夜は記憶の片隅で

Nova

プロローグ「記憶違いのモノローグ」

 穴だらけの手記がそこにある。失われた時間がそこにある。夜の街を歩いていると、時々誰かとすれ違う。終電過ぎた駅のホーム、静かに揺れる公園のブランコ、中身の枯れかけた植木鉢、かすかに聞こえるピアノの音色……。どこにでもある、あまりにもありふれた夜の景色。すれ違い、どこへ行くとも知らないまま、出会ってしまった夜だから。

「なんでもない話だけれど、少し話してもいいですか。」

「もちろんです。聞かせてください。」

そんなささやかなやり取りが、許されることもあるかもしれない。



『ありきたりな  』

生きていようが死んでいようが

声が届かないなら同じこと


ボクはそこら辺に咲く「」

ボクは「」に啄まれた「」

いやまだ「」ている

胸が上下する振動がある

草が揺れる

風も「」


行進する行列が通り過ぎるので

ボクは「」を感じる

「」が揺れる

それは眠りと覚醒の隙間

肩の横を通り過ぎる「」の影


ボクらは曖昧な時を生きている

「」と「」の間

触れられるけど

ありきたりな「」


その手が「」のは

ただの冷え性ですか?

キミの心が「」から?

その「」はきっと冷たい


ボクらはありきたりな「」

覚醒と眠りの隙間を漂うだけの「」

風が吹けば「」だけの

ただそこにある

ありきたりな「」

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