カクヨムコン11異世界ファンタジー女性主人公部門応募作【虐殺のフランチェスカ】
手塚エマ
第一章 バカ聖女
第1話 みたらし団子とウイスキー
「聖女様。また人間界へ行ってきましたね」
私の側近が子供を叱るように『めっ!』という顔つきで私を見る。クラークは胸に数個の勲章を掲げた黒い軍服姿で私を冷たく戒める。
私は
「カーッ、たまんないねえ。この組み合わせ。なんでこっちにはみたらし団子がないんだろう」
「団子を買うために脱走するんですか? あなたは」
「そうよ」
「フランチェスカ」
クラークが私を名前で呼ぶ時は、ちょっとばかりヤバイ時。いかん。怒らせた。胸の下で紐を結んだ白いドレスの下で鎮座する。
「ご承知の通り、陸海軍の総司令官は私です。ですが、聖女様の許可がなければ出動も攻撃も防御もできません。聖女様はこのタールーラ国軍最高司令官だという自覚をもって欲しいと何度申し上げればわかっていただけるんですか」
「仕事はちゃんとしてるじゃない」
「当然です」
幼馴染みで、十七歳の私より三つ年上の彼は遠慮なく言い放つ。
「人間界に行くのが駄目なら、団子屋でも始めるか」
ここでは地球の半分が人間界で、半分が異世界だ。領土は
最近、人間界のアウベス国にそれらを狙う不穏な動きがあるとして、クラークはずっとピリピリしている。
「みたらし団子を売りまわる少女が聖女ですか。せっかくの長いプラチナブロンドは櫛も入れずにぼっさぼさ。つぶらな瞳が愛らしい顔も洗わない。風呂にも入りたがらない。言われなければ着替えもしない不潔なあなたが食べ物屋をやるなんて無茶な話です。食中毒をおこさせたらどうするんです。諦めなさい」
「不潔だって言ったな!」
「事実を申し上げたまでです」
「だってしょうがないじゃん。お団子、こっちの世界にないんだから」
「料理長に説明して作ってもらいなさい」
団子なんて人間界に遊びに出る言い訳だ。だって、ここにいると聖女は清廉潔白でなければならないなんてほざく
私だって息抜きがしたい。
そして、私が最後のひとくちを頬張った時だった。
地面が下から突き上げるようにして震えて盛り上がる。ゴゴゴゴという大音量とともにテーブルも椅子もベッドも宙を舞う。
ベッドも真ふたつに割れ、グラスを持った私は床に放り出された。
「フランチェスカ!」
叫んだクラークが私の上に覆い被さる。激しい揺れが収まると、今度は電子銃の青いビームが窓辺から撃ち込まれた。
「クラーク! 銃をちょうだい!」
「いけません! あなたは家具の陰に身を潜めていてください!」
起き上がったクラークは腰に下げた電子銃を構える。
「お願いですから下がってください」
「嫌よ。私だって戦うわ」
ビームの嵐に突っ込んで、敵の手首を蹴り上げる。回転しながら落ちてきた銃を掴み取ると身構えた。
「全くしょうがない。私のいう事は何もかもが素通りだ」
「あなただけ危険にさらす訳にはいかないでしょう」
クラークと二人、確実に敵を捉えて撃ち倒す。人間界の奴らはアウベス国の迷彩色の軍服をまとっている。彼らも聖女と同じように異世界への行き来が可能だから、そのたびの応戦がうっとうしい。
また、電子銃は使い手が持つエネルギーの量で強さが変わる。クラークの銃は火を噴くようにぶちかます。電子銃に関してクラークには、いまだどうやっても敵わない。
だが、確実に敵の数が減っていく。
敵の腰が引け始める。中には逃亡を始める者もいる。
「逃げるんなら今のうちだぞ」
「ふざけんな! 皆殺しだ」
私は一蹴した。
**********あとがき
この小説を少しでも面白いと感じて頂けましたら、https://kakuyomu.jp/works/16818792438305409174の下部にある『おすすめレビュー』で
評価して頂けましたら幸いです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます