第8話色や形がピッタリしてても、重さがちょっと足りないみたい
前回のあらすじ
俺が一目惚れしたレックスという好青年。だが家は橋の下、風呂はなく、川の水で体を洗う極貧生活。そして宿泊費はまさかの50,000テリー請求。
……俺の感想はただひとつ。この村、貧しい人への補助金ないの?
本文
俺は人生で初めて、橋の下で朝を迎えた。
隣ではハイドルが目をこすっている。魔族のくせに雑魚寝の経験はないらしく、ほとんど眠れなかったようだ。
「朝食は、まともなものを出すんだろうな?」
ハイドルがレックスに確認すると、返ってきたのは――川で釣った魚。それも火も通さず、生のまま皿に乗っていた。
案の定、ハイドルはブチ切れ。正直、俺も気持ちは同じだ。
だがレックスは、なぜか自信満々に笑う。
「安心しろって。これはただの魚じゃない。昨日もらった50,000テリーで“塩”を買ったんだ。これをまぶせば、めちゃくちゃ美味しいぞ」
……もしかして、この家では普段から塩すら出てこないのか?
⸻
俺たちは朝食を終えると、村の探索に出発した。
幸いレックスは村に詳しいらしく、案内を買って出てくれる。
「まずここが封印の祠。年に一度祭りを開いて、封印されている邪神を鎮めるんだ」
なるほど、この祠が行方不明事件の原因かもしれない。もう少し調べる必要がありそうだ。
「他に怪しい場所はあるか?」と聞くと、レックスは指を折りながら答えた。
「呪われし祠、夢を見せる祠、奇跡の祠、失敗の祠……あとは――」
「祠多すぎだろ!!」
ハイドルが耐えきれずに突っ込む。「そんなにバラバラ作る意味あるか?1カ所にまとめろよ!」
レックスは苦笑しながら事情を話す。
「村長がな、“祠をいっぱい作れば観光客が増える”って言って、どんどん増やしちゃったんだ」
……何が“呪われし”だ、“封印されし”だ。ほとんど観光地じゃないか。
⸻
ハイドル(そういえば、さっきから誠が妙に大人しいな。普段なら「レックスのパンツをどうやったら見られるか」とか、「好感度を上げるにはピンチを作って、それを俺が解決するのが一番」みたいな話を勝手に始めるのに……。今日はやけに静かだ。ちょっと軽く質問してみるか)
「お前ってさ、女装させるならどんな格好が好みなんだ?」
誠は即ブチ切れた。
「これだから初心者は困る。男の娘とゲイを同じカテゴリに入れるなっての!いいか、このバカ。俺は“男が男のままで愛され続ける”シチュエーションが好きなんだよ。少し勉強してから俺に質問しろ!」
「悪かったって。お前が大人しいから、ちょっと話しかけただけだ」
すると誠は、嬉しそうに顔を手で覆いながら聞き返す。
「それって……俺のこと、心配してくれてたってこと? 好感度上がったよね?今絶対!!」
ハイドル(……こいつは、大人しくても大人しくなくても、めんどくさい)
⸻
そして俺たちは村長の家の前に到着した。
ハイドルが小声で言う。
「どうせヨボヨボのじいさんが出てきて、この村の風習や呪いについて延々語ってくるだけだろ」
論点がズレていたので、俺は訂正してやる。
「違うだろ。問題は“村長が男の精力を奪う儀式を主導しているかどうか”だ。そこ重要だからな?」
なぜかハイドルがイラついた顔をしたが、無視して扉を開けると――
そこにいたのは、まさかの7歳の少年だった。
村長「この村に来たからには、もう二度と返すことはできません」
……いや、さすがにこれは興奮しない。
10歳ぐらいのハイドルでさえ、興奮するかどうかギリギリのラインだろう。
そういえばさっきを村長が「お兄ちゃんは二度と返さないから」と言った気がするが
この村から出たいとは思わないので、多分セーフだ
⸻
ハイドルが村長に向かって文句を言った。
「ずいぶんとふざけたことを言うな、この人間。そもそもお前みたいなガキに何ができる」
さっきから村長の顔をじっと見て黙っていたレックスが、ようやく口を開く。
「すみません、村長。ハイドルはこの村に来たばかりなので、敬意がないのです。どうかお許しください」
……どうやら、この村長はただのショタではないようだ。
一体何者か、とりあえず鑑定してみる。
――【年齢257歳/体重100キロ/肌年齢7歳/フェチ:念仏ダンス】。
ハイドルが声を震わせながら聞いた。
「どういうことだ……? なんでお前は200歳も――」
俺も同時に質問する。
「で、その念仏ダンスの衣装は何なんだ!? 一体この村は、どんな人のダンスを採用してくるんだ! 俺でも踊れるやつか!?」
⸻
村長の見た目がじわじわと変わっていく。
気づけば、下半身が蛇、上半身は普通の女性――まるでラミアのような姿になっていた。
……いや、女性になるなら最初からショタ姿にするなよ。これだから最近の異世界は困る。
元村長はハイドルとレックスに視線を向ける。
「久しいわね、ハイドル。まさかあなたがこんなふざけた――」
「おいお前、まさかおねショタする気だな!? ふざけんなよ、俺そういうの許さないんだから!」
女の化け物は眉間に皺を寄せ、話を続けた。
「……まあいいわ。これがあなたのご主人様? ずいぶんとレベルが低く――」
「お前、俺のレベルの何を知ってんだよ!? あれか、経験人数ゼロなのが何となくわかるのか!?」
「いい加減に黙れよ!! 今私は、初恋の魔族に素直になれない女になってるんだから、お前はとりあえず黙れ!」
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