あれれ?

 ルキノの病気のこと、オレから言ってしまえば、結衣菜は納得するだろうけど、やっぱりこればっかりは…ムリだよなぁ。

 

 

 絶対…結衣菜は、ルキノから嫌われてるって思わん?

 

 結衣菜のクッキー食べたら死ぬとか言われてさ…

 

 ルキノよ…

 もっと言い方を柔らかくするべきだよ…

 

 あと、真顔で言うのもな…

 

 表情って、大事だと思うんだよね。

 

 

 まぁ、そんなこと笑顔で言われても…

 

 いや、むしろそんなこと笑顔で言われたら…恐ろしいって部類にあたるな。

 

 これは…

 

 やっぱり、そっとしておくべき?

 

 でもなぁ…

 いや、これは言うべきなのでは?

 だれかが他に知っていた方が力になれるよね?

 

 結衣菜は、ルキノの病気のことバカにするとは、思えない。

 

「あのさ、ルキノ…結衣菜にだけ低血糖とアレルギーのことオレから言ってもいい?」

 

 ルキノは、少し考えて

「なんで?そんな、わざわざ言わなくてもよくない?結衣菜だって、そんなこともうどうでもいいって思ってるくない?」

 と、冷めた顔で言い放った。

 

 うーん…

 

 結衣菜は、気にしてるっぽいんだよなぁ。

 

 

「結衣菜はさ…気にしてるっぽいんだ」

「フッ、そんなわけ…てか、なんでよ?わたし結衣菜と、そこまで仲良くないしそんなに心配されるくらいの仲じゃないし。冬希は、気にしすぎなんだって。」

 

 …

 

 そう…なのかな…?

 

 結衣菜は、なんかルキノのこと言いたげなんだけどな。

 

 

 魚の骨が喉に引っかかってるくらい違和感あるっぽいけどな…。

 

 なんなら、水を飲んで変なとこに入ってしまった…みたいな?

 

 てか、耳に水が入ったとか?

 

 いや、鼻に水が入って…って、なんのことだ?

 

 自分で考えていて、意味がわからなくなってきたぞ?

 

 とにかく結衣菜は、…ルキノのことで、なんかひっかかっているのは、間違いない。

 

 

 結衣菜は…

 

 うーん…

 

 オレが直接聞いてあげるべきだよね?

 やっぱり話しあうって、大事だよね?

 

 

 今度結衣菜と一緒に帰ったときに、うまく聞いてみようかな。

 

 うまく聞ければいいけど…

 

 

 

 

 

 

 あれからルキノが低血糖をおこすことは、なかった。

 

 ちゃんとチョコとかを持参してるっぽいな。

 

 

 学校での結衣菜とルキノは、普通っぽい。

 

 

 そもそもが、元から仲良くもなく…なんなら、悪くもない。

 

 今も、それはそのままだった。

 

 

 放課後、オレは結衣菜と帰るために昇降口で待っていた。

 

「じゃーねー」

「うん、また明日ねー」

 

 顔は見えないけど、ルキノと結衣菜の声だ。

 

 普通なんだよなぁ…

 

 …

 

 

「冬希、お待たせ」

「お、帰ろっか」

「うん」

 

 今日は、ルキノのこと聞かなきゃだよな。

 

 でも、いきなりルキノの話題をだすのもあれなので、たわいもない会話をしつつ、ルキノの話に持っていくことにした。

 

 

 そして、違和感なく

「ルキノのこと…気になる?」

 って、サラッと聞いてみた。

 

 すると結衣菜も、

「うん。そうだと思った」

 って返ってきた。

 

 あー…、気づいてた?

 

 結衣菜は、ルキノの病気のこと気づいてたのか。

 

「あ、結衣菜知ってたんだ?なら、結衣菜が知ってるならなら大丈夫か」

 

 …

 

 

「大丈夫では、ない。でも…仕方ないことだよね」

 

 そうだよね。

 病気は、仕方ないよね。

 

「うん、そうだね…。大丈夫なんて無責任だよね。ごめん」

 大丈夫なんて、それは押し付けがましいな…。

 結衣菜が知ってれば助かるなんて、それはまた違うよな。

 

 

 

 …

 

 

 結衣菜は、うつむいた。

 

 そして、いきなり

「バイバイ」

 って言って走って帰ってしまった。

 

 

 あれ?

 

 どうしたんだろ?

 

 

 …

 

 

 ⁇

 

 やっぱりルキノの話は、タブーだった?

 

 

 

 続く。

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