六日目
外の霧はさらに濃くなり、窓の外は視界ゼロになった。
カメラの映像も次第に乱れ、画面は赤と黒のノイズで覆われていく。
廃墟の中を歩こうとすると、足元が揺れるように感じた。
実際には床は動いていないはずなのに、視界が波打ち、壁の色が刻々と変わっていった。
時間の感覚もおかしくなり、何度も時計を確認するが針は止まっている。
廊下の壁に貼られた「七」の文字は消え、代わりに赤く滲んだ手形が増えていた。
声が聞こえた。
「あと、ほんの少し」
その瞬間、カメラの画面に映ったのは、俺ではない誰かの顔だった。
ぼやけているが、確かにこの廃墟の持ち主と思われる老婆の顔。
笑っている。
俺は叫ぼうとしたが、声が出ない。
体がまるで誰かに操られているように動き出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます