第32話 ミニーマウス
『ミニーマウスになってしまった私』
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1. 開幕、ピンクのドレス
目を覚ますと、私の手は手袋に覆われ、耳は丸く大きくなっていた。
鏡の中にいたのは――紛れもなくミニーマウス。
ピンクのドットのリボン、白い手袋、そして、丸すぎる笑顔。
なぜか、声まで高くなっている。
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【事実メモ①】
ミニーマウスは1928年、ウォルト・ディズニーとアブ・アイワークスによって生み出されたキャラクター。
初登場は短編アニメ『蒸気船ウィリー』で、ミッキーマウスとともにスクリーンデビューを飾った。
当時は白黒映像で、現在の赤いドレスではなく、スカートの色も作品によって変わっていた。
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2. ミッキーとの再会
「やあ、ミニー!」
声の主は、世界で一番有名なネズミ――ミッキーマウスだった。
手を取られた瞬間、胸がきゅっと締め付けられる。
……なぜだろう。私はただの日本人だったはずなのに。
でも今、目の前の笑顔は、妙に眩しい。
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【事実メモ②】
ミッキーとミニーは公式設定では恋人同士。
長年「結婚していないが永遠の恋人」という立ち位置を保っている。
声を担当した初期のウォルト・ディズニー自身も、ミッキーの声と同時にミニーへの台詞を吹き込んでいたという。
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3. パークの舞台裏
気づけば、私はフロリダのウォルト・ディズニー・ワールドのパレード待機所にいた。
キャストたちが笑顔で私の衣装を直し、耳の角度を微調整する。
その優しさと、世界中から届く歓声の波――
私は、ただのキャラクターではなく、「夢」を背負っていると悟った。
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【事実メモ③】
ディズニーのパークで演じられるキャラクターは、世界各地で「同じミニー」として振る舞う。
これは「どこに行ってもミニーは一人」というブランド哲学によるもので、衣装や仕草の細部まで徹底的に統一されている。
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4. ミニーとして生きる選択
夜、控室で鏡を見つめる。
私の中には、かつての「人間としての私」もまだ残っている。
でも――今日、子供が私の手を握って言った。
「ミニー、だいすき!」
その瞬間、私は心から思った。
この世界で生きるのも、悪くない。
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【事実メモ④】
2018年、ミニーマウスはハリウッド・ウォーク・オブ・フェームに名前を刻まれた。
登場から90年、ミニーは単なる恋人役から、自立した人気キャラクターへと成長している。
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