」
レイはバルコニーに出ると巨大な怪鳥になり、バッサバッサと羽を広げて飛び立った。それを見送る私は思わず肩で息を吐く。
いい男はどうして誰かのものなのか。
「残念でしたね」
クラークが失笑した。
「今回もパートナーがいるなんて」
シモンのことを揶揄しているのだ。
「関係ないわ」
私はふんと鼻を鳴らして腕を組み、顔を横に向けていた。
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