未知の数字

ねこつう

第1話 暴動


紀元前500年頃 クロトン


現代で言うところのイタリア南部にあるクロトーネと呼ばれている場所。


夜。

叫び声。

教団の信者たちが寝起きしている区画の西側に、松明を持った市民が、なだれ込んできた。

信者たちは、逃げ出そうとするが、捕まって殴られ血だらけになって倒れる者多数。

松明が次々と建物に投げ込まれる。

教団の敷地の複数個所で火の手が上がりはじめた。

教団の外郭が襲われはじめているとき、敷地の中央にある建物の奥まった部屋で、灯りもつけず、老人が独りつぶやいていた。


「……わからない……はかれない」


信者の男二人が慌てて部屋に入ってきた。


「教祖様!! ここにいらしたのですか! 暴徒が迫っています! 早くッ!!」


信者たちが、老人の手をつかんでひっぱるが、老人は、魂が抜けたように、つぶやきながら座ったままだった。


「火に焼かれる……」


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