第9話 思い

「あ、お帰りなさい!」


 薫は玄関の鍵がガチャリと音を立てたのを聞き逃さず、それまで手にしていた端末を放り、急いで玄関に向かう。いつもとは逆だ。

 扉の向こうから、やや疲れた表情の虎太郎が姿を見せる。薫の姿を認めて、驚いたようだった。いつもなら、この時間には帰って来ていない。


「──ただいま。今日は帰りが早かったんだ?」


「はい。撮影機材の調子が悪かったのと、愛花ちゃんが体調崩したみたいで。早めにきりあげになったんです」


 後半の撮影に入った所で、メインカメラに不具合が起こり。調整していれば、その間に愛花が体調を崩したのだ。

 軽い貧血だったらしいが──愛花から例のアドレスにメールがあった──それなら、今日は一旦、終了にしようとなり。

 さっきまで、その愛花に返信をしていたのだ。親しくなりすぎず、かつ、よそよそしくならない程度の距離感は難しい。

 

「そっか…。とにかく、お疲れさん。今日はゆっくり休めるな」


「ま、その分、明日、早いんですけど…。──てか、虎太郎さん、俺より疲れた顔してません?」


「え、そうかな…?」


 虎太郎は手の甲で頬を撫でる。その様子が、顔を舐めるネコの様で思わず笑ってしまった。


「なに? 俺、可笑しい?」


「いえ。ちょっと。──さ、とにかくシャワーでも浴びてくださいよ。今晩は俺が準備しますから。なんと、餃子です!」


「本当? 包むのできるのか?」


「実は初めてで…」


 苦笑いを浮かべた。動画を観ているうちに、試しに作ってみたくなったのだ。今は作ったタネを冷蔵庫で寝かしてある。

 食べるのは好きだが、実際、作るのは初めてで。因みに具材はニラと豚ひき肉オンリーだ。

 

「やるやる。何度か作ったことあるから」


「たのもしー! じゃ、お願いします!」


 そうして、虎太郎は手を洗うと、腕捲りをして、さっそく手伝ってくれた。

 帰宅して早々休む間もなく。申し訳ないと思いつつも、やんやんや言い合いながら包むのは楽しくて。


「あ、それだと具が──、そうそう、そうやって寄せて──って、それじゃ…」


 虎太郎が肩を震わせて笑い出す。薫の手にある餃子は、かなり不格好で。いつの間にか作ったはずのひだが全部潰れて、ワンタンのようになっていた。


「どうしてそうなる?」


「だって…。難しいですって。いいんですよ。要は具が出てこなければいいんですよね? ね?」


「そうだけど…。ま、いっか」


 そうやって、肩を寄せ合い、作り上げた餃子は三十個。一応、明日の撮影も考え、にんにくは抜いてある。

 包み終わると、焼きの作業となった。


「中火にして、水をカップ半分、入れて──」


 急いで蓋をして数分、水分が減ってくるまで待つ。ある程度、水分が蒸発したら、軽くごま油を回し入れ、さらに焼いていく。

 じゅうじゅう、パチパチと水と油が元気よく跳ねた。流石に三十個を一緒には焼けない為、十五個ずつ別のフライパンを使って焼く。おかげでコンロ周りは慌ただしい。


「フライで取れる?」


「あー行けそうです。ちゃんと焼けてるー、うまそー」


「あ、こっちも大丈夫。お皿、それなら一つで行けるな?」


「ですね──っと。これでオーケー」


 ガスレンジに盛大に飛んだ油は、素早く虎太郎が拭き取っていた。

 大皿に三十個、綺麗とまではいかないが、美味しそうな焦げ目を上にして盛り付け、夕食となる。


「あーおいしー。それに楽しいっすね?」


 薫はパリッと焼けた皮を口にして、目を細める。至福の時だ。


「ワイワイやるとね。一人だと黙々と作ることになるからな…」


「前に作った時ですか?」


「うん、そう。居候していた奴にな。あいつの部屋、台所も本に占領されててさ、火が使えなくって。月に数回、台所だけ綺麗にした時だけ使えたからさ。何が食べたいかって聞いたら、餃子って。お礼もかねて作ったかな?」


