六日目

外の霧はさらに濃くなり、窓の外は視界ゼロになった。

カメラの映像も次第に乱れ、画面は赤と黒のノイズで覆われていく。


廃墟の中を歩こうとすると、足元が揺れるように感じた。

実際には床は動いていないはずなのに、視界が波打ち、壁の色が刻々と変わっていった。


時間の感覚もおかしくなり、何度も時計を確認するが針は止まっている。

廊下の壁に貼られた「七」の文字は消え、代わりに赤く滲んだ手形が増えていた。


声が聞こえた。

「あと、ほんの少し」


その瞬間、カメラの画面に映ったのは、俺ではない誰かの顔だった。

ぼやけているが、確かにこの廃墟の持ち主と思われる老婆の顔。

笑っている。


俺は叫ぼうとしたが、声が出ない。

体がまるで誰かに操られているように動き出した。

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