第2話 香織vs美咲 モデルキャットファイトグラビア撮影

# モデルキャットファイトグラビアの美女たち


「香織!もうやめて!」監督の制止も届かない。香織と美咲はスタジオ中央で互いの襟を掴み合い、唾液の飛沫を交わしていた。


「あなたみたいな女が、あの人に近づくなんて!」香織の爪が美咲の頬を切り裂いた。


「黙れ!あなたのものじゃないでしょ!」美咲は膝蹴りで香織の脇腹を打ち据えた。カメラマンたちは息を呑みながらもシャッターを切る手を止めない。


スパンコールドレスが引き裂かれ、レースの下着が露わになる。二人は床に倒れ込みながらも相手の髪を引っ張り合う。


「離せ!」香織の拳が美咲の顎を捉える。「うぐっ……」美咲は歯を食いしばりながら反撃に出る。香織の唇から血が滲んだ。


「愛してるって言ったじゃない!なのに……」涙声と共に美咲の爪が香織の胸元に食い込む。


「嘘よ!あの人があなたを裏切るはずないわ!」香織は逆転し馬乗りになると、美咲の首を両手で絞め上げた。美咲の白い喉仏が上下する。


スタジオ内は騒然となる中、二人の喧嘩はさらに激しさを増していく。香織のハイヒールが美咲の腹部を踏みつけ、美咲の長いネイルが香織の肩を抉った。


「許さない!」「負けない!」叫び声と衣擦れの音が入り混じる。二人の肉体からは汗と香水の匂いが立ち込め、床には涙と血の雫が飛び散っていた。


カメラマンたちも次第に異常な興奮状態に陥り始める。レンズ越しに映し出される光景は、美しくもあり恐ろしくもあった。純粋な感情が剥き出しになった二つの肉体が激しくぶつかり合う。


監督が再び止めに入ろうとするも、「これが見たいんだ」という声に押し返された。観衆たちは皆息を呑み、目をそらすことなく二人の死闘を見守る。


香織の髪が引き抜かれ数本舞い上がる。美咲の指が香織の背中に深く食い込んだ。痛みと快楽が入り混じった表情を浮かべながら、二人はもつれ合い転がっていく。

その時だった。突然閃光のように走った稲妻がスタジオ全体を照らし出したかと思うと轟音とともに停電となったのである――暗闇の中でなお続く戦い――それはまさに雷鳴轟く嵐そのものであった――永遠とも思われる時間が流れ去った後ようやく電源復旧した時にはすでに戦いは終わっていたようだと思われたがまだ終わっていなかったという事実だけがあった――勝者もなく敗者もないただそこには傷だらけとなった二つの裸体があるばかりだったのであるそしてその姿こそこの物語最大の結末となるべきものであったかもしれなかった……


# 激突の美学

一週間後のスタジオは異様な空気に包まれていた。メイクアップスタッフが念入りに施す特殊メイク。鏡に映る自分の姿を見て香織は冷笑する。美咲の方は沈黙したままだった。


「前回の撮影の続きですからね」プロデューサーが意味深に告げる。


準備室では二人の間に会話はない。しかし視線だけが空中で火花を散らしていた。スタイリストが持ってきたドレスに袖を通しながら、お互いの身体に刻まれた痕跡を探るように凝視する。


照明が落とされ、柔らかなスポットライトが二人を照らし出す。BGMは低く流れるモーツァルトのレクイエム。荘厳な調べとは裏腹に、今にも爆発しそうな緊張感が漂っている。


カメラが回り始めた瞬間、二人は無言で接近する。前回とは違う静寂の中の闘争。だがそれはより緻密で計算された攻防だった。拳ではなく膝蹴り。肘打ちの代わりにヘッドロック。お互いの弱点を熟知しているがゆえの巧妙な攻め方。


「進歩したわね」香織が微笑む。「ええ。でもあなたのほうが上手みたい」


言葉の応酬が続きながら、二人の距離は徐々に詰まっていく。美咲の踵が香織の足を払い、バランスを崩させた。しかし香織も咄嗟に腕を掴んで倒れないよう堪える。

ドレスの裾が乱れ始めると同時にBGMが高まる。カメラマンの呼吸さえ聞こえてくるほどの静寂。次の瞬間——二人は抱き合うように密着し、そのまま床へと倒れこんだ。

香織の肘が美咲の脇腹に叩き込まれる。美咲は小さく呻いたが、すぐさま体勢を立て直し香織の脚を払おうとする。だが香織はそれを読み切り、くるりと身を翻して躱した。


「ふん」香織が嘲笑う。「前回より上手くなったわね」


「当たり前でしょ」美咲は呼吸を整えながら挑発的に言い返す。「あなたを倒すためなら何だって学ぶわ」


今度は美咲が先に動く。素早い掌底で香織の胸部を狙う。香織はそれを横に流しながら、カウンターで美咲の首筋に手刀を入れる。ただし十分な力は込めず、あくまで牽制程度に留めた。