「手慣れてましたもんね」


「まあ、少しは。──でもこれ、笑えるって」


 そう言って虎太郎がつまんだのは、ワンタンもどきの餃子だ。ひだが作れず、結局、端を押しつぶして塞いだ結果で。


「笑わないでくださいよー! 今度、ぜったいリベンジで。あーでも、島から戻ってきてからになりますね? いつになりそうですか?」


「うーん。いつになるか…。ある程度はあっちでまとめておきたいからなぁ」


「ぜったい、連絡下さいよ? 迎えに行くんで」


「なに言ってんだよ。薫は忙しいだろ? アイドルが一般人を迎えにこなくてよろしい」


 最近、虎太郎はテレビの番組表をチェックし、薫が出ている歌番組を見るようになった。朝のニュースでも出ると分かると録画して。すっかり、おっかけとなっている。


「こうしてみると、改めて凄いなぁって思うよ。まるで、俺の知ってる薫じゃないみたいだ…」


 そう言って、しきりに感心していたが。

 薫としては、特別な目で見て欲しくはないが、こればかりは仕方ないのだろう。

 でも、その他はちっとも変わらない。前に言った所為もあるのだろうが、アイドルの『薫』としての扱いはしなかった。ただの薫だ。

 薫は島から帰ってきて、一度診察を受け、薬もいらないと診断され、今に至っている。なんせ、睡眠は十分とれているし、食事もちゃんと喉を通っている。何もかも順調で。


 それもこれも、虎太郎のお陰だ。


「なに言ってるんですか。絶対、迎えにいきますって。黙っているのなしですから」


「わかったよ。──うん、連絡する…」


 そう言って、どこか寂し気に虎太郎は笑った。その理由を薫はあとになって知ることになる。が、今はまだ知る由もなく。

 虎太郎は渋ったが、今の段階で離れる──と言う選択肢はなく。島から戻って来ても、一緒に住むつもりだった。

 薫にとって、虎太郎は特別な存在へとなりつつあって。

 その、特別が何を意味しているのか──。

 家族とは違う。ただの友達にしては、距離が近い。


 どっちかって言うと──。


 『彼女』に対するのと似ている。そうっとしていて、大事に扱おうとする。でも、彼女ほど気を遣わずにすむ。


 なんだろう。これって…。


 とても近く、とても大切にしたいと思う。家族の様に、一緒に過ごしたいと思う。

 でも、お互い好きな相手が出来れば、離れて行くのだろう。


 好きな人。


 できるんだろうか。虎太郎より大きな存在が。

 愛花ほどの美人を見ても心が動かない。もっと美人なら、動くのだろうか。──それも、違う気がする。


 そうじゃないんだ。


 見た目じゃないから、心が動かない。虎太郎だから、だ。


 虎太郎を好きな理由。


 なんとなく、分かってきた。

 家族でも恋人でもなく。どのくくりにも入らない、大切な存在──。

 それが、今の薫にとって、虎太郎に対する思いだった。


 そうこうしていれば、とうとう、コンサート当日となった。

 コンサートが終わった次の日、虎太郎は島に戻る。

 すでに出発の荷物はまとめれていて、いつでも持っていかれるように玄関の隅に置かれていた。それを目にするたび、胸の片隅が傷む。


 離れたくない──。


 そう思ってしまうのだ。


 それでも、虎太郎はあの島の、あの家にいてくれる──。


