第3話 俺のご褒美タイムどこ?
前回までのあらすじ
ついに——ご褒美タイム到来かと思った俺。
だが、待ち受けていたのは、しょぼい拷問と、案外ひ弱な上位悪魔だった。
そのせいで、せっかく高まっていたムラムラが一気に縮小。
……そんなタイミングで、俺の優秀な仲間たちが救出にやってきた。
うれしいなぁ。
——でも今じゃないんだよなぁ
俺は焦っていた。
どうすれば——
このご褒美タイムを長引かせられて、仲間たちを無傷で城から追い出せるか。
頭をフル回転させる。
隣のハイドルは、あわあわしながら女悪魔秘書の言葉を丸暗記で復唱し、部下に命令を出していた。
おい。
もうちょっと自分で考えろよ。
お前、俺を連れ去った時のあのオラオラ感はどこに置いてきた?
魔王軍は見た限り完全な実力主義。
敵が攻めてきたら休憩も有給も関係なく全員が戦場に出る。
つまり——アクシデントに強くなきゃ生き残れない。
(だめだ……このままだとコイツ、出世どころか生き残れない)
俺は何とかしてこの場を乗り切る方法を考えていた、その時——
ガンガンガンガンッ!!
重い扉を叩き破るような轟音が響く。
向こう側から、プリーストのチルラーの怒声が飛び込んできた。
「さっさと開けなさい!!
汚れた赤髪の魔族風情が、まだ気づかねえのか!?
てめえはもう人生詰んでんだよ、この——サノバッッッビッ血!!!
マザーーーーーーーファ火ーーーーーー!!!
勇者様の仇ぃぃぃぃぃ!!!
お前の生首に花を生けて、芸術作品にしてやるわあああああ!!!」
やばい。
ヒステリックモードに入った。
チルラーは信仰心が強すぎるプリースト。
悪魔は全力で駆除するタイプで、正直、悪魔より悪魔してる。
今のこいつは止められない。
横を見ると、ハイドルは泣き崩れていた。
「……俺だって……兄ちゃんに……認められたかっただけなのに……」
その姿を見て、俺は——幼少期の記憶を思い出していた。
「匠ってさ、なんかおもんないよな」
「女子といるとハキハキ話すのに、俺らといるとボソボソして気持ち悪い」
「違う……僕は、ただ……みんなと仲良——」
「こいつ無視して、俺らだけで遊ぼうぜ」
あの時と同じだ。
立場も理由も違うけど、同じ報われない何かを感じる。
……正直、やりたくない作戦だ。
できれば一生やりたくなかった。
だが——やるしかない。
俺はハイドルに向かって、ある提案をした。
「お前、このままだと——
悪魔嫌いのあの優秀なプリーストに浄化されて、魂ごと滅ぼされるぞ。
そうなる前に……俺と契約しろ。いわゆる使い魔契約だ」
ハイドルは、背後に膨大な数の魔法陣を展開し、俺を威嚇する。
「ふざけるな! 人質がいる以上、交渉で優位に立てるのはこちらだ!
それに俺がお前の使い魔になったところで……どうあいつらを納得させると言うんだ?」
……その耳元で、後ろの女秘書がこそこそと指示を出している。
お前……さては、宿屋で俺を襲撃した時も、この秘書の命令だったな?
俺は、ハイドルにプリースト・チルラーの恐ろしさを説明しようと口を開きかけた——その瞬間。
ズガァァァァンッ!!!
扉を貫通して、光り輝く魔法陣が室内に展開された。
「——《インフィニティ・スクラップ・ブレーク》ッ!!」
チルラーの大声詠唱と同時に、後ろの女秘書は即逃走。
ハイドルは直撃を受け、瀕死状態に。
俺はすぐさま駆け寄り、短く告げる。
「……契約しろ。今だ」
ハイドルは、観念したように俺の指示に従い、使い魔契約の印を結んだ。
契約魔法の光が収まる頃——
バァァン!!
チルラーが扉を蹴り飛ばして突入してきた。
そして、目にしたのは——
匠誠とハイドルが10歳の見た目になっている光景だった。
……俺は、本当はこの契約を使いたくなかった。
理由は三つある。
一つ目、仲間への説明がクソめんどくさい。
二つ目、特にチルラーが納得する未来が全く見えない。
そして——
三つ目。これが一番大きい理由だ。
この契約で“使い魔”になった悪魔は——
弱体化と同時に、一気に若返る。
そう。ハイドルは今、
小学校4年生くらいの見た目になっていた。
ショタは……オニショタが一番しっくりくるんだけど、
俺の守備範囲じゃないんだよなぁ……。
ハイドル&チルラー「なんじゃこりゃああああああああ!!」
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