第15話 爆発物火気厳禁

「では、今回は攻撃アイテムの初期レシピを教えましょう」


 ナヴィが偉そうに目の前を右に左に飛ぶ。

 とは言え、丁寧に教えてくれるので、非常に役に立っている。


「錬金術師として使用するアイテムは大まかに分けて、5つあります。

 素材アイテム、回復アイテム、今から作る攻撃アイテム、後、設置アイテムにその他です」


 素材アイテムは文字通り素材に使用するアイテムだ。

 薬草、マジョネムが代表的だが、マジョネムはそれだけで使用しても効果があるため、回復アイテムでもある。

 毒の胞子も同様で、素材アイテムと攻撃アイテムの両方が存在する。


 アイテムは、いずれかに分類されるがそれが複数に跨ることも多い。


「これは大まかな種別ですが、その配下に更に細かい種類に分かれます。

 例えば、素材アイテムは、植物系、動物系、鉱物系、神秘系などです。

 鉱物も、更に宝石や砂などに分かれていて、その分類は多岐に渡ります。

 で、今回作るのが攻撃アイテムの火炎系にあたる<メルフラゴ>です」


<メルフラゴ>は、火炎系の攻撃アイテムの中でも最も簡単に作れるものである。


 材料は、<火焔粉>、<火焔油>、<クラゲ液>、<グラット鉱石>となる。


 火気厳禁なので、カゲロウには遠くに行ってもらう。


 スライはと言うと、泉が気に入ったみたいで、ここに来るたび、身体から離れて泉に飛び込んでいる。

 出掛ける時には身体に戻るのだが、不思議と濡れていない。

 ナヴィが言うには、全身で水を飲んでいるらしいので、表面に一滴も残らないらしい。


 大量に飲んでいるらしいが、その重さは少しも変わらない。不思議な生き物である。


 ナヴィの指示に従って、火焔粉と火焔油を混ぜて粘土状のものを作る。


「うわぁ、ベトベトする」

「これくらいで、へこたれないでくださいよ。

 もっと変な調合なんて、山ほどありますよ。

 あっ――ちゃんと、均等に練ってくださいね」


 最初、手についていたものがこねるに従って、手につかなくなってきた。


「いい感じですね。

 ここまで練れたら次は着火用にグラット鉱石の欠片を数個用意しください」

「欠片ってのはどの程度のサイズなんだ?」

「<メルフラゴ>のサイズによりますが、まずは小石程度でいいです」


 今あるサイズは、掌に持てるほどのサイズだ。

 これを小石サイズに割るのは大変だ。

 ただでさえ、衝撃を与えたら爆発する石である。


「ふむ、仕方ないか」



 グラット鉱石を持って適当な場所を探す。

 なるべく端の方で、かつ大きな岩があるところ。


 手頃な場所を見つけると、そこからなるべく離れてその岩を見た。


「何をするつも――まさか!」


 ナヴィが止める前に、手に持っていたグラット鉱石を、その岩に向かって投げた。


 それと同時に、木の陰に隠れ座り込んだ。

 一瞬、無音の時間があった。


 当たらなかったのかと思ったその瞬間、予想以上の爆発音と共に岩が砕け散った。

 予想していたが、それ以上だった。

 当たらなかったのかと覗き込まないでよかった。


「横着すぎるんですよ!」

「なら、他の方法があったか?」

「本来なら、砕く用の箱があるんですって」


 金属の箱らしく、そこに入れて蓋を閉め、爆発させるらしい。

 もちろんのことだが、そんなものは無いので、これしかない訳である。

 細かく砕かれたグラット鉱石と砕けた岩が混じり合い、選別するのに時間がかかってしまった。


「次に、さっき作った火焔油の粘土とクラゲ液を混ぜますよ」

「また混ぜるのか」


 工程数とアイテムが多いほど、エンチャントが付けやすいので、嬉しいことではある。


 が、爆発物を夜通し扱うのは安全面から避けたい。


「クラゲ液は乾いたら固まる性質があります」

「接着剤みたいなやつだな」

「そうですよ。薄めて接着剤として使うところもあるんですよ」


 ナヴィのこういう所は感心する。

 クラゲ液を混ぜ込むと先程よりもったりとした感触がついた。


「最後です。

 グラット鉱石の欠片を丸め込んでください」


 細かく砕いたグラット鉱石を包み、球状にする。

 泥団子のような茶色い球。


 これが<メルフラゴ>だ。


「これで完成です」

「子供の遊びみたいだな」

「まぁ、子供には触らせたくない危険物ばかりですけどね」


 火焔油やグラット鉱石と爆発物のオンパレードだ。間違っても子供には触らせたくない。


「さて、これを幾つか作りましょうか」

「これって強いのか?」


 量産するならその威力も気になる。


「少なくともムショクの通常攻撃よりも強いですよ」

「それはそうか」


 ナヴィに従って<メルフラゴ>と各種ポーションを量産することにした。

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