第5話 鵠白聖夜の光と影

ねぇ、知ってる?

Xmasの夜に白い鳥を見ると

告白できる夢が叶うんだってさ



それよりも…

「ヨシュアくん、この悪夢の管理お願い。それとそこの資料取って、あと、接客にコーヒーいれてね」

「キミにはロマンが無いのかい、スイムちゃん」

「それよりも、今は、お仕事です。」

スイムは笑顔でほほえんだ。

「…ふぅ。勝てないねぇ」


架空伝説を信じますか?

例えばこのように、空は国があり、大都市を拠点とする構造ビルがあるとする。

ここは、ぼくたちが働く狩人管理職さ。

ここで、ぼくとスイムちゃんは狩人の管理をしているんだよ。

例えば、受け付けた依頼の報告書を処理したり。

今日も今日とて、寄せられたミッションを雇っている狩人に頼む。

御礼は一回につき10000万ルピス。

そりゃ儲かるっておいしい話しだよね。

これでなんとか食い繋いでいけるなんて………ぐすん。

うれしいねぇ。




「ちょっとヨシュアくん、お客様にコーヒーをいれてあげて。

うんと甘くて優しいのをテイストしてあげてね。」

「あ、ああ、まかせてくれよ…(涙)」





-相談所-

「はい。あなたの悩みとは?」

「悪夢だよ…」

「どう言った悪夢でしょうか。状況は、あと、名前を教えてください。」

スイムはローテーブルの上にグリップボードを広げて書き始めた。

ヨシュアは被害者の手前に立ちノートをめくる。

「ぼくの名前は、ドウです」

「同くんですか」


「!」


一筋の閃光が目の当たりに走る。

ヨシュアは、ギラっと目を光らせた。

その名前をすかさずノートに書くと同時に直に脳に叩き込んだ。



同…こいつ確か………!!!



ヨシュアは何か怪訝そうに彼の横顔を見つめた。

この者、確かに、どこかで会った…

気のせいだろうがチェックインされた同。リアルなブラックリストだな。


「(とりあえず) ぼく、夢魔にとりつかれているみたいで…

そう…寝起きに金縛りと声の出ない現象が起きました、ビックリして暫く放心状態でした…」

「そうですか。それは恐ろしい体験をなされましたね。

ご両親に相談なされましたか?」

「いいえ…」

スイムは口許にペンを押し付け、眉間を寄せた。

この子、ご両親はいないのかしら。

「…」

「…」

緊張を解してもらう為に彼にコーヒーを勧めたヨシュア。

スイムは、彼の顔をじっと見つめました。

「おいしい?」

「…はい」

スイムはニコッと、ほほえんで同の頭を撫でた。

「あとのことはわたし達に、おまかせてくださいね、同くん。

必ず、あなたを夢魔から救いあげます」






同が本社を跡にして帰る姿を二階の窓からそっと見守る二人。

スイムは同くんが何者かは知らないけれど、はやく夢魔を狩ってあげたいとココロが叫んでいる。


だってあの子、なんだか普通な感じがしないわ。

儚げで

消えそうで

守ってあげたい

そう想いを寄せている。


「これは仕事上のミッションだよ、スイム。」

ヨシュアはスイムにコーヒーを渡した。

「ありがとう。でもね、ヨシュア…わたし…今までいろんな被害者を見てきたけど、あの子が一番気になるみたいなの。なぜかしらね」

「…メリクリ」

「ほぇ?」


今日、なんだかんだ言ってもXmasの予定だったんだ。

包みには 羽の髪飾りが入っていた。

「…ふふ、可愛い。」

「…スイム」

あねさ…と告白しようとした次の瞬間。

来た。電話。



「…………」

「…………」

ヨシュアが腰の力が抜けたのか、何もかもが力が抜けて、しゃがみこんで頭を抑えた。

スイムは頬を火照りながらも冷静さを保ち電話を、出た。

「はい。こちら愛護狩人同盟………え!?」

スイムは二度聞き直した。


「…ど、同くんが…た、倒れた…!?」

「…!」


ヨシュアとスイムは互いに背を合わせ後ろを向くと心の中で叫んだ。


「「ミッションスタート」」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る