ヴェルデリア─体現者の旅路─

くらね

第1話 新生勇者

――これは、選ばれし者の物語。


世界を脅かす混沌に落ちた世界に、神々は“希望”を託した。


その名は《体現者(たいげんしゃ)》――


だがその中でも、さらに限られた存在がいる。


剣を掲げ、世界を導く勇者。


これは、そんなひとりの剣勇者が歩む“始まり”の物語である。


『ヴェルデリア─体現者の旅路─』

第1話――「新生勇者」



◆ ロアーギルド支部(兼・酒場)

•昼でも賑やかなギルド支部。だが、客層は荒れ気味。

•弱々しい少女が、酒を勧められて困っている。



【少女と荒くれ者たち】


少女(震えながら)

「だから……あなた達とは、飲めません……」


荒くれ者1(睨みながら)

「あァ? 嫌だってのか? いいぜ……だったら金を置いてけ」


少女

「そ、そんな……無理です……」


(ギルドの扉が軋む音と共に、誰かが入ってくる)


荒くれ者2(ニヤリとナイフを抜きながら)

「じゃあ死んでもらうしかねぇな……」


少女

「や、やめて……!」


(その瞬間――ナイフを構えた肩に、軽く「ポンポン」と指先が触れる)


荒くれ者2(不機嫌に)

「あァ? てめぇ何だ――」


ドゴォォォ!!!!


(回し蹴り一閃。彼は一回転して倒れこむ)



◆ 謎の女戦士、参上

•水色の髪を高く結んだポニーテール。

•軽装の戦闘鎧をまとい、腰には長剣。

•全身からただよう只者でない気配――ギルド内の目が一斉に向けられる。


荒くれ者1(怒鳴る)

「てめぇッ! 副団長様に奇襲とはいい度胸だ! 全員で潰せッ!」


(周囲のゴロツキたちが一斉に襲いかかる)



◆ 圧倒的な強さ

•謎の女戦士は動じない。足捌きで躱し、急所を正確に撃ち抜く。

•ある者はうなじを蹴られ、ある者は腕を極められて投げられる。

•一振りの剣は抜かず、体術と最小限の“水”の力で全てを制圧。


(周囲の冒険者たちが巻き込まれないように、水の障壁で客席を覆う)



◆ 対峙:団長(神話者)

•ひと際大柄な男が立ち上がる。

•体内に“衝撃”を蓄積させて放つ能力者。


団長

「てめぇ……碧流家(へきるけ)の人間か……?」


(女戦士、目線を向けるが無言)


団長(怒りながら拳を構える)

「言葉もねぇのか!? 冒険者舐めんなよォ!!!」


(団長が踏み込む瞬間、女戦士が一瞬で距離を詰め――)


ドシュッ!(腹)バシュッ!(胸)ゴッ!!(頭)

ずっしりと重く響く正確な三撃。団長、沈黙。


(辺りに静寂が訪れる)



◆ 受付カウンターへ


(女戦士、無言のまま受付へ歩く。受付嬢、口を開けて唖然)


女戦士

「この店の修理代、あいつらにつけておいて。……ギルド免許の登録がしたい」


受付嬢(息を飲みながら)

「……ギ、ギルドの登録ですね。……え、ええと……最初に、お名前を……」


(その時、彼女がゆっくりと名乗る)


女戦士(静かに、しかし堂々と)

「私の名は――碧流 真理(へきる・まり)。

勇者だ。」


《ヴェルデリア─体現者の旅路─》


続く

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