カメラマンの一人が息を呑んだ。二人の動きは明らかに研ぎ澄まされていた。以前のような無謀な力任せの闘いではない。互いの力量を測りながらの駆け引き。


「これは……演技じゃない」ベテランのADが呟いた。


二人はスタジオの隅へと追い込まれていく。壁に背をつけた美咲が防戦一方となる。香織の連続パンチが襲いかかるが、どれも急所は外している。まるで熟練ボクサーのスパーリングのようだった。


# 日常の泥沼


「……っざけんな!」


香織の怒号が廊下に響き渡る。仕事帰りのカフェで偶然鉢合わせた二人のモデルの罵り合いは、周囲の客が遠巻きにするほど激化していた。


「また新しい男?ホント尻軽ね!」香織はバッグから飛び出した口紅を奪い取り床に叩きつけた。


「あなただって!」美咲がカウンターに置かれた香織のスマホを払い落とす。「元カレに媚び売ってる写真、インスタで見たわよ!」


店員が「他のお客様のご迷惑に……」と言いかけた瞬間—


パシッ!


美咲の平手打ちが香織の頬を捉える。店内が静まり返る中、香織も即座にやり返した。テーブルクロスが翻りグラスが割れる甲高い音。


「キャアッ!」


驚いたギャルが悲鳴をあげて退ける間も二人の取っ組み合いは止まらない。ネイルが互いの顔を引っ掻きあい、香水の甘い匂いと血の匂いが混じり合う。


「離せ!このブス!」


「あんたの方がブスだ!」


ストラップレスドレスの香織に対しノースリーブワンピースの美咲。露出した肩や二の腕に爪痕が刻まれていく。


「人の旦那奪っておいて!」


「あいつが誘ってきたんでしょ!」


近くのサラリーマンたちが仲裁に入るも振り払われる。警備員が来る気配はない。この時間帯は人員不足らしい。


「私の幸せ壊して!」


美咲が香織の髪を掴み頭突きをする。額が擦れあう距離での睨み合い。瞳孔が開きっぱなしで焦点が合っていない。


「私だって辛かった!あんたがいる限り!」


涙と鼻水で顔はぐちゃぐちゃだ。それでも互いの腕を掴み合い絶対に離そうとしない。息遣いだけが荒々しく響く。


# 喧騒と鎮静の狭間で

「おい!もうやめろって!」

必死に仲裁に入る男性の腕を二人は無造作に振り払う。店のガラス窓が衝撃で揺れる。周りの客は完全に凍りついている。

「これ以上やったら警察呼ぶぞ!」

店長らしき人物が叫ぶが、二人の耳には入っていない。もはや理性など欠片も残されていないのだろう。

「……死ね」

香織の呟きに美咲の目が妖しく輝く。

「殺してやる!」

香織は美咲の首を締め上げながら床に押し倒す。マニキュアの光沢が滑稽に見えるほど狂暴な光景。

「ぐぅ……」

美咲の爪が香織の顔に食い込み皮膚を抉る。血が飛び散り二人の衣装を汚していく。もはやモデルとしてのプライドなど微塵も感じられない。

「うるさい!黙れ!」

香織の拳が美咲の腹に何度も叩き込まれる。吐瀉物の匂いが漂い始めるが構わない。今さら気にすることなど何もないのだ。

「許さない……絶対に許さない……」

美咲の怨念に満ちた声が震える。二人は抱き合うように倒れ込みながらお互いの身体を傷つけ合う。もはやどちらが攻めているのか分からなくなってきた。

「……香織」

ふと懐かしい呼び方に香織の動きが止まる。次の瞬間—

ガツン!

美咲の頭突きが香織の額にクリーンヒットした。視界がぐらりと揺れ、一瞬意識が遠のく。

「……卑怯者」

毒づきながらも体勢を立て直そうとする香織。しかしその隙に美咲が馬乗りになってきた。

「覚悟しなさいよ……」

その冷酷な声色に香織の背筋が凍りつく。だがすぐさま反撃に出た。スカートの裾を掴んで思いっきり引っ張ると美咲のバランスが崩れる。

「甘い!」

香織はそのまま横転し形勢逆転。美咲の腕を捻り上げながら再び首を絞めにかかる。今度こそ決着をつけようと全身全霊を込めるが—


「あ……」



動画はこちらhttps://x.com/nabuhero


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