転校生は片足不随杖持ち和風美少女型ロリババァ未亡人先生経産婦吸血鬼真祖ママ!(2/2)

「辛い」


「あらあら。一体全体どうしたのかさごちゃん。そんな今すぐに死にそうな顔をしちゃって。数百年前に私と交わった夫も裸でそんな顔を浮かべて泣いてたわ。かさごちゃんはやっぱりお父さん似ね!」


 彼女たちがこうして学校の休み時間で親し気に話している姿を見ると、まるで年が少しだけ離れた姉妹を彷彿とさせるが……色々と逆だったりする。


 というのも、常識的に考えて普通の人間は、姉は黒髪の彼女で、妹は薄い金髪の彼女であるに違いないと推測するだろうが、残念ながら不正解だ。


 ならば姉が幼女で、妹が大人顔負けの美少女なのかと言われても、残念ながらこれも不正解。


「私が死にそうな顔をしてるのはアンタの所為ですよ、この母ァ!?」


 正解は姉妹ではなく母子。

 それも母は幼女の方という何とも質が悪すぎる引掛け問題なのであった。


「え~? 私は水無月学園の理事長先生とは全くの無関係だって、さっきの授業中に藤崎先生が言ってくださったよ? つまり、今の私はママではなく、かさごちゃんと同級生。そういう設定。良いね?」


「設定の時点で色々と良くねぇですよ!?」


「それに肉体年齢もかさごちゃんよりも若いし? こっちは12歳だよ? 私、かさごちゃんよりも3歳も年下だよ! 身体が!」


「ロリババァじゃねぇですか!?」


 こちらにまで汚い飛沫を飛ばしながら凄い剣幕でまくし立てる彼女の気持ちは分からなくもない。


 冷静に考えてみれば、自分の親が自分と同じ制服を着て、自分と同じクラスに入ってきたと考えるだけでも色々と冷静さを捨ててしまいかねない案件だ。


 特に自分と同性の肉親というのが、ミソだ。

 オレだってあのクソ親父が自分と同じ制服を着て、オレと同じクラスに転校とか編入してきたと考えただけでも顔面を1000発は殴りたい衝動に駆られるであろう事は想像に難くなく、水無月かさごがあぁいう反応をしてしまうのも無理はないと思うのだ。


「そういう訳で理事長先生とは全く関係のない美少女編入生、水無月かおるです! よろしくね、かさごちゃんと夜宮くん!」


 水無月かさごには色々と哀憫の感情を向けてしまうのは確かだが、そんな事よりもオレ自身の身の安全の方が何千倍も、いや何万倍も大事だった。


 と言うのも、この理事長先生を名乗らない不審者はオレに色々と重すぎる感情を向けているのである。


 これに関して説明をするとかなり面倒になってしまうのだが、簡単に言ってしまえば『前世で合法幼女と結婚してしまったロリコンの転生体であるらしいオレは、ロリババァに問答無用でヤンデレじみた愛のスキンシップを現在進行形で受けている件』という売れそうにない小説のタイトル風に説明しようと思う。


「そういう訳で夜宮くん! 挨拶がてらキスしよ!」


 しかし、そんなオレの説明事情を台無しにするかのように幼女がオレの胸に弾丸を思わせる速度で突っ込んできては、口の中に舌も突っ込んでオレの腰を快楽で砕けさせた。


「えっ――きゃあ!? んっ……!? んんっ……! や、やめっ……! んん……ぁん……だ、駄目……皆の目の前で気持ち良くなるの、見せたくないっ……!」


「ふふっ。夜宮くんもすっかり女の子の声を出すのが上手くなったね……? じゃあ、今日も女の子の楽しみ方をお勉強しよっか……? 皆の前で自分は可愛い女の子なんだよって、教えてあげようね……?」


「風紀ィ! おい風紀ィ! 清廉たる空気が流れるような水無月学園の風紀を乱すんじゃねぇですよこの母ァ!?」


「――この私に何か文句があるようですね、水無月かさご」


「いえいえ文句だなんてまさかまさか。その素晴らしい行動力は見習う他ありません。今にして思えば現代日本が少子化問題に鉢合わせているのは性欲を悪と断じるような風潮にあるとしか思えません。そんな状況下でも昨今の若者に欠けている行動力とそれを実践するだけの勇気を併せ持ち、我々公衆の目前でそういう事をする水無月かおる様は水無月学園を代表するに相応しい優秀な生徒です。余りにも素晴らしすぎて友人にしたいぐらい素晴らしいです。えっ、友人にしてくれるんですか。わぁ、ありがとうございます。誰にも差別なんかしないその博愛精神の素晴らしさはまるでこの水無月学園の偉大なりし理事長先生を彷彿とさせます。だから私は殺さないでぇぇぇぇぇ……!!! その眷属には何してもいいんでぇぇぇぇぇ……!!! 本ッ当すいませんでしたぁぁぁぁぁ……!!!」


「はーい! それじゃあかさごちゃんのドリンクバー、お借りしまーす!」



 


