第6話なんか、きつくね
前回のあらすじ
俺はついに——男しか入れない村を発見した。
普段の平熱みたいな日々に嫌気が差していた俺だが、これでようやく高熱の日々が始まる。
……ついでに、ショタ化したハイドルに“どこまでしていいか”の答えも出した。
俺が襲うのはダメ。
でも、モンスターが襲うのは……まぁ、いいんじゃないか
本文
馬車のおじちゃんが「村に着いたぞ」と教えてくれた。
なかなか筋肉質でいい体をしているが……顔がちょっと好みじゃない。惜しい。見送り確定だ。
それに話を聞く限り、娘が一人いるらしい。
さすがの俺も、そこまで倫理観を捨てるほどじゃない——いや、たぶん。
おじちゃんは、昔は観光客をよく案内していたらしい。
「でもな……いつからか、この村で行方不明者が出るようになって、観光客はほとんど来なくなった。今じゃ来るのは、お前みたいな冒険者か、命知らずのバカくらいだ」
昔は娘も一緒にこの村に来ていたらしい。
俺は不思議に思い、聞いてみた。
「男しか入れないんじゃないのか?」
「昔はな、一日だけなら女も入れたんだ」
俺はいくつか疑問に思う点があったが、このまま話していたら……股間が暴発しかねない。
なので、さっさと村の中へ入ることにした。
ハイドルは嫌そうな顔で俺の後ろについてくる。
「気づいたか? この村、明らかに——」
おそらく俺と同じことを考えているのだろう。俺は答えを出した。
「ガチムチ系の男はいても、細マッチョのイケメンがいない」
「……は?」
「しかもだ、金髪で短髪、世間知らずの純白系、田舎なまりを使う健気男村人——一人もいない。おかしいだろ」
ハイドルは深くため息をつき、怒りを抑えながら言った。
「違うだろ! この村の住民、全員筋肉があって強そうなのに……目に光がない。そこを不審がれ!」
……正直、何を言ってるのか全くわからない。
ハイドルはめんどくさそうに指をさす。
「だったら……ああいう男でいいんじゃないか?」
まったく……これだから初心者は困る。
そんな都合のいい、俺好みの男が——
……いるわけが——
……ないだろう?
条件を言えば、金髪・短髪、純粋で純朴そうな青年。
異世界のくせに金髪キャラは少ないし、田舎なまりを使う健気系なんて絶滅危惧種だ。
できれば俺と同い年ならなお嬉しい。
——仕方なく、ハイドルが指した方を見た。
……そこにいた。
この村の郷土衣装らしき服は、何度も縫い直されている。
一目で家計が厳しいとわかるが、顔つきからは優しさが溢れている。
しかも金髪短髪系のイケメンで、この村の陰鬱な空気にまだ馴染めていない。
……夢か?
俺は即座にスキルを発動した。
「——鑑定」
簡単に言えば、このスキルにポイントを振れば振るほど、相手の情報がわかる。
俺は性別、年齢、肌年齢、股間サイズ、俺への好感度、そいつのフェチ——
これら全部がわかるレベルまで、140,000ポイントをつぎ込んだ。
ハイドル(いや、もっと重要な情報あるだろ……! しかもそのくだらない情報のためだけに、14万ポイント!? 普通10,000稼ぐのに10年かかる人間がいるんだぞ!?)
情報が明らかになった。
相手の名前はレックス=ヴォート、年齢は17歳。俺への好感度は、部外者である俺だからこそ低めの100分の10……だが、いいじゃないか。いいじゃないか。この数字は、伸びしろというやつだ。いずれ信頼してくれるように持っていく――それが俺の新たな目標のひとつだ。
さらに鑑定結果から、あいつが人を見るときに重視するポイントが判明した。それは「指」だ。
残り1000ポイントを使って、俺の指を芸術品のように美しくするスキルでも取っておくか。
早速声をかけようとした俺を、ハイドルが全力で止めにかかる。
「だめだって。お前みたいに怪しい奴が急に話しかけても、好感度が爆上がりするわけないだろ」
「全く、俺の前世を知らないのか? これは自慢になるが、女子生徒からは20回告白された俺だぞ」
「でもお前、男から1回も告白されてないじゃん」
俺はハイドルを無視して歩み寄る。
「やあ、君」
警戒心を滲ませながらも、レックスは返事をする。
「……何のようですか?」
「君の名前はレックス=ヴォート。17歳で、俺を部外者だから怪しんでいて――そして、人を見るときにまず指を見るレックス=ヴォートだよね。
あと、好きな本は? 好きな食べ物は? この村から出たことある? トランプは好き? 好きなら何のマークが好き?
(いいぞ……もっと知りたい……全部知って、全部揃えてやる……)
そういえば、俺のことは好きかな? 君のお父さんは何をしてる? 入っている宗教は?
安心しろ。俺だったら全部揃える。
君が咀嚼する回数だって揃えるし、瞬きの回数だって揃えてみせる
ハイドル「話しかけ方きっっっっっっっっっっっ」
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