第10話 飽き性ギャルはドスケベに飽きるのか?
突然、吸血おぱ吸いの在庫が増えたことによって、金城の興味がまたそっちへ行ってしまうことに……。
「って、買うのかよ!!」
金城は平然と、タイトルにおっぱいと書かれたラノベを手に取る。
「お、お前っ! おっぱいだぞ? 正気か⁉︎」
「それさ、読んでた本人にだけは言われたくないんだけど」
「ぐっ……」
ギャルからここまでのど正論を言われるとは、思ってもみなかった。
「お、俺がこんな激ヤバタイトルを読んでるって知って、なんで普通に買う流れになるんだよ。失望するだろ、普通」
「西山に対するイメージがどうこうは今いいから。それより面白いんでしょ、これ?」
「それは……そうだが、きっと金城がイメージしてる面白いの方向性と違うかと」
金城が求める「面白い」とは違っているのは間違いない。
世の名作たちのようなシンプルに感動する作品ではなく、基本的に異世界ラノベは下剋上の快楽や背徳感で成り立っているのだ。
本当にこれを勧めても……いや……やっぱり。
「つーかさ。わたしがギャルだからって変なバイアス入って勧められる王道の作品より、西山がいつもニヤニヤして読んでるこの作品の方が、わたしは興味あんの」
「き、金城……」
俺……いつもニヤニヤしてたか⁉︎
自覚ないんだが!
てか、金城は俺がこんなキモい奴ってのを、知ってても、俺と同じものを……買いたかったのか。
「まあタイトルで偏見持つのは違うし、帰ったら読んでみるわ」
「お……おう、無理はするなよ」
「なんそれ。大丈夫だし」
そう言って金城は本を購入していた。
嫌な予感しかしない。
本人が興味を持ったという点ではサメサムと同じ匂いがするが、中身という点では前回とはワケが違う。
明日、声をかけてこなくなってもおかしくないよな。
☆☆
——翌日。
「うわぁ……もう朝かよ」
昨日の件もあってあまり登校したくない俺だったが、その重たい足をなんとか動かしてちゃんと登校した。
逃げちゃだめだ、(ドスケベから)逃げちゃだめだ。
そんな戯言を脳内でつぶやきながら、自分の席に座り、俺はラノベを開いた。
「こんなドスケベな本を、ギャルに勧めてしまったんだよな……俺は」
考えれば考えるほど、やっぱり金城はこれを機に俺から距離を置いた方がいいと思う。
あくまで映画の時に金城が飽きなかったのは、サメサムの映画が面白かったからであって、俺のチョイスが良かったわけではない。
このラノベでそれがハッキリするわけだし、俺に飽きればもうこれ以上、求めてくることはないはずだ。
「……おはよ、西山」
前の椅子が引かれ、金城が教室に入ってきた。
き、来たな……。
「あのラノベ、どうだったんだよ」
俺は素っ気ない態度で目も合わせずに聞いてみる。
「んと、さ……西山って……あんなエロいの、読んでたんだ。ちょっと意外」
そ、そりゃそんな感想にもなるだろうな!!
主人公がアレをアレしておっぱい吸いまくる作品だぞ!!!
「ま、なんていうか……」
「おう」
「…………えと…………」
言葉も出て来ないのか、金城はやけに赤い顔で視線をあっちこっちさせる。
昨日と違って、一転してやけに気まずい空気。
前後の席なのに、謎に距離を感じる。
これ……あれだ。
親にシ●ってるとこ見られた日の晩飯の距離感だ。
最低な例えが思い浮かんで、俺は辛くなりながらもため息をひとつ溢した。
「はぁ……ってことはやっぱり、飽きた、のか? あのラノベ」
「実は……」
「だよな。そりゃそうだ、飽きるよな。どう考えても金城がハマるような話じゃ」
「……まだ、最後まで読みきれてないから持って来ちゃった……吸血おぱ吸い」
「は?」
いや、なんでこれもハマってんだよ……!!!!
頼むから飽きろ!!!
【飽き性ギャル 前編 〜完〜】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます