転生したらただの村人だった私が王子様のプロデュースで帝国アイドルになれたんですけど、よかったのかな。

みゆ

プロローグ

「今日のバイトも疲れたなー……」

 日が暮れた夏の夜、どこかで花火の音がしてた。

 とぼとぼと、街灯の明かりを頼りに一人暮らしのアパートを目指す。


「はあー。お腹すいた」

 私は、大学生で地下アイドルをやってる、秋月絵里。

 双子の妹の莉里とアイドルになろうって、決めたのが始まりだ。


 なのに、妹はスカウトされて、あっという間に国民的アイドルになってしまった。

 莉里は可愛くて天真爛漫で、少し生意気で、魅力的な自慢の妹だ。


 昼間は大学に通って、夜はコンビニでバイト。

 ライブや衣装費用のために、クタクタな貧乏学生の私と大違いだ。


 でも、歌うのはやめたくないんだ。

 ステージで歌って踊るのは大好きだし、アイドルになるのは私の夢でもあり、憧れだ。


 今は、地下で人気アイドルの楽曲をカバーばかりしてるけど、いつかちゃんとデビューして、オリジナルの曲を歌うのが目標なんだ。


「同じ双子なのに、どこで差がついたのかな?」

 


「――ビーーーーッ!!」

 まるで、ダメ出しみたいなクラクションの音が、突然耳を貫いた。


 きっと、くたびれすぎて、注意が散漫になってたんだ。

 気がついたら、トラックの光がステージライトよりも強く私を照らしていた。


 あ。と、思った時にはもう遅くて、私はトラックに跳ねられて、呆気なくこの世を去ったんだ。

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