異世界で死ぬほど努力して最強になった俺、現実世界で無双する ~異世界で鍛えた魔法で敵をワンパンしたら、なぜか異能力持ちの美少女たちに迫られて困ってます~
茨木野
第1話 勇者、魔王を倒して帰還する
『よくぞ我を倒したな、勇者ユージよ』
目の前に、一匹の黒龍が倒れている。そいつは、この異世界を滅ぼすために存在する魔王――アンラ・マンユ。
魔王を討つために現実世界から呼び出された存在。それが俺、
五年前、俺が十五歳のときに、この世界に召喚された。
国王から魔王討伐の使命を与えられ……そして今、その使命を果たそうとしている。
『ふむ……我を倒したというのに、喜びの色が見えぬな』
「……まあな」
この五年、苦しく、つらい道のりだった。
それを思えば、歓喜よりも――安堵が勝る。
ようやく、異世界から帰れるのだ。
「悪いな、魔王。俺はお前を殺さないと現実に帰れない。……国王直々に、そんな呪いをかけられてるんだ」
召喚された際、クソジジイ――もとい、国王から聞かされた。
この世界には魔王がいて、人々はその脅威におびえている。
民を救えるのは勇者だけ。そして、魔王を倒さない限り、勇者は元の世界に帰還できない。
……ずっと不思議だった。なぜ魔王を倒さないと帰れないのか。
“帰還方法は魔王しか知らない”という話を聞いたこともある。だが、それもおかしい。なぜ魔王だけが知っている?
――答えは簡単だった。そもそも召喚主である国王が、勇者である俺に、家に帰れない呪いをかけていたのだ。
『そうか……つらいな、それは』
「……お前に共感されるとは思わなかったが」
『すべてに合点がいったぞ、勇者ユージ。なぜ仲間を連れていないのか。なぜ、勇者の証たる聖武具を持たぬのか。――この世界の人間に、虐げられていたのだな』
……思い出す。五年前の召喚の日。
国王は、俺にこの世界に呼び出した理由を説明し、その後、聖武具召喚の儀式を行った。
聖武具。それは異世界勇者に与えられる、唯一無二の武器。
だが――。
【聖武具がないだと!? この欠陥品め……!】
なぜか聖武具を持たなかった俺は、「欠陥品」と罵られ、王城から追放された。
魔王を倒せないと判断されたのだろう。まったく、ひどい話だ。
帰還不能の呪いをかけられ、聖武具がないだけで見限られ、あげく追放されるなんてな。
『よくぞ、ここまで辿り着いた。よくぞ……この我を倒したものだ』
魔王は、どこか俺に同情しているように見えた。
『我を倒した褒美を、二つ授けよう』
魔王の胴体が光を帯びると――。
ジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラ……!
目の前に、目もくらむほどの大量の金貨が出現した。
『これは我がため込んだ財宝。すべて、おぬしにくれてやろう』
「…………そうか」
だが、こんなものを持っていても意味はない。
なぜなら――俺は、現実に帰る方法を、ずっと見つけられなかったのだから。
『もう一つの褒美だ』
黄金の山から、一枚の大きな鏡がふわりと宙に浮かび、俺の前へと現れた。
「……なんだ、これ」
『それは――
「ワールド・ドア……?」
『異世界と現実をつなぐ、超レアな
「なに!? 異世界と現実を……つなげる……だと?」
『ああ。ただし、使えるのは一度きりだ。なにせ骨董品でな』
なるほど、鏡面には無数のひび割れが走っていた。
指で軽く触れただけで壊れてしまいそうだ。
「鑑定」
~~~~~~
→異世界と現実をつなぐ魔道具。魔道具師・
~~~~~~
――本物だ。
「…………」
世界をつなぐ、超レアな魔道具。それを……。
「なんで俺にくれるんだよ」
『言っただろう、褒美だとな。……よく頑張ったな、勇者ユージ。現実に戻り、幸せに暮らせ。こんな、ゴミみたいな世界のことなど忘れて』
さらさら……と、魔王が
それでも、俺は。
「
瞬間、魔王の消えかけた肉体が、完全に蘇った。
『ま、魔素化しかけていた我が肉体を……治しただと!? なんじゃこの力は!?』
「俺の魔法だよ」
『ば、馬鹿な……。こんな回復魔法、聞いたこともないぞ!』
「だろうな。でも俺にはできる。……聖武具がなかったおかげでな」
勇者の力は、本来“聖武具ありき”で設計されている。
だが、俺はその武具を持たなかった。
ゆえに――自らを鍛えた。
『そ、そうか……聖武具がなかったからこそ、おぬしは……自身の力を極限まで高めたのだな』
「ああ、そういうことだ」
結果、魔王すらも殺し、癒やすほどの力を得た。
……まあ、“異世界帰還”の魔法だけは、呪いのせいで習得できなかったが。
「
壊れかけの
『はは……すさまじい。世界最高の魔道具師にしか直せぬ品を、修復してしまうとは』
「さて……アイテムボックス」
空中に、透明な箱が出現する。魔王がくれた財宝やらなんやらを、ボックスのなかにしまい込んだ。
「さて……帰ろうぜ、魔王」
『な、なにを言ってるのだ……!?』
「一緒に、現実に帰らないか? ここにいても、いずれあのクソ王国が召喚した次の勇者に殺されるだろ?」
『そ、それはそうだが……我は魔王ぞ?』
「知ってる。でも、俺の敵じゃない」
俺にとっての“敵”は、俺を呪いで縛り、五年もの地獄を押し付けた、あの王国だけだ。
「俺はもう勇者じゃない。……だから、お前の敵でもない」
『くっ……ふふふ……あははははっ! おもしろい男よな! わかった!』
スッと、魔王アンラ・マンユが跪く。
『我は、おぬしの従魔となろう』
「……従魔?」
たしか、“サーバント”。主の命令に絶対服従する存在だ。
「いいのか?」
『うむ。おぬしの世界で再び魔王など始めても困るであろう?』
「それはな」
『なら、我を縛ってくれ。契約の言葉を』
俺はゆっくりと右手を掲げた。
風がうねり、空が震える。
魔王の金の瞳が細められる。
「――いいぜ。そっちがその気なら、言ってやるよ」
「我が牙は、そなたの爪。
我が身は、そなたと共に世界を裂く。
我が知恵は、そなたの標べとならんことを欲する。
片時も離れず、そなたに尽くすと誓う」
その瞬間、世界が鳴った。
契約の言葉に呼応するように、俺の右手に黒き紋様が刻まれる。
魔王の胸にも、同じ印が浮かび上がり、黒炎となって燃え上がった。
『……成されたな。我が魂は、今やおぬしのもの』
「……これで、お前は俺の従魔だ」
『ああ。連れてっておくれよ、元勇者。そなたが生まれ育った世界に』
にやりと笑って、俺は
手には、莫大な財宝。背には、黒龍の魔王。
そして――現実世界への帰還が、いま始まる。
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【あとがき】
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