💋「新編 長安変奏曲」これはエンタメなのか?歴史物じゃないのか?時折真面目でエッチなお話 🌸カクヨムコンテスト11(エンタメ)応募中

🌸モンテ✿クリスト🌸

第1章 長安へ 完結

第1話(1) 長安の酒肆の夜

 長安の夜は、灯籠とうろうの揺れる光が平康坊へいこうぼうの石畳を照らし、琵琶びわ箜篌くごの音が酒肆しゅし茶肆さしから漏れ、街を淫靡な雰囲気に染める。東市の近く、平康坊へいこうぼう酒肆しゅし「月下楼」は、漢族かんぞくの商人、ソグドの豪商、突厥とっけつの騎馬民族が集い、酒と遊び女の誘惑に身を委ねる場だ。絹のまくで仕切られた座敷や、喧騒に満ちた大部屋では、笑い声と欲望が響き合い、夜が更けるほどに熱を帯びる。この夜、揚州の歌妓、突厥とっけつの娼婦、トハラの舞女が織りなす一幕が、酒肆しゅしの灯火の下で繰り広げられる。


翠蓮すいれん


 酒肆しゅし「月下楼」の奥、絹のまくに囲まれた座敷の一角。赤い旗袍チーパオをまとった揚州出身の翠蓮すいれん(22歳)は、漢族かんぞくの中堅商家の若旦那、張元凱ちょうげんがい(25歳)と盃を酌み交わしていた。


 旗袍チーパオの深いスリットから覗く白い太腿が、灯籠とうろうの光にほのかに透け、汗で濡れた薄絹が肌に張り付く。翠蓮すいれん元凱げんがいの右に座り、胡床こしょうに左足を立て膝にしてその視線を釘付けにする。「なぁ、ちょうさん、このの絹、うちの肌より滑らかやろ? 触ってみぃ~」と、京都弁風の柔らかな中国語で囁く。彼女の扇子から漂う茉莉花ジャスミンの香りが、座敷に甘く広がっている。


 元凱げんがいは、絹商の跡取りとして長安で名を上げつつある若者だ。ゆったりしたほうをまとい、腰に金子きんすの袋を提げている。


翠蓮すいれん殿、その姿はまるで月下の蓮の花だ。詩にあなたを詠まずにはおられん」と、目を輝かせて盃を傾ける。翠蓮すいれんは微笑み、今度は右足を立て膝にし、旗袍チーパオのスリットがわずかに開いて秘めやかな部分がチラリと見えるようにした。元凱げんがいの目には、彼女の秘裂をおおう早春の若草のように薄い陰毛が見えたような気がした。


(しめしめ、ちょうさん、すっかりうちに夢中やね。下の毛も手入れしておいて良かったわ)と、内心で舌なめずりしながら、扇子で口元を隠して艶やかに笑う。「ほな、もっと近くでうちの舞、見てみぃ~」と囁き、元凱げんがいの手をそっと太腿に導く。


 彼女は立ち上がり、箜篌くごの音に合わせて舞を披露した。彼女は旗袍チーパオすそを軽く翻し、腰を緩やかに振って、茉莉花ジャスミンの香りを漂わせる。足首の翡翠ひすいの鈴がチリンと鳴り、薄絹越しに体の曲線がほのかに透ける。


 元凱げんがいは目を丸くし、「こ、この舞は…まるで仙女のようではないか!」と息を呑んだ。舞が終わると、翠蓮すいれんは彼の隣に戻り、胡床こしょうに膝を寄せて囁く。


ちょうさん、うちの肌、よりええやろ? もっと近くで感じてみぃ~」と、扇子を振って誘う。元凱げんがいは顔を赤らめ、腰の金子きんす袋をすべて差し出し、「翠蓮すいれん殿に敵う者はいない。今夜は翠蓮すいれん殿を買い占めるぞ!いいや、今夜と言わず、明日も明後日も…」と呟いた。


玉梅ぎょくばい


 酒肆しゅしの大部屋では、緑のにしき旗袍チーパオをまとった翠蓮すいれんの同僚で同じく揚州出身の玉梅ぎょくばい(18歳)が、卓の隅で一人酒を飲んでいた。薄絹の衣装は汗で肌に張り付き、梅の花の刺繍が灯籠とうろうの光に映える。