 そう思うと、胸の痛みも薄れ。

 次に会う時まで、何とか乗り切ろうと思う。


「虎太郎さん、絶対、遅れないように。行き方は、分かりますよね? 分からなかったら、サブマネージャーに連絡してくれればいいですから。連絡先は知ってますよね?」


「大丈夫。だいたいさ、子供じゃないんだから。今どき、ナビもあるし迷わないって。──ほら、俺の心配はいらないからさ。行っといで。蒼木さん、外で待ってるだろ?」


 虎太郎は苦笑しつつ、玄関先でなかなか靴を履こうとしない薫の背を押した。蒼木は扉の向こうで待機している。

 急かされ薫はようやく靴を履くと、振り返ってこちらを見上げている虎太郎と向き合った。

 小柄だけれど、薫にとってはとてつもなく、大きな存在。この、あふれてくる愛おしさはなんなのだろう。


「その──虎太郎さん…」


「なに?」


「…勇気、もらっても?」


「ん? 勇気って、どうやって──」


 虎太郎が尋ね終わる前に、薫は腕を伸ばし、虎太郎を抱きしめていた。

 身長差があるから、抱きしめると腕の中にすっぽり収まってしまう。腕の中の虎太郎は温かく、少しばかり鼓動が早くなっている様だった。

 ふわふわと柔らかい色の抜けた髪が、鼻先をくすぐる。


「──ありがとう、虎太郎さん…」


「──」


 一瞬、虎太郎が息を飲んだように感じたが。薫はさらにぎゅっと抱きしめて、


「──行ってくる。絶対、見てて」


 虎太郎さんのお陰で、強くなれた俺を──。


「…うん」


 そう言って、虎太郎もしっかりと抱き返してくれた。



 コンサートが始まった。

 真っ暗な会場が一転、光の溢れる空間となる。

 大歓声。揺れる空気。溢れる熱気。

 視線の先には──。


 いた。


 照らし出された客席。そこに、虎太郎はいた。満面の笑みを浮かべて。


 好きだ──。


 ただ、それだけだ。誰になんと言われてもいい。この気持ちに嘘はつけなかった。

 曲に合わせ、ウィンクをして、指で銃の形を作って、胸を撃ち抜くフリをする。

 周囲は皆、私だと思っただろう。


 ──でも、違う。


 虎太郎が、胸を軽く押さえ、撃たれたふりをしてくれた。薫は、顔をクシャリとさせて笑う。

 虎太郎の反応は、期待を裏切らない。


 今は、あなたの為だけに歌います──。


 思いを込めて。


 俺は、あなたが好きです──。


 虎太郎の席は、会場からステージを正面に見て左手だった。一番隅だが、最前列で。

 とにかく、ステージが良く見えた。あまりに近いと見上げるようになってしまうのだが、距離はとってあるため、そこまで見上げるようにはならない。

 コンサート会場に入る前、虎太郎は駅に到着して、改札を出るまでの間、薫や他のメンバーの大きなポスターを目にしてきた。


 凄いな。


 ポカンとして、それを見つめる。

 一番最初に見たポスターは、電車を降りて直ぐにあった。

 キメ顔というのか、キリリとした表情で、薫が虎太郎を見つめている。しかも、アップだ。

 ファンの子達が、代わる代わるそのポスターを背景に、一緒に写真を撮っている。

 あらためて、人気の高さがうかがえた。

 そこでポーズを決める薫は、やはり普段の飾らない薫ではなく、アイドルの『薫』だった。

 

