第14話 追伸、娘に手を出したら殺す
「それよりも、魔法の系統は何になるんでしょうか?操作系?放出系?え、それともまさかの特殊系……?」
どうやら、フランツィスカ嬢は殊のほか魔法に興味があるようだ。
さっきまで震えていたのが嘘のように饒舌になっている。
まぁ、父親が王国でも五指に入る魔法使いともなれば、やはり憧れるのだろうか。
「あ~、ちょっと、これは魔法じゃないんだ。理由があって説明は出来ないけれど、魔法とは全く別の事象干渉になる」
夢を壊してしまうようで申し訳ないが、いつまでも答えが出ない問題に関わらせておくのはもっと忍びないので、僕はそう告げたのだが、それに体しての反応は予想外だった。
「ええ?魔法じゃないんですか?それじゃあ、まさに未知の現象。むむむむ、これはもっと詳しく調べなければなりませんね」
どうしてそうなるの?
もしも、犬の尻尾でもあれば、ブンブンと大きく振っていたであろうほどに上機嫌でにじり寄って来る子ウサギ嬢に、ちょっと引き気味になった僕は、何とかしてくれと護衛の騎士に視線を向ける。
な・ん・と・か・し・ろ
僕は口をパクパクさせて、フランツィスカ嬢に聞こえないように助けを求める。
ム・リ・!
だが、それに対する反応は無情なものであった。
遠い目をして無表情で首を振るジュリア。
役に立たねぇなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
僕の内心の叫びは、目の前には少女に届くことなかった。
それからしばらくの間、僕は延々と質問責めに遭うのだった。
★★
散々、僕……というよりシルヴァが起こした事象干渉について聞かれたが、何とか妖精のことだけは話さずに誤魔化しきった。
それでも、魔法談義が出来たからなのか、肌艶すら良くなったように見えるフランツィスカ嬢とは裏腹に、僕は結構疲弊していた。
何しろ、なかなか目の付け所が良く鋭い質問が続くものだから、僕もどう誤魔化せばボロが出ないかを考えながら答えていたので疲れきってしまった。
すると、ゼエゼエと肩で息をしていた僕に、ニッコリと微笑んだフランツィスカ嬢は思い出したかのように自分の荷物を漁る。
「あっ、遅くなりましたが、こちらはお父……いえ、父からです」
お父様と言おうとしたなと気づくも、心の広い僕は知らんぷりをしてフランツィスカ嬢が差し出した手紙を受け取る。
どうせ碌でもないことが書かれてるんだろうなと思いながら手紙の封を切ると、そこには貴族からの手紙とは思えないほどに簡潔な言葉が綴られていた。
『約束どおり優秀な人材を送る。ちょっと、魔法が好きすぎるという欠点はあるが、それ以外は容姿、性格、家柄、能力どれを取っても最上級なのは間違いない。どうせ、軍属になるなら、お前の隣が一番安全だと思ったからな。いいか、何があってもウチの娘だけは守れよ――――――追伸、娘に手を出したら
うん、予想どおり、全て僕に丸投げしやがった。
公爵様ぁ、何でそんなに僕の信頼度が高いのさ。
僕は引き攣った笑みを浮かべたまま、もうこのどうにもならない現実は受け入れざるを得ないのだと諦める。
「よしっ!」
僕は自分自身に渇を入れるように勢い良く立ち上がると、フランツィスカ嬢たちに告げる。
「それじゃあ、これから飲みに行きましょう」
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