二章06話 ドラゴンという種族とアンデッド

二章06話 ドラゴンという種族とアンデッド


[newpage]#01 アンデッドのドラゴン

 集められた様々な、ドラゴンに関する資料から、ドラゴンには、寿命が無いことが確認されていて、それは若いドラゴン達も同じであることも確認されていた。


 時間の経過の中で、ドラゴンが巨大化するのは、飛翔して世界を飛び回っている、巨大なドラゴンの大きさから、推定されていた。世界を飛び続ける竜王は、延々と飛び続けているようで、徐々に大きくなっていることが確認されていた。

「負けたから・・・八欲王か・・・」

「そうだ、族長殿。竜王達は八欲王に敗れさり、世界は八欲王に支配された。その時、八欲王によって、世界が変化したのは、間違いないと思う」

「世界が変わった?」

「あぁ・・・儂は不死アンデッドであったが、八欲王と竜王の戦いに怯えて逃げ、洞穴に逃げ込んでいた」

 賢狼は、齢四百を超える、八欲王以前を知るモノであった。

「逃げ込んだ、洞窟で、儂は魔法が、使えるようになっていた」

不死アンデッドになったのに、使えなかったのか?」

「あぁ、生きていた頃も使えず、死しても使えなかった儂が、魔法を使えるようになった。それも、位階魔法をな」

「位階魔法?」

「あぁ、若い竜は、位階魔法を使えるが、始原の魔法Wild Magicが使えない・・・」

「もしかして、竜王は、位階魔法が使えないのか?」

「そこは、推測じゃが、位階魔法が使えないとすれば、位階魔法を使うためにアンデッドになった」

 八欲王がワールドアイテムを使って、世界を変えて、位階魔法を使えるようにした。使用されたワールドアイテムは、システム変更が可能な、五行相克あたりか。八欲王が、ワールドアイテムを使用したことで、この世界に位階魔法が広がっていた。ただ魔法についての調査から、“YGGDRASIL”と異なる位階魔法が確認されているし、位階魔法の範囲外となる、生活魔法の存在も確認されていた。


[newpage]#02 情報分析・・・

 推測に推測を重ねても、混乱が生じることもあり、資料をグラズン・六花ロッカに纏めさせていた。

『明日、出発でいいのね、サトル』

『はい。これ以上は、相手を確認しないと』

 サトルの中では、一回や二回、敗北することも、想定していた。

 準備に五年の歳月がかかっていた、“深淵の躯”のメンバーを、殺したり配下にしながら、アンデッドとなった国や町の情報を集め、インベリア王国を含めた、周辺地図の作成をおこなった。アンデッドとなった町の中心に、ケイテニアス山があると、確認できたのは三年前だ。


 ケイテニアス山を中心に、直径200キロの円を描くように、アンデッドが徘徊する廃墟の町が広がっていた。だが、ケイテニアス山に近い町は、廃墟となっているけど、アンデッドの姿は無く、ケイテニアス山へ向かう方向に、町の門が内側から破壊されて、獣道のように道が拓かれていた。


 何度か偵察を行って、無数のアンデッドの気配が、ケイテニアス山に集まっていた。

『推定だと、40万から50万くらいだっけ、クミコさん』

『この町みたいに、住民の居ない、廃都市の数からすると、そのくらいね』

死者創造Create Undeadで創られた、アンデッドは、術者に従う・・・』

 偵察の結果、ケイテニアス山周辺の町には、アンデッドが徘徊していない、ケイテニアス山に向かう門が開放されていて、山へと向かっていった跡が残されていた。


[newpage]#03 ケイテニアス山近郊の廃都市

 次の日・・・

瞬間移動グレーター・テレポーテーション

 紅眼公の居城から跳んで、ケイテニアスに近い、廃都市に現われた。アンデッドも居ない、廃墟となった都市には、動くもの一ついなかった。


 内側から破壊された門、溢れ出るように、門の周囲に死体が散乱していた。白骨化した、人間や獣人、異形種の死体が散乱し、町の外に向かっているようだった。

『知恵は、無いわね、閂を外さずに、門を力任せに壊してる、足跡からすれば巨人ね』

 門の前に、巨大な踏み込んだ足跡が、石畳を圧し潰していた。そのまま、周囲のアンデッドも潰してしまったみたいで、様々な種族の死体が散乱していた。

『はい。この町、色んな種族が、暮らしていたみたいですね』

『そうね、甲羅みたいな、死体もあるし、他種族が共棲してたみたいね』

 死体の種族は、面白いくらいに、他種族に分かれていた。ピンクの触手を伸ばして、死体を捕食し解析すると、捕食そのものができないので、アンデッドになってから、消滅したことが確認できた。


 廃墟となった、街には他の町と同じように、廃棄物を処理するために、粘体スライムが飼われていて、街をうろついているけど、門の近くの死体には、近づいてこなかった。

粘体スライムにとって、アンデッドは、捕食対象じゃないからね、サトル君』

『はい。どこの町も、粘体スライムが居ますね』

『そうね・・・大量の粘体スライムに、徘徊するアンデッド・・・引っ張られたのかな』

『引っ張られた?』

 サトルが聞き返す、

『うん。この世界に転移した時、廃都市で、存在していたのは、アンデッドと粘体スライム

 インベリア王国の王都、廃都市となり、アンデッドが徘徊して、粘体スライムは変わりなく活動していた。“始原の魔法Wild Magic”によるアンデッド化の魔法は、粘体スライムには発動しない。

 ワールドアイテムを装備した、白麗の骨格Over Lordなサトル=モモンガ、ピンク色の肉棒な粘体Pink Elder Oozeクミコこと、クミコ=ぶくぶく茶釜。内側から破壊された、門を潜るようにして、ケイテニアス山へと踏み込んでいった。

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