この夏、あなただけの“好き”を届けよう 好きなものと言えば、で、思い出した話
しゃもこ
好きなものといえば…
好きなもの。
猫。確かに猫は好き。
猫は神。
前世から来世まで、ずっと私のそばにいる魂の友。
お金?
確かに好き。でも、それは、所詮は紙と金属。
私が好きなのは、お金で買える"幸せ"であり
お金そのものじゃない。(でも好き)
占い?
それは私の仕事。
でも今、話したいのは別のこと。
次亜塩素酸ナトリウム?
確かに大好きアロマオブクリーンネス!
ウイルスも菌も真菌もすべて祓い清める。
なんなら悪霊も祓えると言われている!
しかし、これについてはまた後日。
今語りたいのはそれではない。
今日、思い出した。
昔、職場に冷蔵庫があった。
その冷蔵庫には、名前を記載すれば何でも入れていい決まりになっていた。
かつて理科の教師だった私は、実験で使うためのニンニクや玉ねぎを理科室に持っていくのが面倒だったために(理科室は、大体学校のはずれにある)
職員室のその冷蔵庫にそのまま入れて、同僚の不興を買ったことも何度もあったが、それでも問題なく冷蔵庫は運用されていた。
ある日、事件は起こった。
東大理Iを卒業後同大大学院に院進したにもかかわらず、何故か田舎の理科教師をしている、偏屈で奇妙奇天烈な男性職員がいた。
彼はどうやらあるメーカーのあるプリンが好きらしい。その事は皆が周知していた。
彼はいつでも、プリンはそれしか食べないからだ。どんなに舶来物の素敵なプリンがあったとしても、高級店のプリンがあったとしても、だ。
ある日、事件は起こった。
彼が、名前を書かずに冷蔵庫にプリンを入れた。
そしてそれを誰かが食べた。
犯人は未だに闇の中である。
冷蔵庫を開けた彼が叫んだ。
「僕のプリン誰か知りませんか?」
多分、職員室にいた全員が思っただろう。
知らねえよ。
だから誰も返事をしなかった。そのことに熱り立った彼がもう一度叫んだ。
「僕のプリン誰か知りませんかっ⁈」
誰も返事をしない。
彼はさらにヒートアップする。その様子を見ていた事務職員が一言彼に声をかけた。
「先生、プリンにお名前書かれました?お名前書かないと、どなたのものかわかりませんので。もしかしたら、どなたかが召し上がったかもしれませんね。」
それを聞いた彼は激昂した。
「人のものは勝手に食べちゃいけないでしょう⁈そうでしょう?人のものを勝手に取るのは泥棒がやることでしょう?」
彼はそう叫びながら、冷蔵庫をひっくり返した。
ご存知だと思うが、冷蔵庫は一度ひっくり返してしまうと二度と使えない。
馬鹿かこいつ…私はそう思った。
多分その場にいた職員全員がそう思っただろう。
私は思った。まだ午後7時だ。まだスーパーが開いている。
「先生…私が買ってきますよ。少しお待ちくださいね。」
この場を収めるには、それしかなかった。この職場で一番の若手、しかも同じ教科担当の私が走るしかないのだ。
私はスーパーまで車を走らせながら、
この人はそのブランドのそのプリンが本当に好きなんだなぁと思った。
ちなみに、誰もが知っている某プッチンプリンだ。
そしてそのプリンの代金を彼からは未だに貰っていない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます