第2話 スールな関係。
オリエンテーションが終わり、初めてクラスメイトの顔合わせだ。
そこで、イナズマが走ったのは『北新宿 春利』と会った瞬間であった。
元々、百合属性だから女子校の中等部に入ったのだが。しかし、出会いは無く、工業高校に流れ着いたのだ。
お、お姉様だ!!!私が感動の嵐に浸かっていると。
「貴女が三人目の女子ね」
現れたのは『輝 直美』であった。この直美さんは話によると、この地域で一番のお嬢さま女子校が出身中学であった。
私の女子校の中等部など偏差値が違う。
ま、人、それぞれ事情が違うのであろう。
うん、うん、と納得していると。
「知っている?この中里工業高校には少ない女子同士がスールの関係に成るらしいわ」
春利さんが上級生から聞いた噂を話し始める。
これは運命だ!!!是非、春利さんとスールに成りたい。
数日後。
私は運動部を見て周っていた。しかし、女子を受け入れる部活はテニス部だけであった。いいや幽霊部員になろう。
私は教室の机に向かいテニス部への入部届を書く。
うん?お姉様が近づいてくる。
「す、す、スールの相手は決めました?」
私はカタコトの日本語で聞いてみる。
「まだです。なにせ女子の数が少ない」
これはチャンスだ、しかし、私には女子校時代のトラウマがある。
また、嫌われたらどうしよう……。
私の左腕にはリストカットした傷跡が残っていた。
それから、昼休みの時間は教室の片隅に机を並べて三人でご飯を食べるのであった。
「菜奈さん、シェフの作った、だし巻き卵、食べる?」
あああ、直美さんは悪役令嬢に近いらしい。はて?九十年代中盤にそんな言葉は有ったかな?『エー◯をねらえ』の頃から存在はしていたらしいから問題なかろう。
さて、春利さんを見るとバランスの取れた綺麗お弁当である。話によると朝、早起きして自分で作っているらしい。母親頼み私には羨ましいモノだ。
「春利さん、私のスールに成ったら、二人前作ってくれるかな?」
あ!!!
私はつい、出てしまった言葉にパニックになる。初めてあった時以来の秘め事だったのに!!!
「えへへ、菜奈さんならスールに成っても良いわ」
あああ、暴発した告白は結果オーライか。春利さんが頬を赤らめて照れていると……。
「あーら、二人で盛り上がって、当然、私が長女ね」
忘れていた、目の前には直美さんが座っていたのだ。
この様子だと三姉妹のスールになるのか?
今更、直美さんはなしとは言えないし……。
「直美さんもスールに入る?春利はどう思う?」
ここは、春利に決めて貰おう。そう、私に悪役令嬢の直美さんは止められそうもない。
「嬉しい、勿論、友達以上のスールの関係よ」
あああ、力関係的に私が三女か。確かに、私は一人っ子なので新鮮ではあるが。
すると、直美さんが右手を前にだす。
あー三人で手のひらを重ねて『イエイ』をやりたいのね。
春利さんは直美さんの上に右手を乗せる。
私は渋々でも『イエイ』をする事にした。
右手を上に乗せた瞬間、三人の元気が爆発して『イエイ!!!』となる。
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