 彼女は小さな酒器を手にチビリチビリと飲み、扇子をぽんぽんと叩きながら溜息をついた。「今日、男っ気全然やん。ほんま、つまらん夜やわ~」と、京都弁風の中国語で愚痴をこぼす。足首の銀鈴がチリンと鳴り、髪の歩揺ほようが揺れるたびに、彼女の若々しい魅力がほのかに漂う。


 大部屋は賑わっている。ソグド商人が葡萄酒を豪快に飲み、漢族かんぞくの官僚が白居易はくきょいの詩を詠み、突厥とっけつの男が馬の嘶きのような笑い声を上げる。


 だが、玉梅ぎょくばいの卓には誰も近づかず、彼女は盃を傾けながら、「こんなええ夜、うちの笑顔、誰か見てくれへんかな~」と呟く。扇子で口元を隠し、市場の喧騒を思い出して少し寂しげに微笑んだ。


 彼女の旗袍チーパオのスリットから覗く太腿は、灯籠とうろうの光に照らされ、ほのかに愛液が光るが、客の目はソグドの胡姫こきや他の漢族かんぞくの歌妓に奪われていた。「ほんま、負けてられへんのに…」と、玉梅ぎょくばいは盃を握りしめた。


碧月へきげつ


 酒肆しゅしの外、平康坊へいこうぼうの石畳の路上に馬の嘶きが響いた。金髪碧眼の突厥とっけつ出身の娼婦、エリナ(21歳)が、皮革ひかく靴袴くつばかまに大胆なスリットを入れた衣装で馬に跨り、酒肆しゅしに乗り付けたのだ。腰に巻いた毛織の帯には銀の装飾が輝き、足首の銅鈴がカランと鳴った。


 ほぼ同時に、トハラ出身の歌妓、碧月へきげつ(21歳)が、幾何学模様の絹の胡服こふくをまとって馬で現れた。窄袖さくしゅうの衣装と短いくんが彼女のしなやかな肢体を際立たせ、足首の銀鈴がチリンと響いた。二人は酒肆しゅし前の馬をつなぐ杭を巡り、たちまち火花を散らした。


「おいらの馬、ここに繋ぐんだっちゃ! 邪魔すんなよ!」と、碧月へきげつが仙台弁風の中国語で叫んだ。エリナは馬から降り、「んだず! おらの馬が先に着いたっけがら、どけよ!」と、東北弁風の中国語で応じる。群衆が集まり、ソグド商人が「突厥とっけつの女、気合い入ってるな!」と囃し、漢族かんぞくの客が「西域の女も負けてねえぞ!」と笑って見物の輪を作った。


 二人は馬を降り、路上で取っ組み合いの喧嘩を始めた。エリナの靴袴くつばかまが翻り、太腿が大胆に露わになる。碧月へきげつ胡服こふくすそが乱れ、幾何学模様が砂埃にまみれる。銅鈴と銀鈴がチリチリと鳴り合い、二人の金髪と黒髪が絡まった。


 エリナが「この西域の女、ぶっ飛ばすんだず!」と拳を振り上げ、碧月へきげつは「おいらだって負けねえっちゃ!」と抵抗する。平康坊へいこうぼうの夜に、馬の嘶きと群衆の野次が響き合った。


玉梅ぎょくばい


 街路の喧騒に気づいて、酒肆しゅしの大部屋から、玉梅ぎょくばいが酒器を手に路上へ飛び出した。「なんや、酒と喧嘩は長安の華やな! ええもん見せてもらうで~」と、京都弁風に笑いながら、エリナと碧月へきげつの喧嘩を見物し始めた。


 エリナの腕っぷしの強さが勝り、碧月へきげつに馬乗りになって拳を振り下ろしていた。「この野蛮女、叩きのめすんだず!」とエリナが叫ぶと、碧月へきげつは「こんちくしょう、負けるかっちゃ!」と髪を振り乱して抵抗している。


 あまりの激しさに、玉梅ぎょくばいは扇子を振って仲裁に入る。「ほな、二人とも落ち着きな! こんな夜、喧嘩なんてもったいないで~!」と、旗袍チーパオすそを翻して二人の間に割って入ったが、エリナが片手で玉梅ぎょくばいを軽く押し、「邪魔すんな、かんの女!」と一喝されて押しのけれらてしまった。


