魔女祭り線上り② 大魔法少女駅のホムンクルス牛ステーキサンド

 新参少女駅を出発して三十分。

 空が木々で隠れそうになる中。

 魔女祭り線は、もう直ぐ四合目に入ろうとしていた。

 そんな中、ゼラは向かい椅子に座っている吸血鬼娘と話をしていた。

 その吸血鬼娘は、爆乳で緑のショートヘアーと青いドレスをしている。

 彼女は、楽しそうにゼラに話しかけた。

「ここは昔、魔巣岳ますだけと言う名前だった。もともと、魔法少女の縄張りだったんだ。しかし、吸血鬼族とキメラ族とケットシー族がここに移り住んだ。それから友好関係となり、魔血獣ヶ岳となったんだ」

「そうだっんだね。キメラちゃんのもふもふに癒されたいなぁ」

「それだったら、獣楽園駅行くといい。下り方面の四合目下にあるぞ」

「それじゃあ、行けないよ」

「終点まで行って折り返すといい。この路線は、左側しか出られないからな」

「ああ、よかったぁ…………」

 いろいろなものを食べ続けたゼラ。

 大食いである彼女だが、そろそろ別のことしたい気分だった。

 ガッタン!

「大魔法少女駅! 大魔法少女駅! 到着! 乗り降りの際は、14時46分までにお願いします!」

 ガタッ!

 電車のドアが開いた。

 そこから、金のロングヘアーと黒いローブ、『magicgirl』と書かれた白いワンピースをした爆乳の魔法少女がやって来た。

 しかし、新参少女駅であった魔法少女と比べて体が大きい。

 ゼラの身長くらいはありそうだ。

「ホムンクルス牛ステーキサンド1200Gでーす!」

 グウッ!

 すると、背が高い魔法少女の前にスキがやって来る。

「おい、あんた!」

「ううん?」 

「新参少女駅の魔法少女よりも魔力が強く感じる」

「やはり、あなたも魔法少女なのか?」

「ああ! しばらく食べてばかり動いてないからな。運動がてら、オレと魔法バトルをさせてくれ」

「いいだろう! こっちへ来い!」

 カタッ!


 スキと背が高い魔法少女が電車の外に出た。

 ポキィポキィ!

「腕がなるなぁ!」

「ああ!」

 ブウウーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!

 冷たい風が吹く中、背が高い魔法少女があるかけをした。

「では、ルールを作りましょう」

「ああ?」

「あたしに勝てたら、ホムンクルス牛ステーキサンドは無料。負けたら、300G追加だよ」

「ああ、わかった!」

 お互いの準備は完了。

 二人のバトルが始まった。

「では、あたしから行くぞお!」

 ガタッ!

 シウゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

 最初に動いたのは、背が高い魔法少女。

 彼女は、勢いよく拳を向けた。

 しかし、スキは自信満々に魔法を使う。

「レイス!」

 スワンッ!

 スッスッスッスッスッスッスッスッスッスッスッスッスッスッスッスッスッスッスッ!

 スキは、パンチを次々と無力化。

 しかも、魔力を次々と吸収していく。

 スッスッスッスッスッスッスッスッスッスッスッスッスッスッスッスッスッスッスッ!

「ハァッハァッハァッハァッハァッハァッハァッハァッハァッハァッ!」

「ふふふ♡」

 スキは、余裕の表情。

 まるで、肩のマッサージをしているかのようだ。

 しかし、背が高い魔法少女は、百発ほど拳を止めた。

 スウッ!

「ううん?」

 そして、スキに手をかざして魔法を叫ぶ。

「ロック!」

「ああっ!」

 ゴンッ!

 

 それから、十分後。

 「はぁっ!」

 スキにかかった石化の魔法が解けた。

 目の前には、未開封のお弁当箱がある。

「オレは……一体……………………」

「スキは負けたんだよ」

「代わりに、あたしがお弁当を買ったよ」

「そうか、オレは負けたのか」

「大魔法少女相手に無茶するからよ」

「とにかく、お弁当を食べよう!」

 カオンッ!

 ゼラがお弁当箱を開けた。

 そこには、正方形のサンドイッチが六枚もあった。

「いただきます!」

「いただきます!!」

 ゼラ達は、二枚ずつ分け合ってサンドイッチを食べる。

「むぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐ……むぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐ……」

「むぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐ……むぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐ……」

「むぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐ……むぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐ……」

「ゴクン………………………………んん!」

「黒いサンドイッチは、ごろごろ!」

「白いサンドイッチは、レア!」

「けれど、どれも塩と肉汁が合わさって美味い!」

「これが、魔法で作られたホムンクルス牛の美味しささなのね!」

「ああ!!」

 魔法バトルに負けたスキ。

 痛い賭けではあったが、サンドイッチを食べられてとても嬉しかった。

 そんな楽しい時間の中、魔女祭り線は四合目を通過した。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る