第16話 国立彼津野探索者養成高等学校

# 国立彼津野探索者養成高等学校


*国立彼津野かづの探索者養成高等学校* 【教育機関】


## 意味

1. 現代に迷宮ダンジョンが出現し、スキルや役職ロールが発現するようになった世界において、探索者を育成するために設立された教育機関だわん。正式名称は長いから、通称「彼津高かづこう」って呼ばれてるわん。

2. 探索者としての基礎知識や技術を習得できる唯一の場所で、覚醒者アウェイカーとしてスキルや役職ロールが発現した者は、迷宮探索許可証]の取得と併せて、この学校への入学が義務付けられているわん。


## 解説


彼津野かづの市にある学校で、探索者志望の学生も受け入れているわん。専門的な探索科や生産科だけでなく、一般教養を学ぶ普通科や、特殊なスキルを持つ者向けに芸能科なども存在するわん。義務教育ではないけれど、探索者として生きていくなら、ここを通らないとまともな探索者にはなれないと言われているわん。これは、無秩序な迷宮ダンジョンへの立ち入りを抑制し、安全な探索者活動を促すための国の施策の一つだわん。卒業生は探索者シーカーギルドに優先的に登録されることが多いわん。


## 類義語


- 彼津高かづこう


## 閲覧者コメント


* 正直、ダンジョン潜るより座学の方がつらいけど、ここで仲間もできたし、結構楽しいわん! 卒業したら、絶対Aランク探索者になるんだ! -- 陽気な現役生彼津高一年 ケンタ

* あそこは良い学校だよ。基礎がしっかりしてないと、ダンジョンじゃ命取りだからな。俺もここで鍛えられたおかげで、今があるってもんだ。 -- ベテラン探索者元彼津高生 匿名希望

* 彼津高の卒業生は、実戦的な知識と経験を兼ね備えていることが多いですね。採用の際には、特に重視しています。 -- 探索者ギルド職員採用担当 ミカ


## 追記メモ


- 迷宮ダンジョンが顕現する以前の「普通科」や「芸能科」は、どのように現在の形になったのか。カリキュラムの変遷も気になるところだわん。

- 「迷宮探索許可証」と「国立彼津野かづの探索者養成高等学校」の関係性がもう少し深く考察できるかもしれないわん。探索者シーカーギルドが関わる学校の設立の経緯や、卒業後の探索者ランクへの影響も調べてみる価値がありそうだわん。



 ◆ ◇ ◆



―― 国立彼津野かづの探索者養成高等学校


 俺の通っている学校でもある。

 

「にしても、微妙に古い情報が混じってないか?」


 探索者養成高等学校がここだけだったのはダンジョンが出来てすぐの時だけで今となってはダンジョンが多いところを中心に複数の学校がある。また、増える覚醒者アウェイカーに対応するべく制限が緩和され、今年からは私立の中高大一貫の学校も出来ている。


『うぐっ、そんな気がうすうすはしてたわん。けど、けど、マスターのスキルはダンジョン辞典わん。ダンジョンと関係なくはないけど、ダンジョン外の項目を登録しすぎだと思うわん。そんな事では立夏りっかに怒られておやつ抜きになるわん』


「おやつ抜きって……。あ、さてはお前、立夏さんにおやつで買収されたな」


『ぎくっ』


 時々『ダンジョン辞典』に知らない項目が増えていると思ったらそういう事だったか。お前、俺のスキルじゃないのかよ。

 目をそらすわんこをつついて転がす。このナビゲーターは普段はさわれないのだが、こうやって干渉しようと思うと触ることができる不思議な存在だ。



 そして、週明けの探高の話題は当然の事ながら彼津野第三迷宮だった。

 探索科の我がクラスでも既にダンジョンに潜っているクラスメイトも四分の一を超え、情報収集に余念がない。

 その結果、ゴシップ的な情報も多く耳に入るらしい。

 

「それで、被告人、深西ふかにし森羅しんら。君は先週の土曜日に彼津野第三迷宮に行ったことを認めますね」


 俺はお昼ご飯を食べようとしたところで悪友含むクラスメイト達に囲まれていた。


「お、おぅ、初ダンジョンだったからな」


「ふむ。被告人がダンジョン、および、ギルドで女子生徒と一緒だったと目撃情報が多数寄せられています」

 そうだ、そうだとばかりに周囲を囲む奴らも頷いている。


「し、か、も、その相手が、あ、の、生産科の立秋たちあき立夏りっかさん! 彼女は孤高の女侍、氷姫、姫騎士、王子様等とよばれる、クールビューティー、しかも、今まで何人ものパーティー申請を断ってきてた彼女ですよ!」

「裁判長! 被告はその前日にも立秋たちあきさんと会っていたとの情報もあります!」

「そういえば、この前の放課後に立秋たちあきさんが深西君に『付き合って』って言ってたわね」


「な、なんだと! シンラ! 有罪ギルティ有罪ギルティ!」


 周りを囲んでいたうちの誰かの一言で俺の有罪が決まったらしい。

 そんな、教室の喧騒が入口からかけられた声でビタリと収まった。


「あの、楽しそうなところを悪いのだけど、シンラ君を借りていいかな?」


 教室の入口から立夏さんがいくらか怪訝な目でこちらを見ていた。


「あ、立夏さん、悪いすぐ行くよ。彼津野第三迷宮の事で盛り上がってたんだ」

 これ幸いとクラスメイトの輪から抜け出す。


「そうなんですね、その第三迷宮ですが下層への階段の確認が取れたそうです。それで、今後の方針について打ち合わせを――」


「……氷姫が笑ってるだと……」

「尊い……」

「シンラ! くそ、有罪ギルティ有罪ギルティ!」


 なにやら再び騒ぎ出した教室を後にいつもの研究室へと向かった。

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