 かっこいいな。


 今さらながら、住む世界の違いを感じる。

 マンションの一室で、虎太郎とじゃれあっている薫はただの高校生だと言うのに。


 惚れたって、仕方ない。


 素の薫を好きになった。

 あの島で出会ってから、ずっと惹かれていた。

 だって、仕方ないだろう。

 ひとり、黙々と岩石とばかり向き合っていた日々に、突然、きらきらと眩く輝く青年が現れたのだ。

 それは、茶色一辺倒だった世界へ、虹色に輝く光が差したようで──。

 惹かれるな、という方が無理だった。


 けど、知ったら、薫は気持ち悪がるだろうな…。


 ふっと自嘲の笑みを浮かべる。

 なにかしたかったわけじゃなく。ただ、一緒にいると心地よかった。かなり年下なのに、一緒にいると落ち着けた。こんな風に、楽しく日々を送れたらいいのに。

 それだけだった。


 でも、無理だ。


 分かってる。薫はごく普通に、異性を好きな青年で。思いを告げられないことは十分、承知している。せめて、一緒にいて楽しい兄貴分として、傍にいられれば良かった。

 それに、どうやらここ最近、ドラマの共演者、立木愛花と親しくしているらしく。

 仕事から帰ってくると、寝るまでの間に、ちょこちょこよメールをしている様で。それもかなり頻繁に。

 薫はただの仕事仲間と言っていたが、それまで、そんなことをしていなかった。たぶん、いい感じなのだろう。

 彼女とは一緒にテレビへ出演しているのを見たことがある。

 誰もが目を瞠るような美人だ。

 薫とのやりとりで楽しそうに笑う。笑うと人形の様な表情が崩れ、途端に可愛らしくなる。

 美男美女カップルとでも言うのか。目の保養になるようだ。

 放っておいても、互いに惹かれ合い、付き合いだすだろう。

 だから、まかり間違っても、自分とどうのこうのとはならない。──なるはずもない。

 ふと、覗いていた端末の画面ごしに映った自分を見て、笑う。

 だいたい、匠もどうかしているのだと思った。いくら心に引っかかっていたからと言って、こんな冴えない自分に声をかけてくるだなんて。


 女性に不自由はしてないだろうに。


 あれから、特に匠からのアクションはなかった。すでに以前の電話番号もメールも変えてある。こちらから連絡しない限りは、連絡もつかないようになっていた。

 ただ、蒼木には教えてある。薫と住むにあたって、連絡が取らなければならないこともあるからだ。そこから洩れなければ、まず連絡はつかない。

 薫には言っていないが、島での調査を終えたら、別の場所に住むつもりだった。

 そこも大学からは距離があるが、家賃も安く、なんとかバイトでしのげそうで。

 このまま、大学の研究員として残ることができれば、もう少しましな場所に移動するつもりだ。


 薫とは距離をとるいいタイミングだ。


 女優の彼女とはどうなるかは分からないが、いずれにしても、自分が薫の傍にいると、邪魔になる。

 虎太郎がいることを理由に、女性を遠ざけるようなことがあってはならないし、なにより、薫を好いている同性が傍にいてはいけないだろう。どう考えても。


 好きにならなきゃ、友達でもいられたけれど。


 どちらにしても、このまま一緒に暮らすことはできない。

 この事は、蒼木にはすでに伝えてある。そうかと、それだけだった。あっさりしたものだ。

 ただ、薫の場合は、うまく距離をとらないと納得しないだろう。

 そう思っていれば、蒼木がこの先は、仕事がかなり忙しくなるから、虎太郎ばかりに気取られている場合ではなくなるだろうと教えてくれた。薫が興味を持つような仕事らしい。

 そうなれば、意識はどうしても、仕事へ向かう。もちろん、きちんと休みは取らせると言ったが。


 それなら、安心だ。


 その前に、女優の彼女ともうまくいっていれば、なおいい。そうすれば、もっと話は早いはず。


 公私ともに忙しくなれば、俺どころではなくなる…。


 ちなみに、匠の元へ行くと言う選択肢はなかった。

 匠の事は傷ではあったけれど、当に終わっていて。今更、昔の記憶を呼び覚ますのは不可能で。

