第20話 お転婆姫と王国防衛戦

賢者ディアが仲間に加わり、アルゴノーツはついに文武両道の国となった。

ディアの未来視によれば、帝国はアルゴノーツに攻め込む前に王国を滅ぼすと見えているという。

「なら、王国を守りに行こう。」

俺と兄は即座に決断し、王都前で待機することにした。

砦を後にして数日後、王都の高い城壁が見えたとき、あの強そうな騎士がすでに備えを整えていた。

彼は俺たちを見て目を見開き、黙って頷くと剣を抜いて前線へと向かった。


すると、城門から華やかなドレスの少女が飛び出してきた。

噂に聞くお転婆姫だ。

俺はその姿を見て、ゲームでの記憶を呼び覚ます。

(この子は……滅ぼされた王国の復興を願うヒロイン、セレネ!)

凛とした目をしているが、足元の泥を気にもせず駆け出すその姿に、胸が高鳴った。


「私も戦うわ!」

セレネがそう宣言したとき、国王の近くでざわめきが起きた。

だが俺は彼女を見て頷く。

「セレネ……君なら、きっとやれる。」

「任せて!」

こうして彼女は俺たちのパーティに加わり、帝国との戦いが始まった。


王都には既に多くの帝国兵が潜り込んでいた。

恐怖におののく国王をよそに、街中では火の手が上がり、叫び声が響く。

俺は剣を抜き、魔法を紡ぎながら次々と帝国兵を打ち倒していった。

「この先は通さない!」

背後ではノーツが城門を守り、何十もの帝国兵を相手に奮戦している。

砦で鍛えた腕前は本物で、敵を寄せ付けなかった。


戦いの最中、セレネは恐れることなく前へ出ていった。

剣を握る手が初めてとは思えないほどしっかりしていて、敵の一撃を受けては返す。

そのたびに光が舞い、彼女の経験値がどんどんと蓄積されていくのがわかる。

「すごい……もう、数人相手でも倒せる!」

俺はそうつぶやきながら魔法を放つ。

兄と俺が一個師団を相手に蹴散らしていると、セレネは驚きに目を見張っていた。

「これが……あなたたちの力……!」

だが感心している暇はない。

俺たちは帝国兵を次々に制圧し、城門から侵入する敵を片端から殲滅した。


やがて戦いは終息し、王都には静寂が戻った。

俺と兄は剣を納め、互いに視線を交わした。

倒れた帝国兵の残骸を越え、俺たちは王の前に進み出る。

「ありがとう……ありがとう……!」

国王は感謝を口にしたが、広場から聞こえてくる民衆の声は冷ややかだった。

「あんな王がいても……」

「役立たずだ……!」

国王の顔が青ざめていく。だがその時、セレネが前に進み出た。

「私がこの国を守ります! 私と共に新しい国を作りましょう!」

その声は凛としていて、疲れた兵士や市民たちの心に響いた。

最前線で戦っていた彼女の支持率は急上昇し、もともと人々に愛されていた彼女が、新たな国王として人々に受け入れられていく。


戦のあと、セレネは俺の方を向いて微笑んだ。

「ありがとう、アルゴ。あなたがいなければ、私はここに立てなかったわ。」

俺は照れくさく笑いながらも、その手を取って頷いた。

「これからも、よろしくね。」

こうして、アルゴノーツと王国は強固な同盟を結び、帝国との戦いに備えることとなった。夕焼けの王都を背に、俺たちは新たな決意を胸に歩き出した。

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