第41話

「それで?その話、ご両親は納得されたの?」

ミネルヴァが心配そうな顔で聞いている。


誰にも聞かれたくなかったので、結局、以前話をした喫茶店の二階で話をしているのだ。


「お父様がちょっと…

何かしたわけじゃないんだけど、あんなに怒ってるのを初めて見たわ…」


リデルの父はジェイド様が彼女がいたことを認め、さらに関係を精算していないのにリデルに求婚したことを聞き、

「同時進行か…若造め、馬鹿にしよって!そしてさらにやっぱり向こうが良かったとよりを戻すつもりだとお?目にもの見せてくれるわ!」と激昂したのだった。


お母様はその間オロオロしていた。


リデルは母に、精神支配への防御力の魔力を持っているか聞いたところ、なぜわかったの?そこまで話していないのに、と尋ねてきた。


リデルはミネルヴァとの会話の内容、特に復活した王国や王様についてはまだ口にするつもりが無かったので、このように説明した。


…ジェイド様の家系には、大貴族で魅了の力を持つ人物がいました。


魅了の力は、魅了にかかっていると話をするとかけられていた者は術がとけます。


ジェイド様周囲の人物に試してみたら、何人か術が解けたので彼は魅了の力の持ち主だと確信しました。


でも私自身に試しても気持ちは変わらず、魅了にかかっていたわけではなかっため、お母様の言うように私には魔力があるかも、と思いました。


そして、ジェイド様に魅了の力の解除を試すと、私への気持ちが無くなりました。


私は、防御の力で彼の魅了をはねかえしたらしく、彼は自身の魅了にかかっていたことがわかりました…


リデルはそう話し、両親はその説明に納得した。


「まあ!私の魔力は、確かに精神支配への防御の力ではあるんだけども、それらが効かないというだけで、はねかえしたりはしないのよ…


親子でも全く同じ力というわけではないのねえ、それぞれ個性が出るのかしらねえ。」お母様はつぶやいている。


だが、リデルが、自分に魔力があるとジェイド様に話してしまうと、愛情もないのに婚約継続しなければいけないかもしれなかったと言うと、それはなぜかと両親は口々に問うてきた。


リデルは、現在、魔法が使えなくなったり魔力が失われてきている状況があり、それらのことは秘密にされていることや、


魔力を持つ者がいるとわかれば、囲い込みのため無理にでも結婚させられる可能性があることを伝えた。


さらに、下手するとヴァンダル伯爵家以外からも、私やお母様が拉致されるかもしれないから、自分が魔力があるとは言わず、全てお守りの力のせいということにしたんですと話した。


「お母様、御自分に魔力があるって、これまで、外で話してこられましたか?」


「いいえ、家族だけよ。

私の故郷の王国では、個人の魔力の内容は、家族以外には秘すものとされているのよ。」


リデルと父親とは、そう聞いてひとまず胸を撫で下ろした。

そして家族以外にはこの件は内密にしておこうと取り決めた。


父はヴァンダル伯爵家とは円満に婚約解消したほうがいいと考えをあらためた。


なぜなら、あまり文句を言いかき回してリデルの魔力の件が表にでてしまうと、リデルと母親が危険な目にあってしまうことに気づいたからであった。


リデルがここまで話したところ、


「あーそれでなのね!いやあ、私、あなたにいつそんなお守り渡したんだっけとか考えちゃってたわ!」そうミネルヴァが口を挟んだ。


「お守りってアイデアはミネルヴァの発言から思いついたんだけどね。

片方しかないイヤリングがあったので、その金具をとって鎖をつけて、最初からお守りのように見せたのよ。元々は普通のイヤリングなのよ。」


「はねかえす類のお守りなんて知らないからさあ、もしかして私の知らない強力なお守りを流通させている商会があるんかなあと、すんごいライバルになりそうかなあと、ヒヤヒヤしながら聞いてたんだけど。」ミネルヴァはほっと息をついた。


「でも、じゃあそのすごいお守りを貸してくださいとか言われたらどうするの?」


「そのときはね、このお守りの効果を口に出したときには、その力は失せるんです、だからこれはもう使えないんですっていうことにしてるの」


「なるほどね。」

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