第33話

「ええっ?…ミネルヴァ、話がまだよくみえないわ。

魔道具の話は、今、はじめてあなたから聞いたんだけども…


うちでは、家族皆、ステータスボードとかなんとかは、見たことも触ったこともないと思うわ。


それなのに、なぜお母様の持っているかもしれない魔力だとか、見当つけてるの?

普通、他の原因を考えたりしないかしら。


何かそう考えさせる原因となる情報を、手に入れたんじゃないの?」


「うーん…やっぱりもっと詳しく話さないとダメか…


でも話の前に、たまたまステータスボードがここにあるのよ。


ここの荷物、よその店舗に運ぶ途中で積み荷がいっぱいで運べなくて、次の便で運ぶために仮で置いてあるものだらけなんだけどね。

その中に今たまたまあるのよ。


あ、きちんと動作するステータスボードがここにあることは内緒ね。」


ミネルヴァはこれがここにあるのは偶然じゃなくて必然かしらんとか何とかいいながら、部屋の奥から黒っぽい板をガタガタ引きずり出してきた。

女性一人でもなんとか運べそうな大きさだった。


ミネルヴァが何やら石のようなものをその板にかざすと、板はぼんやり光りはじめた。


「これでしばらくは誤作動せずに使えるようになったはず。

…リデル、話は後だわ。


まずは、このステータスボードであなたの魔力を鑑定してみたらどうかしら。先ほどの推測があってるか、はっきりするわ。使う方法は、鑑定する人物の手を板にかざしてみればいいの。


個人情報だから、私は見ないように、後ろ向いてるわ。」


ミネルヴァは少し離れたところに行き、こちらに背を向けた。


リデルは先に説明を求めたいところだったが、興味が先走ってステータスボードに手をかざした。


板には、まずはぼんやりと、そのうちはっきりと文字が浮かび上がってきた。


知力だの体力だの魔力だの数値が出てきたが、それらの数値を他の人と比べたこともないので意味もわからず、そこには大して注意を払わなかった。


リデルが注意をひかれたのは以下の文言だった。


●精神支配系魔法への抵抗力


…この者、精神支配系の魔法に打ち克つ。


その抗う様は耐えるでもなく、


魔法をうちはらい無力化するでもなく、


良く磨かれた鏡のごとく、魔法をかけた主にその魔法を返す…


それは相手と目と目を合わせることにより作動する。


文言はそう書かれてあった。


精神支配系の魔法に強い、そう書かれているように思える。


ミネルヴァの予想が当たっていた。なぜこんなことが予想可能なのかしら?やはり彼女に聞いてみないと…。


ただそれを聞く前に、ふと別の文言が目に入った。


●スキル「説得」


…この者、熱心に話をするとき、対話の相手を自らの意に添う方向へ導くことができる。


その発動が可能となる条件は、本人が自分にその力が備わっていることを知ることである。


またこの力は、相手の意に反し強制できるわけではないが、

そうあれと強く促すこととなる…


…?これ、なんだろう?


でも、今回の件には関係なさそう。

考慮に入れなくてもいい感じだわ。


「もういいかしら?」ミネルヴァが後ろを向いたまま口を開いた。

「手をかざすのをやめたら、それらの字は消えるから。そちらを向いていいタイミングを教えて。」


リデルが手をおろし字が消えたと言うと、ミネルヴァはこちらへ向き直った。「で、どうだった?」

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