二頁「こは、導星あらんや?」
廃ビルの影に潜む冷たい気配。
その場に降り立った
――傷だらけでぼろぼろな少女が無数の黒服たちに囲まれ、銃口を向けられている。
その光景に目が釘付けになる。
背後に潜む
(……はあ!?)
ひびが入り、くすんだコンクリートの床に手をついた
「
少女が
その時、
目の前に迫る敵の刃が月光を受けて
とっさに地面を蹴り、敵から距離を取るため後ろへ飛んだ。
「逃げるな、力を使え!」
だがそれでも腕を伸ばし、念力で
(……でも、
遠くにあった鉄柱が爆音と共に引き寄せられ、荒れた地面を
その
『
恐怖と使命感が交錯する。
(これで、終わらせる!)
「
荒れた両手を広げた
凄まじい力は敵を次々と打ち倒し、
荒ぶる息遣いの中で静かに立ち尽くす
その足元には倒れた敵の群れ。
そして
(……やっぱりまた、離れてっちゃうのかな)
気を失った
「やればできるじゃねぇか」と冷ややかな声で囁く
「
ボロボロの少女の問いかけに、
「敵の想定戦力に比べて、部隊構成がお前一人。あまりに無茶だと思ってな。王がお前を危険分子と判断して、消そうとしての行動だろーよ」
少女はその言葉に
「だから、念のため近くの喫茶店で待機してたんだよ。良い拾い物もしたし、丁度良いかと思ってな」
拾い物――その言葉にすぐに顔色を変えて、少女は
「せや!……あんな普通の子を突き飛ばすなんて何しとるんですか!」
その言葉に
その笑みには、
しかし、気絶した
突き飛ばしはしたものの、
「全く、素直やないなあ」
「ほんま『ツンデレ合理屋』やよ。ま、
████年四月二日。
薄紅の花びらが風にそよぎ、窓からふわっと舞い落ち、
(……童顔だとは思っていたが、意外と整った顔立ちをしてるなぁ)
そこまで考えたところで
現状を理解した
「な、な、な……!?」
その声で目覚めた
「……おいおい、もう少し静かに起きられねーのか? 騒々しい奴だな」
そう呟く
「……
「いやな、昨日お前が気絶して、
「で、自分の体力と葛藤しつつ、最善の選択をした結果がこれだ」
既に、
「……まあ、助けてくれたことには感謝しますよ」
布団から這い出した
「ところで、昨日のあの方はどうなったんですか? 同じ王国軍の方だったようですが」
「あいつは無事だ。ちーっと怪我が酷かったから、医務室にぶち込んどいたくらいだ。命に別状はない。……それにあいつもいるしな」
「……? それなら良かったです」
「さて、そろそろ行くか」
「……
「決まってるだろ。我らが王・ミルドの元へ、な」
***
長い廊下を、
廊下の先、冷たく威圧感を放つ重厚な扉の前で、
「痛っ……もう、急に止まらないでくださいよ」
文句を言った
その様子を見て、冷たい汗が
鼓動がやけに大きく響く。
足元の床板が、ぎしりと
「ん゛~まあ大丈夫だろ、怖い顔はしてっけどな」
その場の空気を軽くしようとしているのか、
緊張の原因を作ったのは
その言葉は、
冷たい空気を切り裂くように、
その直後、「入れ」と威厳のある声が中から返された。
***
部屋の中は静寂が支配し、まるで時間が止まっているかのようだった。
扉の閉じる音が響くと、
その二人を対面するのは、この王国の頂点に君臨する王。
青のアクセントが入った軍服を着た王の――その冷ややかな視線が二人をじろりと射抜いた。
「王、反乱軍傘下の組織襲撃の件で報告に上がりました」
王は眉をひそめ、「その件はお前ではなく、
その鋭い目はまるで全てを見透かすようだ。
だが、
「私が昨夜現場の近くにいまして、偶然
どうやら、廃ビルで助けたあの少女の名は
「……偶然、か」
王の視線がさらに鋭くなる。
しかし、
「こちら側の被害は
「ほお? して、貴様の横にいる者は?」
そして、王の鋭い視線が
「先ほどの件で、私が現場へ到着する前に
事実と嘘を器用に織り交ぜる
(……この人、さては随分と嘘に慣れているな)
王がじろりと
それを見て取った
王は短い沈黙を挟み、二人の様子を観察していた。
その空気は濃密で重く、まるで圧力そのものだった。
しかし遂に、王は重い口を開いた。
「
その瞬間、
冷たい廊下の空気が二人を包み込む中、
「別に構いやしねー。ただ、こっからが本番だぞ」
「『青き星を覆ひし二度目の厄災に備えて』ってな」
その言葉は
***
二人が部屋を出た後、王は冷え切った王座に腰掛けながら静かに笑みを浮かべる。
盤上に並ぶ二本のルーク――そのうちの一本はすでに倒れ、無言のまま転がっていた。
残されたもう一本は、静かに立っている。
孤独に、しかし揺るぎなく。
王の指先がそっと触れる。
軽く弾かれたルークは揺れ、音を立てて倒れた。
倒れたルークの影がまだ残るその場所に、新たな駒が置かれた。
ポーン――戦場の最前線を行く者。
「せいぜい捨て駒として、役割を果たしてもらうとしよう」
その言葉には冷たさが滲んでいた。
***
「さーてと、これでお前は名実ともに王国軍の一員だなぁ」
「ところで、私の所属は
「確か、
「あー、それのことだがな」
深刻そうな声色だった。
「……まぁ、それより大事なことがあんだよなぁ~?」
急に意味深な表情を作る
(……私は何か
内心焦りながらも、なんとか冷静を装う
すると
「宴会だ! そーれ行くぞっ!」と叫びながら、意味もなく廊下をスキップする
「え、宴会!?」
唐突な宴会宣言に
目を輝かせ、
「新入りは歓迎されるべきだし、酒は百薬の長だって言うだろ?」
「私未成年ですけど!?しかも歓迎されるっていうか、それ絶対
そんな
腕を振り回しながら「宴会!」と叫び続ける
こうして
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