 それに、薫を意識した時点で、もう過去のものとなっていたのだ。だから、今更、で。

 もしかして、薫が現れる前なら、なにかあったかもしれない。

 それでも、やはり躊躇っただろうと思う。それほど、過去の匠の行動は、虎太郎を傷つけたのだ。


 いまさら、どんなに言葉をつくしても、元には戻らない。戻せない。


 壊れたものは、二度と同じ形にはならないのだ。


 けど、これで本当に、ひとりだな。


 また前にもどるだけ。ただ、黙々と岩石と向かい合う日々。もちろん、好きな世界に没頭できる事は喜ばしいし、望んでいることだ。

 これで当分、誰かと笑いあって、楽しく過ごすことはないだろう。蒼木の心配は当たった訳で。──でも、前ほどつらくはない。負け惜しみじゃなく。

 だって、薫は元気に笑って、そこにいる。

 画面の向こうから、自分だけに笑いかけてくるのだから──。

 

 開演間近となり、場内がざわつきも静まる中、一番端に座っていた虎太郎の列に入ってくるものがいた。


「すみません…」


 女性二人連れが済まなそうに声をかけてきた。隣が二席分、ずっと空いていたのだ。どうやらぎりぎりの到着になったらしい。


「どうぞ…」


 虎太郎は、一度席を立って道を作る。

 後から続いた女性が、虎太郎の前を通り過ぎる際、ふわりと甘い香りを漂わせた。

 若い女性が好みそうな香り。マスクと伊達メガネをして、前髪も長めに下ろしている。顔を隠したいのだと思った。

 そうこうしいていれば、会場が暗転して、ライトが会場を駆け巡った後、大音量と共にそれが始まった。

 ライブは久しぶりだったが、アイドルのそれは初めてで。かなり黄色い声が多い。当たり前だ。

 おとこ全開の男性アーティストのコンサートではない。皆、一様に推しメンバーの内輪を掲げたり、サイリウムやペンライトを振っている。


 これがそうか──。


 なかなか、これはこれで面白い。

 そんなことに目を向けていれば、いつの間にかメンバーがステージ上に立っていた。下からせり上がってきたらしい。

 それだけでもう、会場内が割れんばかりの黄色い歓声で埋め尽くされた。耳が聞こえなくなったかと思うくらいだ。


 すごい。


 メンバー一人一人が歩き出し、スポットライトが当たっていく。

 最後は薫だった。ひときわ高い声の歓声があがる。休養していたことは周知されていた。

 おめでとうー! とか、おかえりー! とか、声が聞こえてくる。その度、薫は手をあげ、丁寧にお辞儀を返していた。


 ああ、アイドルなんだな…。


 改めて実感した。

 虎太郎はとにかく、ステージ上の彼らから目を離さないようにした。とくに薫からは。

 ソロ曲もあって、その時はあちこちに投げキッスをし、ウィンクを投げ。

 最後にこちらに歩いてきたかと思うと、歌いながら視線を向けてきた。

 周囲の女子から悲鳴があがる。そうして、指で銃を形作って、撃ち抜くようなポーズ。


 ああ、あいつ…。合図するって言ってたっけ。


 虎太郎は、ふざけて胸を押さえてやった。

 見えたのか見えなかったのか、とにかくそこで一瞬、薫はくしゃっといつもの素の笑みを見せ。

 それで、また、ステージ中央に戻って行った。


 ──なんか、キザ。


 でも、これくらい、普通なんだろう。

 そう思っていれば、


「あれ、きっと愛花にだよ? ね?」


「そ、そうかな?」


「そうだって! こっち、ぜったい見てたし。オーケーって事じゃないの?」


「わかんないよー」


 照れくさそうな声が隣から聞こえてきた。


 愛花って、薫の共演者の…?


 まさか顔を見ることはできないが。

 それを聞いて、ああ、なんだそうかと納得した。


 俺に向けたわけじゃない。


 あの合図は隣の彼女にしたのだ。なんて、間抜けだろう。自分への合図だと思うなんて。

 黄色い歓声を上げている彼女らと変わらない。

 苦笑し、できればあの時の自分が、薫に見えていなければいいのにと思った。

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