第8話 発覚
「ご足労おかけしました。お預かりさせていただいた携帯から2つのことが分かりましたので、お伝えします。」
マリエさんが、話を始める。古田所長も同席している。
「これは、携帯に保存されていた写真をプリントアウトしたものです。」
A4サイズの写真を机の上に置いた。夜景を写した写真だった。
「この夜景を調べたところ、新宿の夜景でした。この夜景が写る角度を考えると、新宿西急ホテルから撮影されたと考えるのが自然です。写真の日付も、メールの19:00西急ホテルと一致します。」
胸に圧迫感を感じる。
「ここからは、青島さんには辛い話ですが。」
マリエさんの顔が更に引き締まる。
「この夜景の暗い部分、携帯画面では分かりませんでしたが、ガラスに撮影者が写っています。」
顔を近づけて、写真の暗い部分に目を凝らす。男の顔と、携帯を構えた女の2人が写っていた。男は見知らぬ男。
女は、間違いなく純玲だった。
覚悟してはいたが、現実として見せられると、悲しみが溢れてきた。今までの幸せな人生がこの一瞬で否定された。そう思うと涙が浮かんできた。
「大丈夫ですか。」
マリエさんが声を掛けてくれる。
「は、はい。すみません。」
「青島さんには、辛いかもしれませんが、奥様は不倫をしていた。その相手は、その写真の男である、と2つの事実が判明しました。」
今まで黙っていた古田が、口を開いた。
「決定的とは言えませんが、奥様に不貞を問う証拠には、なると思います。いかがされますか。」
私の答えは、もう決まっていた。
「この男は、誰か突き止めてもらえますか。」
「そう、言われると思いました。」
マリエさんが、即座に答えた。
「この男が写っている写真が1枚だけありました。」
また、A4の写真を机に置いた。何人かの男たちが写っていて、その脇に純玲の不倫相手は立っていた。飲み会か何かの写真の様だ。
「何かのパーティーのような写真です。調査対象の男、それ以外の男に見覚えがありますか。」
「ありません。」
「たぶん奥様の仕事がらみだと思うのです。そこが手がかりになると思います。こちらも調べますが、青島さんも見覚えなどがないか考えてみてください。」
「はい。分かりました。」
あの男は誰なのか・・・悔しさとやるせなさで家に帰りたくなかった。しかし、時間は待ってくれない。
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