【好き語りエッセイ】あのころ虎は弱かった

弱い虎だったからこそ

「阪神タイガースを好きな奴は野球を知らない」


 うるせえ!

 顔で笑って、心で燃えた。


 阪神タイガースに熱狂するようになったのは学生の頃でした。

 暗黒時代、クラスで笑われて。それも野球部に。なんか悔しくて、くやしくて。それからはテレビ中継でもラジオでも、解説と実況に聞き入って! 阪神の記事も読みあさって! 詳しくなってやりましたよ!! 阪神にも、野球にも!!


 ついでにどっぷり沼にハマりました。

 立派なトラキチのできあがり。


 そんなわけで、私の青春? は、ダメ虎暗黒時代と重なっています。


 当時は現日本ハム監督(2025年)新庄しんじょうさんの「亀新かめしんフィーバー」ど真ん中。だからこそ、その熱狂に「阪神ファンは野球を知らない」とさげすまれたものですが。それは2003年のフィーバーでにわかにファンが増えたのと同じではないでしょうか? ちなみに私は、私のその経緯があるので「にわかもファン」と、にわか大歓迎です!


 甲子園くれば人生観変わりますよ!

 あの熱狂!!

 知らない人同士でも、打った瞬間! 勝った瞬間! 手を取り合って喜び合うんですから!!

 それが球場全体、怒涛のように押し寄せてくる。

 阪神ファンでよかったと心底感動する瞬間です!


 にわか上等!

 一緒に盛り上がり、選手を盛り立てましょう!


 暗黒時代。


 そんな歓喜の瞬間なんて、あのころはこれっぽっちしかない。

 だからこそ勝利に酔えたともいえます。

 今でこそ甲子園のチケットは超プレミア、なんだったらドジャースの開幕試合よりも手に入りにくい。甲子園は毎試合それなんですから。ですけど、あの頃の甲子園はガラガラでねえ……。新庄選手のことでいえば、応援ボイコットさえありました。


 1985年の優勝時の吉田よしださんが監督にみたび就任となった時には期待したものですが、結果は5位、6位。


 ダメ虎の監督なんてもう誰も引き受け手がない?!

 ところが!

 ヤクルトスワローズの黄金期を築いた野村のむらさんが!


「これでやっと阪神も強くなる!」


 と、みんな期待したものですが。

 結果は野村さん時代、すべて最下位。


 虎はもうダメかもしれない。


 ファンは落ち込んだものです。でも、野村さんは確かなものを阪神に残してくれていたのです。虎を強くするためのものを。選手のなかには息づいていたのです!


 野村さんのあと、なんと! 中日ドラゴンズの監督を辞めたばかりの猛将星野ほしのさんが!!

 野村さんが残してくれたものにプラス、ダメ虎根性を叩き直してくれたのです。


 野村さんもですけど、星野さんも、「タイガースが強くならなきゃ、セ・リーグは盛り上がらん!」と駆けつけてくれたのです。


 なんかねえ、私自身も気合を入れられた気がしました。

 ファンもダメ虎に満足せず「勝ちたいんや!」ともっと、もっと声を上げろと。


 球団も、球場も変わったのです。

 人気だけにあぐらをかいてちゃいかんと。

 営業もがんばりました。

 野村さんのしょうへいからしてですが、甲子園球場を整備して、特に女性やお子さんでも来やすいようにと改修。応援グッズではピンクのレプリカユニフォームなんて、阪神が最初だったんじゃないでしょうか?


 ファンの期待はいよいよ高まる、星野政権2年目。

 大幅な血の入れ替え。

 特に大きかったのは、FA(フリーエージェント)で広島東洋カープから金本かねもとさんが移籍してきてくれたこと!


 私は本当に驚きました。

 確かにFA取得年には成績を落とされていましたが、トリプルスリー(打率3割以上、盗塁30以上、本塁打30以上)を達成されていた、押しも押されぬ広島の主力でしたから。まさかダメ虎にそんなスターが来てくれるなんて! 実際、金本さんのキャリアハイの成績はすべて、阪神時代のものですから。全盛期は過ぎていたとかなんとかいう言葉は実力で打ち払い、40を過ぎてもバリバリ阪神を引っ張ってくれたものです。


 星野さんと金本さんは確かに、虎を戦う集団へと激変させてくれたのです!


 歓喜の18年ぶりの優勝へと、それはつながったのです!!


(続きます)

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