旅は終わらない
はらぺこ・けいそ
第1話
「俺は、旅に出たい」
その一言を最後に俺は、死んだ。
俺の死は、イレギュラーでも何でもない。そう思っていたのに、神ノ使者を名乗る天使が送られてきた。
そう、ここは死後の世界と現世のはざまにあるという真っ白い空間。ラノベでよく見る光景だ。どうしてか、死後と現世との間にある空間は何もない真っ白い空間として書かれていることがい。まぁ、そんな疑問はどうだっていい。今は目の前にいる天使との会話に集中するとしよう。
「高橋大河さんあなたは死にました。齢二十という若くして、死因は自殺とありきたりな理由ですが、あなたはここに来た。それは、選ばれたという事。あなたには選択肢があります、転生するか死ぬか」
「俺は、死にたい。」
「えぇ、ですが異世界に転生するのであれば旅にだって出られます」
そんな、甘言に騙されるほど俺も馬鹿じゃねぇ。
「じゃあ、異世界に転生でお願いします」
俺は、まだ旅に出れてない。旅に出て、人と人との出会いというのを体験してみたい。自由というのを手にしたい。
そして、甘言に騙された俺は異世界へとやってきたわけだ。
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見渡す限りにあるのは、木々が茂っている森の中だった。俺が今持っているのは巾着とその中に携帯食料と水筒、もって三日分といったところだろう。他には、身に着けている衣服のほかに腰に携えた刀だ。
もちろん魔法もある世界で俺自身魔法を使えるが杖なしでも使えるらしいから用意はしてない無駄に荷物を増やしたくはないからな。
無限収納?空間転移?鑑定?そんなものあったら旅が楽しくないだろう。だから、もっていない。だから俺はこの身一つでこの世界を旅するつもりだ。この世界自体がまだ中世くらいのため、移動手段はせいぜい馬車くらいだ。
そして俺は、この世界についての知識がほとんどない。一般常識ぐらいはあるし、この世界の文字の読み書きもできるし喋ることもできる。
それじゃ、この世界をたのしむとしようか。
「んーここが何処なのかもわからん。まぁ、とりあえず川を探して川沿いを歩けば村か街にたどり着くだろう」
そうして俺は川を探すために歩き始めた。
見渡す限りが森、何も見ごたえがない森だ。ただ、小鳥のさえずりや角の生えたウサギがこちらを見ておりかわいく見える。角の生えたウサギ?
「魔物か、うおっと」
その角のもつウサギが俺の胴体めがけて飛んできた。もちろん、その体当たりをよけると続けて体当たりをしてくる。その角が刺さると致命傷を負いかねない、そう考えると怖いがよけるのは難しくなく、寧ろ簡単だ。
その体当たりをよけ続け、流石にずっと続けるわけにもいかず此方から仕掛けることにした。
よっと、体をそらすと角の生えたウサギは俺の真後ろに合った木に角を刺し身動きが取れなくなっていた。狙い通りにいきおれは腰に携えていた刀を抜いた。
「そんじゃあ、俺のために死んでくれ」
勢いよく刀を振るうとウサギの首と胴に別れを告げさせた。携帯食料は味がしないらしくおいしいとは言えないらしく、今晩の飯はこのウサギにしようと思う。まぁ、調味料もないし素焼きになるけどな。
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