 玉梅ぎょくばいは路上にひっくり返り、旗袍チーパオのスリットが乱れて白い太腿が露わになった。「なんやて! めっちゃ失礼やん! うち、こんな目に遭うなんて!」と頬を膨らませるが、群衆の笑い声に顔を赤らめる。銀鈴がチリンと鳴り、玉梅ぎょくばいの若々しい姿が夜の平康坊へいこうぼうに映えた。



 そこへ、東市の市場から通りかかった漢族かんぞくの若者三人、盧文浩ろぶんこう(25歳)、王志遠おうしえん(23歳)、趙子龍ちょうしりゅう(27歳)が現れた。


 盧文浩ろぶんこうは落ち着いた物腰で絹のほうをまとい、教養ある笑顔が女たちの目を引く。王志遠おうしえんは詩を愛する風流人で、詩箋しせんを手に持つ。趙子龍ちょうしりゅうは剣術に優れた豪快な若者で、腰に短剣を差す。


 三人は玉梅ぎょくばいを介抱し、盧文浩ろぶんこうが「嬢よ、こんな夜に怪我は似合わん。立てるか?」と手を差し伸べる。玉梅ぎょくばいは「ほんま、優しいな~。助かるわ~」と、京都弁風にしなをつくって微笑んだ。


 三人たちはエリナと碧月へきげつの間に割って入り、王志遠おうしえんが「両嬢、喧嘩は長安の美を損なう。盃を交わして仲直りしてはどうだ?」と穏やかに言う。趙子龍ちょうしりゅうは豪快に笑い、「馬の杭ごときで争うなんて、酒肆で美女と酒を飲む方がよっぽど楽しいぜ!」と声を上げる。


 エリナは「んだず、こいつのせいで腹立っただけだ!」と舌打ちし、碧月へきげつは「おいらの馬も大事なんだっちゃ」と呟く。群衆の野次が収まり、二人は渋々手を離した。盧文浩ろぶんこうは「さあ、皆で酒肆しゅしに戻り、夜を楽しみましょう」と促し、五人は酒肆しゅしの大部屋へ向かった。



 酒肆しゅし「月下楼」の大部屋は、灯籠とうろうの光に照らされ、琵琶びわ箜篌くごの音が響き合っていた。卓には葡萄酒、米酒、胡椒こしょうを効かせた羊肉の串焼きが並び、ソグド商人の笑い声、漢族かんぞく官僚の詩の詠唱、突厥とっけつの男の豪快な掛け声が混ざり合う。エリナ、碧月へきげつ玉梅ぎょくばい盧文浩ろぶんこう王志遠おうしえん趙子龍ちょうしりゅうは一つの卓を囲み、盃を掲げ乾杯をした。


 玉梅ぎょくばいは扇子を振って、「ほな、みんなで楽しくやろ! こんな夜、盛り上がらな損やで~!」と京都弁風に叫ぶ。緑の旗袍チーパオのスリットから覗く太腿が、灯籠とうろうの光にきらめく。


 エリナは「酒だ! 突厥とっけつの血が騒ぐんだず!」と盃を一気に飲み干し、靴袴くつばかまの銅鈴がカランと鳴った。碧月へきげつは「おいらも負けねえ! 長安の夜は最高だっちゃ!」と、胡服こふくすそを翻して箜篌を奏でる。


 盧文浩ろぶんこうは「この賑わいは長安の華だま」と微笑み、王志遠おうしえんは「この夜、詩に詠まずば惜しい」と詩箋しせんに筆を走らせていた。趙子龍ちょうしりゅうは「美女と酒があれば、剣などいらん!」と豪快に笑う。


 ソグド商人が胡楽こがくを奏で、漢族かんぞくの客が白居易はくきょいの詩を口ずさむ。突厥とっけつの男が馬の鞭を振って踊り、酒肆しゅしはどんちゃん騒ぎに包まれていった。


 玉梅ぎょくばいは卓に立ち、旗袍チーパオを軽く翻して舞を披露した。「この舞、うちの故郷の梅の花みたいやろ? 見ててや~!」と歌い、銀鈴がチリンと響いた。エリナは胡旋舞こせんぶを踊り、「これが突厥とっけつの魂だず!」と叫ぶ。碧月へきげつはトハラの民謡を歌い、「西域の風、感じてくれっちゃ!」と客を煽る。三人のイケメンは盃を重ね、「平康坊へいこうぼうの美女たちは、天下無双だ!」と盧文浩ろぶんこうが感嘆する。酒肆しゅしの喧騒は、夜が更けるほどに熱を帯びていった。

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