━╋━━━━━━━━━━━━━━━━╋━




「えー。先ほど乱入してきた間違えました、編入してきた理事長先生また間違いました、水無月かおる様じゃなくて水無月かおるさんですが、お仕事が忙しいとの事なので午後の授業は欠席です。言伝としましては所有物に手を出したら宣戦布告と見なすとの事です。皆さん長生きしてください、先生からの心からお願いです。そうなったら監視不届きとかで色々言及された挙句に先生も殺されそうなので本当にやめてくださいね。先生もまだ長生きしたいのです」


 こくこくと、何度も頷く生徒たちで溢れかえる水無月学園の学び舎は今日も平和に授業の1コマを進めようとしていた。


 あの理事長先生がこのクラスにいない事に心から安堵を覚えつつも、彼女のおかげで今後の学生生活でオレの身体に手を出す無躾な吸血鬼学生はこれから先、出てこないだろう。


 そう考えるのであれば、抑止力たる彼女の存在は実にありがたいものなのかもしれない――舐め回されるように彼女に色々とされた所為で舌の感覚がなく、うっすらと涙目になりながら、どうしようもないぐらいに熱い身体を少しでも冷ますように両手で抱き、湿気を孕んだ荒い息が全然止まらないオレはそう思った。


「ちょ、ちょっと、夜宮……その、大丈夫です……?」


「んっ……ぁん……心配……っ……す、んなっ……!」


「……うわぁエッロ……媚毒血液をたっぷり注いでさぁここからって所でわざと中途半端なところで中断して生殺しの放置プレイするとか私のお母さん良い趣味してるぅ……普通に勉強になる……流石私のお母さん……えへへ、今度私も夜宮でやってみよ……!」


 こんな半殺しの状態のまま放置されているというのに、欲望に忠実な隣人の吸血鬼たちがセクハラをしかけてこないという事実から省みるに、彼女の取った行動は実に効率的だというのは疑う余地もなかったのだ。


「……その、我慢できそうになかったら教室抜け出して良いと思うんで」


「大丈夫、って、言ってる、んっ……だろ……! ……心配、す、んなぁっ……!」


「……あー。もう、このバカ童貞人間は本当に可愛い……こほん。先生、夜宮の体調悪そうなんで保健室行きますねー。失礼しまーす」


 実に面倒くさそうにそんな事を彼女が言うや否や、オレの身体がひょいと抱きかかえられる。


 いきなりの事で意識が真っ白になってしまうが、少しだけ正気を取り戻したオレは現状を省みて、両頬をとんでもないぐらいに熱を灯らせる。


「……ひゃっ……!?」


 ――お姫様抱っこ、されてる。


 ――それも、あの水無月かさごに、このオレが。


 その事に気がついてしまったオレは本当に女の子のような悲鳴を口から出して、彼女にされるがまま、抱っこされるまま、教室に響く黄色い悲鳴を打ち消すぐらいの心音を鳴らしながら、教室の外に彼女と一緒に出た。


「……な、な、なっ……何、してっ……!?」


「何ってお姫様抱っこですけど。これぐらいは何とか出来るみたいです」


「は、はなせっ……!」


「放しませーん。アンタはこれから保健室で私と一緒に性欲解消するんでーす」

 

 オレの訴えを無視し、また一歩また一歩とオレを知らない空間に連れていく彼女に抵抗しようと、抱きかかえられている状況で精一杯身じろぎしてみるけれども、それぐらいじゃ彼女は動じてくれないどころか、逆に『かわいい』と言いたげな恍惚とした表情でこちらを見返しては、すぐさまいつも彼女が浮かべるような面倒くさそうな表情に切り替えた。


「というかアンタ気づいてないんです? それとも気づく余裕すらないんです?」


「……オレが……んっ……な、何に、気づいてないって……言うんだ……!」


「はい、それ。それですよ、この快楽クソザコ童貞人間」


 それが間違いである。

 そう指摘するように、彼女は器用に片手だけでオレを抱き、空いた右手でオレの唇に白くて細い指をなぞる。


「……ひゃっ、んっ……!?」


「夜宮の数少ない特技の、あの気持ち悪くて男受けの良さそうなお嬢様言葉。今のアンタは全然使えてないですよ。余裕綽々そうな人を小馬鹿にするような態度が滲み出ている性格がクソ悪そうで慇懃無礼なあの言葉遣い、全然出来てないじゃないですか」


 何を言っているんだコイツ。

 そんな言葉が浮かんで、そう彼女に指摘されて初めて、現状の自分の言動に初めて気が付いてしまう。


 そうだ、確かにオレは普通だったら当たり前のように出来ている事が全然出来ていない。


 その事に思い至って……また自分の顔がどうしようもないぐらいに熱くなる。


「ふふっ。気持ち良すぎる所為で余裕のない夜宮、可愛い」


「かわいく、なんて、ありません、からっ……!」


「えぇ? 今更取り繕えると本気で思ってるんです? 気持ち良すぎる所為で頭が馬鹿になってるアンタ、本当に可愛いですね? 本当に女の子みたいで可愛いですよ?」


「~~~っ! うっせぇぞテメェっ……!」


「あらら、顔を両手で隠しちゃって、まぁ。大丈夫ですよ。保健室でたっぷりお礼がてら、処女初心者のアンタを優しく気持ち良く吸血して、気持ち良いのいっぱい出しましょうね……?」

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