第22話 思いがけない話
「……はぁ」
シャロやリリーがディオロイ城から逃げ出した数日後、シャーロットが部屋の窓から外を見て、つまんなそうに、深いため息をついた。その様子を監視のためシャーロットの部屋にいた家政婦達が心配そうに顔を見合わせた
「シャーロット様、どうしましたか?」
「別になにも……」
家政婦に一言返事をして、また一つため息をついて、窓辺に手を置き椅子に座り直して足をゆらゆらと揺らす
「ここ最近元気がないですし、なにかありましたか?」
また家政婦がシャーロットに話しかけると、今度はため息をせず、椅子から立ち上がり、家政婦がシーツを変えたばかりのベッドに移動するとベッドに乗り足を伸ばした
「お父様も帰ってこないし、お母様も音沙汰ないし、つまんないわ」
「そうですね。でも、お二人の代わり私達がついていますよ」
家政婦達が胸に手を当てシャーロットに優しく微笑む。それを見たシャーロットが少し頬を膨らまして、うんと小さく頷く
「それより、ここって魔術の本ってあるの?」
「ええ。別室ですが、ありますよ」
「じゃあ、一冊持ってきて」
「えっでも……」
突然のシャーロットからの提案に戸惑う家政婦達。困惑のまま返事をせずにいると、シャーロットがベッドにある布団をポンポンと軽く叩いた
「ほら、早く気が変わる前に持ってきて!」
「分かりました。すぐに」
別室にある本を取りに、部屋にいた家政婦達が全員大急ぎでシャーロットの部屋を出る。部屋を出てすぐバタバタと騒がしくなった廊下の物音を聞きながらベッドから降りる。うーんと一度背伸びをして目を閉じると、シャロの家で見た本の内容を思い出して、少し首をかしげて、またベッドに座った
「あの術、お母様が読んでくれた本に書いていたはずなのよね。仕方ない、勉強してあげるわ」
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