私の選ぶ道

葵羽

第1話

 今日は中学校の入学式。

 みやびがこれから3年間を過ごすことになる香川県高松市立大西中学校は、実沢さねざわ小と相田あいだ小という学区が近いふたつの小学校から来ている生徒がほとんど。そのため新しい学校に入学するといっても、入学式場には既に友達同士と思われるグループがいくつもあった。


 しかし私は中学校に入学することが不安で不安で仕方がなかった。

 私の苗字である「花牟禮」《はなむれ》は全国的にもかなり珍しく、私は花牟禮という苗字の起源とも言われている鹿児島県から小学校卒業と同時に両親の仕事の都合で転校してきた。


 初めての香川県、ましてや初めての四国上陸という親しみのない土地でいきなり入学した大西中学校。式場の前に貼り出される新しいクラスの名簿一覧をズラっと見ても当然かの如く知り合いの名前は0。


 近いところの小学校から生徒がそのまま進学してきているので友達がひとりもいない子はほとんどいないと思われる中

 雅は中学生活を友達0の状態で始めることになったのだ。

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